CCUトラブルシューティング

  • ページ数 : 292頁
  • 書籍発行日 : 2015年4月
  • 電子版発売日 : 2015年6月12日
5,280
(税込)
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商品情報

内容

さまざまなトラブルを解決するヒントが詰まった頼りになる一冊!

トラブルを未然に防ぎ、また不測の事態に迅速に対応できるよう備えることが日々の円滑な診療に直結する。
CCUで忙しくかつ緊張して成果を出す仕事が求められる中、高度で複雑化するCCUでの業務を少しでも軽減するため、遭遇しうる種々の問題、疑問、判断に迷う事例を想定し、日本大学医学部循環器内科のスタッフが回答、解説しています。

序文

1950年代米国では,急性心筋梗塞による死亡の急増に対して集中的管理が必要であることからCoronary Care Unit(CCU)が創設された.初期には,致死的不整脈に対する処置,次には心不全に対する血行動態の把握を基にした治療により死亡率減少に成果をあげてきた.1980年代になると,ステントを用いた確実な再灌流治療が可能となり急性期死亡は急速に低下するとともに,初期には平均1週間であった急性心筋梗塞患者のCCU在院日数が1~2日と減少した.このように急性心筋梗塞患者の救命という点ではCCUは役割を終えたかのように思えるが,心疾患の救急期治療のニーズとしてのCCUの需要はさらに高まっている.急性心筋梗塞の治療経過の中で習得されたノウハウが,全ての心疾患の終末像である重症心不全患者の治療に生かされ,補助循環をはじめとして多くのデバイスを含めた治療戦略が展開されるようになった結果,救命,場合によっては心臓移植へのブリッジが可能になった.CCUはこれまでよりはるかに重症な患者の治療をするCardiac Care Unitとなったのである.患者の重症化とともに治療も高度になり,より広い深い知識がCCUで働く医師には必要となり,さらに社会の高齢化に伴い複合疾患を合併する患者が増加から循環器だけの知識だけでなく幅広い疾患の理解が必要になった.また,時代とともに,疾病構造が変化し,心疾患だけでなく急性期の循環動態を維持しなければならない,大動脈解離や肺血栓塞栓症が増加し,その診断,治療にもあたらなければならない.このような変化につれて,医療者はCCUで忙しくかつ緊張して成果を出す仕事が求められる.高度で複雑化するCCUでの業務を少しでも軽減するためには,CCUでのトラブルを即座に解決するヒントになる本があればと思い,この本を企画し,日本大学医学部循環器内科のスタッフで作成した.

CCUで働くすべての方々のお役に立てれば幸いである.


2015年3月
日本大学医学部内科学系循環器内科学分野主任教授
平山 篤志

目次

Chapter1 症状別初期対応

A.胸痛

1.胸痛の患者が来院,問診からACSを診断するポイントは

2.逆流性食道炎と狭心症はどのように区別するべきか

3.心膜炎の痛みと急性心筋梗塞の痛みの違いは

4.胸痛の患者が来院,検査の進め方は

5.安静時胸痛があったが,来院時に胸痛がない場合へのアプローチは

6.ペースメーカ患者が胸痛で来院した場合,どう対処するか

7.胸痛を主訴に患者が来院,心電図変化もなく心筋逸脱酵素の上昇もないが症状が持続する場合,どう対処するか

B.動悸

1.動悸の患者が来院,心電図でnarrow QRS型頻拍を認めた場合,どう対処するか

2.動悸の患者が来院,心電図でwide QRS型頻拍を認めた場合,どう対処するか

3.動悸の患者が来院,心電図で右脚ブロック型,左軸偏位を呈する頻拍を認めた場合,どう対処するか

4.動悸の患者が来院,心電図で左脚ブロック型,下方軸を呈する頻拍を認めた場合,どう対処するか

C.呼吸困難

1.呼吸困難を診たら,何を考えどう対処するか

2.酸素飽和度が低下したら,何を考えどう対処すべきか

D.ショック

1.ショックで救急搬送された,まずすべき処置と検査は

2.緊急にドレナージを必要とする心タンポナーデとは

3.ショックの重症度をどのように判断するか

4.ショックの患者にSwan-Ganzカテーテルの挿入は必須か

E.失神

1.意識消失発作で来院し,心房細動を認めた場合,何を考えどう対処するか

2.意識消失発作で来院しδ波を認めた場合,何を考えどう対処するか

3.意識消失発作で来院し,右脚ブロック,著明な右軸偏位,I度房室ブロックを認めた場合,何を考えどう対処するか

4.意識消失発作で来院し,QT延長を認めた場合,何を考えどう対処するか

5.意識消失発作で来院し,Brugada型心電図を認めた場合,何を考えどう対処するか

6.意識消失発作で来院し,J波を認めた場合,何を考えどう対処するか

F.吐き気

1.ACSで吐き気を訴える場合,どう対処するか

G.腹痛

1.腹痛(心窩部痛)で循環器救急の場合,どう対処するか

H.冷汗

1.冷汗と呼吸困難,ふらつきを主訴に患者さんが来院,どう対処するか

Chapter2 検査

A.心電図,モニター心電図

1.左室肥大の心電図変化と虚血性変化の鑑別は

2.急性心筋梗塞に肺血栓塞栓症と鑑別する心電図変化がみられることがあるか

3.右室梗塞の12誘導心電図所見の特徴は

4.左冠動脈主幹部(LMT)の高度狭窄の心電図所見の特徴は

5.上室性頻拍の発作時のST低下は虚血の所見か

6.モニター上で心室細動を認めた場合,どう対処するか

7.モニター上で心室頻拍を認めた場合,どう対処するか

8.モニター上でR on T,Tdpを認めたとき,どう対処するか

9.モニター上で気をつけるべきブロックは

B.CT

1.救急患者でCT検査をする場合は

2.冠動脈CTで不安定プラークを疑う所見は何か

3.造影剤アレルギー,アナフィラキシーショックを起こしたときの対応は

4.腎機能障害のある患者に対しての冠動脈CTの適応は

5.PCI後,CABG後の評価は冠動脈CTで診断できるか

6.冠動脈CTは胸痛患者の急性期に有用か

C.心エコー

1.心エコーで急性冠症候群の評価を行う際のポイントとは

2.胸痛,呼吸困難を訴える患者では,心エコーでまず何を考えて行うべきか

3.左心不全を心エコーでいかに評価するか

4.右心不全を心エコーでいかに評価するか

5.肺動脈血栓塞栓症を疑ったら心エコーで何を見るべきか

6.感染性心内膜炎を疑った場合に経食道心エコーは必須か

D.MRI

1.どのようなときにCCU入室症例に心臓MRIを行うべきか

2.心臓MRIの施行前準備はどのように行うか

E.CAG(冠動脈造影)

1.早期の冠動脈造影をすべき症例,禁忌の症例

2.緊急冠動脈造影:アプローチはどこからすべきか

3.腎機能障害のある患者に対するCAGの注意点は

F.核医学検査

1.急性期に心臓核医学検査を行うポイントは

2.梗塞サイズを同定するためのポイントは

3.再灌流療法後の救済心筋を評価する際のポイントは

4.ACS急性期の患者に負荷をかけるポイントは

5.たこつぼ型心筋症を診断するポイントは

6.心不全患者に対して負荷心筋血流SPECTを行うポイントは

G.血液検査

1.胸痛で来た患者にどのような血液検査をするか

2.ACSの場合の腎機能障害のトロポニン評価のポイントは

3.CKは梗塞範囲を推定できるか

4.トロポニン陽性の場合全て心筋梗塞と考えてよいか

Chapter3 疾患別診断と治療

A.ACS

1.右室梗塞の診断のポイントは

2.心室自由壁破裂と中隔穿孔の早期発見のポイント

3.症状から急性冠症候群を疑ったが,冠動脈造影で有意狭窄がない場合,どんなことを考えるか

4.ステント治療を行った患者が再度胸痛を訴えた,どう対処するか

5.急性心筋梗塞の急性期に血圧が100以下になった,どう対処するか

6.急性心筋梗塞でVT,VFを繰り返している場合,どう対処するか

7.急性心筋梗塞の治療後にモニター心電図でPVCが散発している場合,どう対処するか

9.急性心筋梗塞にPCI後に心房細動になったら,どうするか

10.急性心筋梗塞の急性期にスタチンは投与すべきか

11.心不全合併の急性心筋梗塞患者に,緊急カテーテル検査は必要か

12.急性心筋梗塞の発症から1日以上経過してしまった患者に,緊急カテーテルは必要か

13.急性心筋梗塞患者で徐脈(50bpm)になった場合,どう対処するか

14.DES留置後のDAPTを中止すべきときは

B.不整脈

1.心房細動患者でのリズムコントロールかレートコントロールかの選択について

2.低心機能患者で心房細動を認めた場合,どう対処するか

3.慢性腎不全患者で心房細動を認めた場合,どう対処するか

4.肝機能障害のある患者で心房細動を認めた場合,どう対処するか

5.気管支喘息患者が,頻拍発作で来院,どう対処するか

6.妊娠中の患者で頻脈を認めた場合,どう対処するか

7.抗不整脈薬内服中の患者が徐脈で来院,どう対処するか

8.抗凝固療法はすべての心房細動患者で対象か

C.心不全

1.Clinical Scenarioはいかに利用するか

2.Nohria/Stevenson分類はいかに利用するか

3.Swan-Ganzカテーテルはいつ使用すべきか

4.急性心不全時には心機能の何を見ればよいか

5.どうやって体液量を評価するか

6.リモデリングの程度を規定する初期因子とは何か

7.うっ血性心不全患者の呼吸管理はどうすべきか

8.気管内挿管による人工呼吸器と非侵襲的陽圧換気のどちらを選択するか

9.BiPAP visionとASVはどちらが有効か

10.いつ非侵襲的陽圧換気をやめるべきか

11.急性心不全の初期治療における薬物選択はどうすべきか

12.急性心不全の血圧はどの程度に管理するのか

13.尿量が十分でない場合,何を考えるか

14.利尿薬を使用して腎機能が悪化した場合,どう対処すべきか

15.トルバプタンはどのような患者に適応があるか

16.強心薬はどのような病態に適応があり,どう使用するか

17.限外濾過(ECUM)はどのような心不全患者に必要か

18.重症心不全患者に,いつ補助人工心臓(VAD)を導入するか

19.移植適応のない末期心不全患者をどう診ていくか

20.今後,期待される新しい急性心不全治療薬はあるのか

D.大動脈解離

1.どんな患者を診たときに大動脈解離を疑うか

2.急性大動脈解離に経食道心エコーは禁忌か

E.ペースメーカ,ICD

1.一時ペーシングの適応となる病態は

2.ペースメーカ患者の心電図の見方は

3.ペースメーカの入っている患者が徐脈,あるいは最小設定心拍数より低い心拍数になっていたら

4.ペースメーカ患者,ICD患者に体外式除細動を施行する場合

5.VFがICDで停止しなかった場合,どう対処するか

6.ペースメーカ/ICDデバイス感染が疑われた場合,どう対処するか

7.ICDが作動して救急受診した場合,どう対処するか

8.ICDのリード断線が疑われる場合,どう対処するか

Chapter4 リハビリテーション

A.心臓リハビリ

1.CCUでリハビリを行う必要はあるのか

2.急性冠症候群のPCI後のリハビリは何をやればよいか

3.狭心症のリハビリは何をやればよいか

4.心臓リハビリテーションをやってはいけない症例とは

5.心不全症例のリハビリはどうすればよいか


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書籍情報

  • ISBN:9784498066762
  • ページ数:292頁
  • 書籍発行日:2015年4月
  • 電子版発売日:2015年6月12日
  • 判:A5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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