ブラッシュアップ骨髄不全症

  • ページ数 : 194頁
  • 書籍発行日 : 2015年10月
  • 電子版発売日 : 2016年1月22日
4,400
(税込)
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商品情報

内容

各疾患の最新動向をふまえ、臨床で役立つ情報を散りばめた珠玉の一冊。

臨床の現場で役に立つことにも配慮し、診断基準、治療指針、治療効果判定基準、処方例なども詳細に記載されています。
それぞれの領域の専門家が解説する本書は、骨髄不全症の理解と今後の診療の一助となる一冊に。

序文

骨髄不全(bone marrow failure:BMF)の中で,本書では,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS),再生不良性貧血(aplastic anemia:AA),赤芽球癆(pure red cell aplasia:PRCA),発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH),原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis:PMF)を扱う.

非腫瘍性疾患とされているAAであるが,経過中にMDSや急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia:AML)へ移行する例がある.MDSは造血幹細胞における遺伝子変異の蓄積により発症するクローン性造血器腫瘍であるが,MDSの一部の症例ではAAと同様に免疫病態が血球減少に関与している.このようにAAとMDSの境界は不明瞭である.現在,全エクソンシークエンスが大規模な集団で行われ,骨髄不全症の病態が急速に解明されてきている.その結果,AA患者の中にも,遺伝子変異を有するクローン性造血が診断時にすでに存在する例があることが明らかにされた.さらには健常人とされるなかにも,血液学的な異常を指摘できないにもかかわらず,骨髄系腫瘍の候補遺伝子の体細胞変異が存在し,その後の造血器腫瘍のリスクになることも明らかになった.

当初,MDSに特化した書籍として本書は企画された.しかし,骨髄不全症の研究が急速に進み,その概念も変貌してきた.そのため,最新の骨髄不全症の動向の理解が臨床血液学にとって重要と考えた.本書は,臨床の現場で役に立つことにも配慮し,診断基準,治療指針,治療効果判定基準,処方例なども詳細に記載されている.それぞれの領域の専門家が解説する本書が,骨髄不全症の理解と今後の診療に活用されれば幸いである.


2015年9月

松田 晃

目次

巻頭アトラス 細胞形態学

骨髄病理学

1 後天性骨髄不全症の概念

骨髄不全症に含まれる疾患

再生不良性貧血と遺伝子変異,加齢と遺伝子変異

新たな理解

2 再生不良性貧血と骨髄異形成症候群(MDS)の診断

複数血球系列の減少をきたす疾患・病態

再生不良性貧血の診断

再生不良性貧血の非定型例の考え方

MDSの概念

MDSのWHO分類

MDSの診断と異形成の判定

MDSの非定型例の考え方

再不貧とMDSの鑑別診断:むしろ良性骨髄不全か,

それとも腫瘍性疾患か否かの鑑別が重要

再不貧とMDSの鑑別診断のための提唱ガイドライン

3 再生不良性貧血の治療

3-1 治療戦略

治療方針

移植および免疫抑制療法以外の治療法

3-2 免疫抑制療法

免疫抑制剤

免疫抑制療法の適応

免疫病態の診断方法

ATGを用いた免疫抑制療法のポイント

ATG+シクロスポリン療法の治療成績

ウサギATGと制御性T細胞

ATGの投与方法

ATGの副作用

ウサギATG投与後のEBV再活性化

免疫抑制療法不応例および再発例に対する治療

3-3 同種造血幹細胞移植

成人再不貧への同種移植適応

小児再不貧への同種移植適応

移植ソースとドナー

同種移植前処置

同種移植後GVHD予防

同種移植予後因子

4 慢性赤芽球癆の診断と治療

診断

治療

予後

5 骨髄異形成症候群(MDS)の治療

5-1 治療戦略

予後予測システム

治療戦略

治療効果判定基準

今後の展望

5-2 赤血球造血刺激因子(エリスロポエチン)療法

エリスロポエチン製剤により貧血の改善が得られる

骨髄異形成症候群患者

血清EPO値とヘモグロビン値

EPO製剤の使用量,G―CSFの併用,維持療法

EPO製剤の安全性と長期成績

5-3 レナリドミド療法

レナリドミドの作用機序

現在の治療と臨床成績

現在のレナリドミド治療の問題点

新たなレナリドミド治療の試み

5-4 アザシチジン(AZA)療法

作用機序

AZA療法とその有効性

治療上の注意点と課題

新たな治療法の試み

同種造血幹細胞移植

MDSに対する同種造血幹細胞移植の成績

同種造血幹細胞移植の適応とタイミング

同種造血幹細胞移植前の治療選択

ドナーソースと移植前処置

6 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断と治療

6-1 病態と診断

病態

診断

6-2 治療

根治療法

対症療法

治療による予後の改善

PNH妊婦の治療

小児のPNH

新規抗補体薬の開発状況

7 原発性骨髄線維症(PMF)の診断と治療

原発性骨髄線維症(PMF)の診断

原発性骨髄線維症(PMF)の予後予測システム

治療戦略

8 支持療法

輸血療法,鉄キレート療法

MDSにおける輸血療法

8-1 輸血後鉄過剰症の病態

輸血後鉄過剰症の治療

8-2 感染症治療

後天性骨髄不全症候群に合併する免疫不全の質と量の評価

全身的バリア障害の種類と起炎菌

後天性骨髄不全症候群に合併する感染症マネージメント


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書籍情報

  • ISBN:9784498125940
  • ページ数:194頁
  • 書籍発行日:2015年10月
  • 電子版発売日:2016年1月22日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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