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- 明日のアクションが変わる 循環器救急の真髄 教えます
商品情報
内容
ようこそ、循環器救急の世界へ。
臨床実地でエビデンスを“使いこなす”ための、とっておきの12の話がここにあります。医師同士の会話形式のやり取りを挟みながら分かりやすく解説しています。エキスパートを目指す研修医必見!
■関連書籍
・ 明日のアクションが変わる 補助循環の極意 教えます
序文
序文
プリミティヴな正義感をふりまわされるのは困る,とよくいわれる.
しかしボクにはそれが貴いものだと思っている.
白洲次郎
この本は,循環器科医,救急集中治療医,総合診療医,そして循環器救急疾患に関わるコメディカルが,病態の理解と現在のエビデンスの整理を行った上で,それらを臨床実地へ如何に落とし込むか,その作業の架け橋になることを願って執筆しました.
研究に勤しみ論文を執筆することは医学の発展には欠かせませんが,本人の臨床能力向上に直接結びつくわけではありません.臨床実地ではエビデンスを「作る」能力ではなく「使いこなす」能力が必要です.また専門医が自分の専門領域をどの範囲に設定するかという問題は議論が尽きませんが,やはり第一線の臨床医として生きていくためにはかなり広い守備範囲を持つ覚悟が必要です.これは,高齢化し多様化する現在の医療が私たちに要求している,不可避な現実でもあります.そして医師は多くの状況で医療チームを牽引する統率力を求められ,そのためには生涯をかけて人間的魅力を探求し続ける必要があるでしょう.
臨床研修制度の改革により,わが国にも救急・集中治療医,総合診療医といった優秀なジェネラリストが育つための土壌が確立しつつある今日,各領域の専門家であるスペシャリストの存在意義も再定義されつつあります.臨床の現場で役に立たない専門医はその場から淘汰される時代がやってきました.若い先生方,コメディカルの方々は従来の固定観念に縛られない,今の自分自身が信じるアイデンティティーを大事にしてほしいと思います.
卒後11年目となった今,CCUにローテートしてくれるレジデントへ,あの頃の自分が知りかったこと,失敗したことを同じ目線で伝えたいという思いで指導医としての日々を過ごしています.そして彼らがそれを咀嚼し発展させ,次の世代へ伝えていってほしいと思っています.
この本には,筆者がレジデントと過ごすCCUの日常が詰めこまれています.目の前の患者さんと真摯に向き合う医療従事者の方々が,明日からも誇りをもって臨床の現場で働くために,この本が少しでも支えになれば幸いです.
最後に,本書の企画・編集において中外医学社の宮崎雅弘様,田内滋人様にお世話になりました.お礼を申し上げます.
2017年2月
川上将司
目次
1話 知っておくべき臨床の常識・大原則
1 「呼吸数」はバイタルサインの王である
2 「とりあえず検査」体質をなくせ.検査前確率の重要性
3 血液ガス分析というスピードスター
4 コモン・イズ・コモン
5 動かない勇気
2話 ようこそ,循環器救急の世界へ
1 Preparation
2 Primary Survey+E3
3 初期検査提出
4 Secondary survey
5 治療介入
3話 電撃性肺水腫からはじめる急性心不全入門
1 急性心不全とは:定義と診断基準
2 急性心不全の診断におけるナトリウム利尿ペプチド
3 クリニカルシナリオという共通言語
4 収縮期血圧:もっとも単純で簡便な循環指標
5 心不全の臨床像はNohria-Stevenson分類に基づいて整理する
6 Nohria-Stevenson分類とForrester分類.何が違うのか
7 Wet=うっ血の所見.うっ血は心不全の本態である
8 急性心不全患者の初期のマネージメント:CHAMPを除外せよ
9 心エコーの使い方:血行動態指標を意識する
10 肺動脈カテーテルと対比させて覚える心エコー指標
11 よく使う左心系の心エコー指標
12 よく使う右心系の心エコー指標
◎症例実況中継 (1)
13 電撃性肺水腫の呼吸管理:NPPVの使い方
14 電撃性肺水腫ではCO2は貯留するのか?
15 うっ血解除(decongestion)と利尿薬の話
16 血管拡張薬はただの降圧薬ではない
17 初期治療がうまくいかないときに知っておくべきこと
4話 ST上昇型心筋梗塞のイロハとprimary PCI
1 急性冠症候群とは:概念と分類
2 急性心筋梗塞の定義:Universal definition
3 心筋虚血の典型的な症状とは何か
4 急性冠症候群を疑ったら
5 急性冠症候群でみられるST変化
6 ST上昇の誘導による冠動脈閉塞部位診断
7 STE-ACSのタイムマネージメント
8 Door-to-device timeのパラドックス
9 Primary PCIの適応
10 Primary PCIにおける抗血栓療法:抗凝固薬編
11 ベアメタルステントと薬剤溶出性ステントの違い
12 Primary PCIにおけるステントの選択
13 Primary PCIにおける抗血栓療法:抗血小板薬編
◎症例実況中継 (2)
14 プレホスピタル心電図は有効なのか
15 STE-ACSにおける酸素投与
16 ST上昇から責任病変を推測:前壁心筋梗塞の場合
17 梗塞前狭心症の存在:プレコンディショニングの観点から
18 不朽の名作:Killip分類
19 カテーテルのアプローチ部位
20 冠動脈造影とTIMI血流分類・心筋濃染グレード
21 Primary PCIにおける血栓吸引療法は有効でない?
22 Direct stentingは有効か?
23 再灌流の指標となる促進心室固有調律
24 Primary PCIと造影剤腎症予防のマネージメント
5話 急性心筋梗塞の薬物療法を急性期管理の点から考える
1 β遮断薬
2 ACE阻害薬
3 スタチン
4 硝酸薬とCa拮抗薬
◎症例実況中継 (3)
6話 「遅れてやってきた」心筋梗塞との戦い方
1 発症から時間が経過した急性心筋梗塞に冠血行再建術は必要か
2 肺動脈カテーテルと血行動態指標たち
3 知っておくと便利な混合静脈血酸素飽和度
4 肺動脈カテーテルは遺産? 循環器科医の本音
5 強心薬は必要悪?
6 大動脈バルーンパンピングの理論
7 大動脈バルーンパンピングにエビデンスなし?
◎症例実況中継 (4)
8 Frank-Starlingの法則
9 心筋マーカーの推移を発症時期推定に活かす
10 IABPの離脱のポイント
7話 心停止後症候群と低体温療法
1 心停止にまつわる基本事項
2 突然死と心疾患の蜜月.特に冠動脈疾患
3 心停止後症候群を知る
4 低体温療法に強くなる
5 低体温療法のプロトコール
6 低体温療法中の管理で知っておくべきこと:PAD編
7 低体温療法中の管理で知っておくべきこと:合併症編
◎症例実況中継 (5)
8 胸骨圧迫は外傷?
9 筆者の施設での低体温療法プロトコール
8話 冠動脈が狭くなかったら考えること
1 簡単にたこつぼ型心筋症とよばないで
2 海外から逆輸入:たこつぼ型心筋症の報告
3 たこつぼ型心筋症はたこつぼの形をしていなくてもよい
◎症例実況中継 (6)
4 カテーテル室でたこつぼ型心筋症と確定できない場合
9話 自信がもてるPCPS管理
1 PCPSの名は
2 PCPSのエビデンス
3 PCPSを導入する
4 PCPS維持中の血行動態評価の鉄の掟
5 PCPS維持中の心機能回復をみる (1):右上肢の酸素分圧(PaO2)
6 PCPS維持中の心機能回復をみる (2):呼気終末二酸化炭素分圧(ETCO2)
7 PCPS維持中の心機能回復をみる (3):肺動脈カテーテルの数値
8 PCPS維持中の心機能回復をみる (4):大動脈弁開放時間
9 PCPS維持中の循環不全の改善をみる
10 PCPS維持中に留意すべき合併症とその対策
11 PCPSで循環が維持できないときに考えるべきこと
12 心原性ショックと体血管抵抗
13 PCPSの離脱:循環器救急領域の最大のイベント
◎症例実況中継 (7)
10話 これだけは知っておくべき右室梗塞
1 正常な右室について知っておきたいこと
2 右室梗塞の認識はなぜ重要か
3 右室梗塞の血行動態を理解する
4 右室梗塞の心電図診断
5 右室梗塞の診断基準
6 右室梗塞の治療:補液だけが治療じゃない!
◎症例実況中継 (8)
11話 急性肺血栓塞栓症の初期治療
1 急性肺血栓塞栓症の病態
2 急性肺血栓塞栓症の診断に症状・身体所見はあてになるのか
3 急性肺血栓塞栓症の検査前確率とは
4 急性肺血栓塞栓症の初期のマネージメント:診断編
5 急性肺血栓塞栓症の初期のマネージメント:治療編
6 急性肺血栓塞栓症の呼吸循環管理とヘパリン
7 ショックを呈する急性肺血栓塞栓症:Primary reperfusion
8 ショックのない急性肺血栓塞栓症の治療
9 知っておきたい,心腔内血栓の意義
◎症例実況中継 (9)
12話 感染性心内膜炎の脅威:急性弁膜症を診断する
1 感染性心内膜炎診療は常に"challenging"である
2 経食道エコーの重要性
3 感染性心内膜炎の手術適応
◎症例実況中継 (10)
4 大動脈弁閉鎖不全症:慢性の場合
5 大動脈弁閉鎖不全症:急性の場合
6 急性大動脈弁閉鎖不全症のマネージメント
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書籍情報
- ISBN:9784498134324
- ページ数:418頁
- 書籍発行日:2017年3月
- 電子版発売日:2017年5月26日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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