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- これだけは知っておきたい 膵疾患診療の手引き
商品情報
内容
“馴染み難い”膵疾患を題材とし、外来で悩む症状のみかた、腹部触診や血液検査、画像診断の進め方のコツ、知っておきたい最新ガイドラインの要点、各疾患のピットフォールなどについて、要点を絞ってわかりやすく解説した書。
序文
膵臓は消化に関する外分泌機能と,ホルモン分泌に関する内分泌機能をあわせもつ特異な臓器である.また,解剖学的には胃の背側に存在し,内視鏡で直接観察することができず,臓器が小型のため病変の存在診断に難渋するという特性をもつ.若手医師からは『膵疾患は診断するために習得すべき項目が多く,とっつきにくい』という声をしばしば耳にする.
近年,この特異な臓器に起因する慢性膵炎や膵癌などの報告例が増加しているが,いずれも早期診断法,治療アルゴリズムなどが確立されているとは言い難い状況である.一方,膵疾患を専門とする医師の数は非常に少数であり,特にわれわれのような地域医療圏では顕著である.
今般,中外医学社から膵疾患に関する成書を企画する機会を頂いた.すでに類書が多く発行されている中で,今回は『膵臓を専門にしていない消化器科および若手医師』を対象に,とにかく『わかりやすく』をコンセプトに構成させて頂いた.
前半は総論的に,第1章では膵疾患に関する7つのガイドラインの最新情報について作成を担当された先生方に解説して頂いた.第2章では外来診療の検査所見で悩む問題について,第3章では多数ある画像診断の中で,『何をどう使うか』を解説して頂いた.
第4章以降は頻度の高い具体的な膵疾患についての診断,治療の解説である.急性膵炎,慢性膵炎,自己免疫性膵炎,膵癌,最後は膵囊胞性腫瘍,神経内分泌腫瘍と続く.担当された執筆陣の先生方は,いずれも膵疾患診療の第一線で今まさに格闘されている現役の方ばかりであり,その内容は現場を知る者のみが伝えることのできる本物の緊張感に満ちあふれている.
読者諸氏には,是非本書の内容を御理解頂き,難治と言われる目の前の膵疾患患者さんの診療にお役立て頂きたい.必要に応じて途中の章からでも読破できるように構成したつもりである.本書の内容が少しでも診療現場のお役に立つことができれば望外の幸せである.
最後に小生のような若輩者に企画の機会を与えて頂いた中外医学社の岩松宏典様,診療・研究に忙殺される中,執筆の依頼を御快諾いただいた諸先生方,ならびに御推薦をいただいた真口宏介先生に心から感謝申し上げる.
2013年 11月
JA尾道総合病院消化器内科
花田 敬士
目次
第1章 ―理解しておきたい! 膵疾患に関するガイドライン・診断基準―
1.膵癌診療ガイドライン
今回の改訂の概要 CQ1 診断法 CQ2 外科手術
補助療法 放射線療法 化学療法 ステント療法
2.神経内分泌腫瘍のWHO分類2010
WHO分類2010の概要 膵NETsの病理組織像 名称について
膵NETのグレード分類 膵癌取扱い規約 AFIP分類
3.急性膵炎診断基準ガイドライン2010
急性膵炎とは 急性膵炎と診断するには 急性膵炎の重症度を判定するには
膵局所合併症の分類が大幅に改訂された
4.慢性膵炎診療ガイドライン2009
慢性膵炎診療ガイドライン 内容の概要と今後の課題
5.自己免疫性膵炎臨床診断基準2011
自己免疫性膵炎の疾患概念 自己免疫性膵炎臨床診断基準の変遷
自己免疫性膵炎臨床診断基準2011の解説
自己免疫性膵炎国際コンセンサス診断基準(ICDC)の概要
6.膵管内乳頭粘液性腫瘍・粘液性囊胞腫瘍国際ガイドライン2012
定義/分類 診断/検査 外科切除 組織学的側面
経過観察法
7.膵仮性囊胞の内視鏡治療ガイドライン2009
膵仮性囊胞/Walled―off necrosisについて 合併症について
診断について 治療について
第2章 ―外来診療で悩む症状・血液尿所見の見方―
1.膵疾患を疑う特徴的な臨床症状はありますか?
膵疾患診断のきっかけ 膵疾患の自覚症状
代表的 膵疾患の腹部症状とリスクファクター
2.膵疾患を念頭においた腹部診察のコツを教えてください
膵疾患を疑う臨床症状 膵の理学的所見
膵疾患を念頭においた腹部診察のコツ 腹部診察の実際
3.血清膵酵素のアミラーゼ,リパーゼ,エラスターゼ1などの違いがわかりません
血清膵酵素の特徴 血清膵酵素上昇のメカニズム
血清膵酵素測定の臨床的有用性
4.血清や尿アミラーゼが高いあるいは低い患者に遭遇した場合の診断の進め方がわかりません
アミラーゼ異常値の病態と鑑別診断
ACCR(amylase creatinine clearance ratio) 実際の臨床では
5.膵腫瘍に関する腫瘍マーカーについて,測定項目と数値の解釈を教えてください
血中膵酵素 腫瘍マーカー 腫瘍マーカーの臨床的意義
第3章 ―必要な画像検査は何か? 画像診断の進め方のコツ―
1.膵疾患を疑う場合,画像診断の進め方の基本を教えてください
膵画像検査の進め方 膵管拡張・膵囊胞・膵腫瘤の診断の進め方のポイント
2.腹部超音波を行う場合,膵臓を明瞭に描出するコツはありますか?
膵精密超音波検査法
3.腹部CT/MRIでの膵疾患に関する読影のポイントを教えてください
膵疾患におけるダイナミックCT撮影方法 CTの読影手順(膵疾患プロトコール)
CTの読影手順(他のプロトコール) MRI撮影方法 MRIの読影手順
4.超音波内視鏡(EUS)の適応を教えてください
超音波内視鏡の種類と特徴 膵疾患の診断におけるEUSの位置づけ
EUSの適応 検査の実際 膵腫瘍の存在診断 膵腫瘍の鑑別診断
膵腫瘍の進展度診断 膵囊胞性病変の診断 慢性膵炎,自己免疫性膵炎の診断
造影超音波内視鏡について エラストグラフィーについて
5.FDG―PETはどのような場合に有用でしょうか?
FDG―PETについて 膵癌の診断率を向上するには
DG―PETの陽性率に及ぼす影響は IPMNの良悪性診断にPETは有用か
6.合併症が多いといわれるERCPの適応を教えてください
ERCPの適応 膵管造影 ERCP後膵炎予防 細胞診
第4章 ―迅速な判断が必要! 急性膵炎―
1.胆石性膵炎の際,どのように診断および検査を進めればよいか教えてください
胆石性膵炎の診断 胆石性膵炎を内視鏡治療すべきか
ERCP後膵炎の予防には何が有効か
膵炎の原因が不明である場合,胆石を疑え(待機的ERCPについて)
2.急性膵炎の重症化を予想する指標として何が有用ですか?
本邦の急性膵炎重症度判定基準 臨床徴候,バイタルサイン
血液検査所見 画像所見 高次医療施設への転送基準
3.急性膵炎の初期治療のポイントを教えてください
十分な輸液をしよう 成因検索をしよう.胆石性膵炎を見逃すな!
急性膵炎の死亡率と死亡時期 重症度判定をしよう
4.重症急性膵炎に対する動注療法,CHDFの導入の適応を教えてください
重症急性膵炎の初期治療 蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所動注療法(動注療法)
CHDF 保険上の問題点 症例
5.急性膵炎回復期の栄養療法の実際について教えてください
Bacterial translocationとは 急性膵炎ガイドラインでの栄養療法の位置づけ
急性膵炎での栄養療法の実際
第5章 ―粘り強い治療が必要! 慢性膵炎―
1.早期慢性膵炎とはどのような病態ですか.また治療はどうするのですか?
早期慢性膵炎とは? 早期慢性膵炎の治療
2.慢性膵炎に対する内視鏡治療および外科治療の適応と実際は?
慢性膵炎に対する内視鏡治療と外科治療の適応に関するガイドライン
慢性膵炎の内視鏡治療に関するrandomized controlled trial(RCT)
慢性膵炎に対する内視鏡治療の実際
3.慢性膵炎患者の画像による経過観察のポイントを教えてください
初診時の画像検査:本当に慢性膵炎でいいの?
慢性膵炎からの発がんの頻度と危険因子 経過観察中の画像検査
4.慢性膵炎の糖尿病と2型糖尿病では治療法が異なるか?
それぞれの病態 治療法
慢性膵炎の糖尿病と2型糖尿病との治療法で異なる点
第6章 ―慎重な診断が必要! 自己免疫性膵炎―
1.自己免疫性膵炎と他の膵炎,膵癌の鑑別(症状・画像診断)について教えてください
自己免疫性膵炎とは 自己免疫性膵炎と鑑別が必要な疾患鑑別のポイント
2.治療では副腎皮質ステロイドを使用しますが,その実際を教えてください
ステロイド治療の適応は? ステロイド治療前に膵癌や胆管癌を否定する
ステロイドの初期治療 ステロイドの減量方法
ステロイドの維持療法 再燃時のステロイド治療
3.膵以外の臓器で何か徴候は起こるのでしょうか? それはどんな所見ですか?
自己免疫性膵炎からIgG4関連疾患へ 膵以外の臓器に起こる徴候
2型自己免疫性膵炎と炎症性腸疾患
第7章 ―予後改善のために! 膵癌―
1.予後の良好な小型の膵癌を診断するポイントは何ですか?
早期の膵癌とは? 腫瘍径1 cm以下で診断するには
膵上皮内癌の診断を目指そう
2.外科的切除の適応の有無を決定する決め手の画像所見は何ですか?
膵癌の画像診断法 膵癌の切除適応について 遠隔転移,
腹膜播種の診断 局所進行度の診断 膵頭部癌の手術適応の判断
膵体尾部癌の手術適応の判断
3.ERCPとEUS―FNAの使い分けを教えてください
EUSおよびEUS―FNAの現状 EUS―FNAに今後期待されること
どのような症例にERCP手技を用いた膵液細胞診が有用か
ERCPに今後期待されること ERCP下膵液細胞診とEUS―FNAの使い分けについて
4.術前・術後の化学療法は効果があるのでしょうか?
術後補助療法 術前補助療法 今後の展望
5.黄疸や消化管閉塞を伴う患者のステント療法について適応・方法を 教えてください
膵癌に伴う悪性胆道閉塞 膵癌に伴う悪性上部消化管閉塞
膵癌に伴う悪性大腸閉塞
6.切除不能例の化学療法の実際を教えてください
治療を開始する前に,必要なこと 局所進行例と遠隔転移例では,治療が異なる
ゲムシタビン単独療法 ゲムシタビン+エルロチニブ(GE)療法 S―1単独療法
7.NSAIDに抵抗する膵癌の疼痛管理の実際を教えてください
鎮痛薬投与法の基本原則は? 具体的には?
オピオイドに十分反応しない症例や,頑固な副作用の出現がみられる症例の場合は?
放射線はがん性疼痛に有効?
第8章 ―取り扱いを熟知しよう! 膵囊胞性腫瘍・神経膵内分泌腫瘍―
1.主な膵囊胞性腫瘍の画像上の鑑別ポイントを教えてください
膵囊胞性病変の分類とは? 非腫瘍性膵囊胞の分類とは?
主な真性非腫瘍性囊胞の鑑別診断とは? 主な腫瘍性膵囊胞とは?
主な腫瘍性膵囊胞の鑑別診断とは? その他の膵囊胞性病変の鑑別診断は?
膵囊胞性病変の診断方法について 膵囊胞性病変の鑑別診断におけるEUS―FNA
2.囊胞と充実成分が混在する病変に遭遇した場合,鑑別診断のコツを教えてください
主病変の鑑別 鑑別診断
3.どのような膵囊胞性腫瘍が手術の適応となりますか?
膵管内乳頭粘液性腫瘍 膵粘液性囊胞腫瘍
膵漿液性囊胞腫瘍 Solid Pseudopapillary Neoplasms(SPNs)
4.膵囊胞性病変がある膵臓は膵癌ができやすいのですか? 経過をみる場合のポイントは?
分枝型IPMN症例にはどのくらい通常型膵癌が発生するのか?
どのような分枝型IPMN症例に膵癌が発生しやすいのか?
分枝型IPMN観察例に対する適切な検査間隔と定期検査法は何か?
5.膵神経内分泌腫瘍の手術適応・化学療法について教えてください
膵神経内分泌腫瘍について 内分泌症状に対する治療
膵神経内分泌腫瘍に対する手術適応 膵神経内分泌腫瘍に対する化学療法の現状
低分化型膵神経内分泌癌(NEC)に対する全身化学療法
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書籍情報
- ISBN:9784498142145
- ページ数:296頁
- 書籍発行日:2014年4月
- 電子版発売日:2014年9月5日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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