小児救急診療イニシャルステップ Wondering Pediatric Emergencyを体験するために

  • ページ数 : 216頁
  • 書籍発行日 : 2013年4月
  • 電子版発売日 : 2013年7月6日
¥4,620(税込)
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商品情報

内容

小児救急は緊急度・重症度の判断が難しい。さらに保護者の不安が受療行動の原点にあることも理解しなければならない。小児救急のさまざまな現場で経験した著者の実践的な考え方と知識を巧みな筆致で説き起こした書。

小児科医、研修医にぜひお読みいただきたい書籍です。

序文

救急医療自体が注視されはじめ,救命救急センターの設置など救命医療の黎明期は1980年前後からと思われる.その頃から著者は救命救急センターにて,小児内科的危急疾患のみならず事故外傷を含めた小児救急患者の診療に携わる経験ができたが,総合小児救急医療の必要性を強く感じるとともに,小児救急医療体制の脆弱性を1990年頃から訴えてきた.20年余を経て,ようやく総合小児救急医療や小児集中治療の必要性が理解されるようになり,小児救急医療において,小児科医が子どもの傷病の全体的なゲートキーパーとしての役割を担う必然性が認知されてきつつある.

小児疾患そのものがこの30年で身体的疾患から心身両面の疾患へと様変わりし,さらにワクチンなどの普及で,その変化は今後強くなることが予想される.加えて,養育環境の変化も強く,これらの要素から小児救急疾患や実際の受診理由も随分と変化していくことが予測される.

元来,小児救急疾患の特徴としては,訴えが不明瞭ゆえに疾患の緊急度・重症度判断が困難,重症化の予知が困難,病勢の進行が速く,重症化しやすい,保護者の不安が受療行動の原点である,などがある.疾病変化に加えて,これらの特徴も加わり,今後の小児救急医療のあり方も随分と変わるであろう.しかし,基本的な部分である,より軽症のうちに救急受診するという受療行動は変わらないであろう.この点は成人救急医療と大きく異なる点として小児救急医療の特徴として残るものと思われる.いかに小児救急医療提供者がこの点を理解して救急医療の実践ができるかどうかが問われている.「不要不急」の受診が多いとの意見も根強いが,小児救急において,保護者が救急と思えば救急疾患であるとの考えもあり,この考えには大いに同感である.いずれにせよ,この点への医療側の歩み寄りが小児救急医療の実践には不可欠である.

一方では,小児救急医療は子どもたちの急な傷病の正しい診断と適切な治療・対応はもちろんのことであるが,その傷病の成因プロセスを十分に評価して再燃・再発予防への啓発指導を行うことも医療提供の拡充には重要である.加えて保護者の不安感を解消してあげることも小児救急医療に求められている.保護者の不安・心配の理由は千差万別であるが,保護者の言い分を傾聴して,その真の理由を見抜くとともにその不安・心配に同調してあげることは,小児救急医療の完結には不可欠である.満足される小児救急医療を提供するためにはこれらの点をしっかり実践する必要がある.

小児救急医療の本質には,重症になってからの受診ではなく,発症初期の時点での受診で子どもの傷病を軽症で済ませてあげる点が含まれていると確信している.この考えを貫いて,北九州市立八幡病院で小児救急医療を実践してきたが,common diseaseの中に,primary careの中に,あるいはその延長線上に,緊急疾患が紛れ,珍しい疾患が紛れ,その発見や診断・治療,そして,子どもたちの回復,保護者の安堵感にwonderingな想いをたくさん経験した.このwonderingな想いを多くの小児科医に,研修医に理解してもらいたいし,経験してもらいたいと願っている.

当センターが小児救急医療のメッカとなり,子どもたちと保護者の拠り所になれればと願い,さらに,よりよい施設へハード面もソフト面も進化していきたいと願っているが,この時期に本書を書くことができたのは,当院で当初より私の思い通りに小児救急医療を行うことを許してくださった歴代の病院長の先生や幹部の先生たちのお陰である.そして何よりも,今まで一緒に働いてきた多くの小児科医をはじめとする関係診療科の先生たち,多くの研修医たちとスタッフの人たち,そして長年一緒に働いてくれている天本正乃先生をはじめとする現有チームのお陰である.皆さまに心から感謝申し上げます.さらに,本書の刊行を企画してくださった中外医学社企画部の小川孝志さま,丁寧に校正してくださった編集部の上村裕也さまに心より御礼申し上げます.

最後に,ともに小児救急医療を歩んできた故山田至康先生と医療人としての私を支えてくれた家族に本書を捧げたい.


2013年 3月

北九州市立八幡病院院長 市川光太郎

目次

第1章 北九州市立八幡病院における小児救急医療に対する考え

1.救急医療提供体制の変遷と小児救急医療

2.小児救急医療に取り組むために求められる医療姿勢

3.小児救急医療の特徴,その面白さとこれから

4.総合小児救急医療への進化の必要性

第2章 わが国の小児救急医療の問題点と今後の展望

1.わが国の小児救急医療提供体制の軌跡

2.小児救急疾患の特殊性

3.小児救急医療提供の本質とは?

4.小児救急医療の社会的側面

5.小児救急医療提供の今後の展望

第3章 外来トリアージの効用

1.小児救急外来の特性

2.子どもたちの傷病病態,およびその背景の変化

3.心身両面での対応の必要性

4.「一見の診断」は救急外来での全身評価の基本

5.「一見の診断」の体系化としてのpediatric assessment triangle(PAT)

6.バイタルサイン(vital sign)評価はトリアージに不可欠

7.バイタルサインが落ち着いたら,secondary assessmentへ

第4章 小児救急外来における診療の注意点とコツ

1.小児救急医療における診療の原点

2.ピットフォール発生因子

3.ピットフォール発生回避のための注意点

4.正確なフィジカルアセスメントの身体部位別コツ

第5章 数々のピットフォール症例との遭遇

A.中枢性疾患(脳腫瘍)

1.脳腫瘍(I)

2.脳腫瘍(II)

B.痙攣性疾患

1.熱性痙攣重積

2.もやもや病

3.銀杏中毒

4.慢性硬膜下水腫

C.中枢神経感染症

1.反復性細菌性髄膜炎

2.先天性ヘルペス脳炎

3.ムンプス後水頭症

D.呼吸器疾患

1.先天性肺欠損症

2.急性喉頭蓋炎

3.細菌性気管炎

4.気管狭窄症(左肺動脈起始部異常)

5.特発性肺ヘモジデローシス

6.気道異物

E.循環器疾患

1.急性心筋炎

2.川崎病

F.消化器疾患

1.食道狭窄症

2.絞扼性イレウス

3.器質的疾患を伴う腸重積症

4.Mntrier病

5.Budd-Chiari症候群

6.炎症性筋線維芽細胞性腫瘍

第6章 思春期の子どもたちへの対応

1.思春期疾患とは

2.思春期児の心理社会的救急疾患の背景と現状

3.思春期児への対応の基本

4.保護者への説明のポイント

5.思春期の面談法

第7章 児童虐待への取り組み

1.Child maltreatment(大人の子どもへの不適切な関わり)

2.児童虐待の背景

3.児童虐待の本質と子どもへの影響

4.児童虐待の覚知

5.児童虐待への医療的対応

6.医療機関における児童虐待対応の理想像

第8章 救急医療現場でのinformed consent

1.小児救急疾患とその医療の特徴,そして医療側の意識

2.小児救急医療現場における家族(保護者)の心情とその特徴

3.小児救急医療現場におけるICの必要性とその重要性

4.子ども(患児)自体への説明とその理解への努力の必要性

5.救急現場で医療側に求められる理想的な患児家族対応

第9章 入院時の早期警告システム

1.わが国における院内急変対応の現状

2.早期警告システム(EWS)の目的

3.MET/RRTの行動目標とその実態

4.EWSの開発からB-PEWSSへの進展

5.入院時早期警告スコアリングシステムの有用性

6.入院時早期警告スコアリングシステムの実際

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書籍情報

  • ISBN:9784498145269
  • ページ数:216頁
  • 書籍発行日:2013年4月
  • 電子版発売日:2013年7月6日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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