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- 脳出血・くも膜下出血診療読本
商品情報
内容
「楽に読める」のに「内容高度」なことに、あたもきっと驚くことでしょう。 出血性脳卒中診療の最新の知見が、スッと腑に落ちる快感をぜひ堪能してみてください。
序文
序
2014 年に中外医学社から上梓された「脳梗塞診療読本」は,すこぶる評判がよく,発売1 年で改訂版作成に着手するに至った.脳卒中診療への関心の高さを実感した.同時に,出血性脳卒中に関する同種の教科書を求められる機会が増えた.
出血性脳卒中は昭和中期の日本では脳梗塞を超えかねないほどの罹患率を示したが,高血圧治療の進歩とともに発症率が著減した.しかしながら世界全体でみれば,現在でも死者数や障害調整生存年数(DALY)は脳梗塞よりも多い.また高齢化に伴うアミロイドアンギオパチー関連脳出血や,抗血栓薬服用に関連する脳出血など,新しいタイプの脳出血が台頭してきている.
出血性脳卒中は1970 年代のCT の登場とともに診断技術が進歩し,それに応じて外科治療法も整備された.しかしながら,この十数年で急性期再開通治療など脳梗塞の診療環境が一変したことに比べると,近年の出血性脳卒中治療は足踏みしている感がある.とは言え,超急性期血圧管理,新たな止血治療,血管内治療やより侵襲の低い外科治療など,注目すべき治療,今後の発展が期待できる治療も少なくない.そのような出血性脳卒中診療の新たな流れを,一冊に纏めた.
本書の編集にあたって,職場の最良の同僚である脳神経外科の髙橋 淳部長に共同作業をお願いし,私はもっぱら「脳出血」の章の前半を担当した.とくにトピックスとして,金沢大学の山田正仁先生にアミロイドアンギオパチーについて,NHO 九州医療センターの矢坂正弘先生に抗凝固薬関連脳出血を,最新の知見とともに解説していただいた.その他,脳出血臨床で注目される業績を挙げられた若手の先生方が各単元を担当し,分かり易い内容に仕上げていただいた.兄貴分に当たる「脳梗塞診療読本」と併せて,また2015 年末に一足先に刊行されたKarger 社「New Insights in Intracerebral Hemorrhage」(Toyoda 他,編集)と読み比べながら,お手元に置いて参考にしていただければと願うばかりである.
発刊にあたって共同編集者の髙橋 淳先生,分担執筆者の先生方および中外医学者編集部の皆様に,多大なご尽力をいただきましたことを,深く御礼申し上げます.
平成28 年2 月
国立循環器病研究センター 脳血管内科部長/脳血管部門長 豊田一則
目次
第1章 脳出血診療
1 トピックス1:脳出血の病理と脳アミロイドアンギオパチー〈坂井健二 山田正仁〉
A.高血圧性脳出血
B.脳アミロイドアンギオパチー(CAA)
C.血管奇形に伴う脳出血
D.その他の原因による脳出血
2 トピックス2:抗凝固薬に伴う脳出血とその治療〈柴田 曜 矢坂正弘〉
A.抗凝固療法中の脳出血
B.脳出血時の対処
C.抗凝固療法の再開
D.モニタリング法
3 脳出血の疫学〈秦 淳 清原 裕〉
A.罹患率
B.危険因子
4 脳出血の局在と症候学〈三村秀毅 井口保之〉
A.救急での診察
B.脳出血部位による神経症候の特徴
C.症状増悪時
5 脳出血の画像診断〈渡邉嘉之〉
A.急性期脳出血診断のポイント
B.脳出血のCT 所見
C.脳出血のMR 所見
6 微小脳出血〈藥師寺祐介〉
A.脳小血管病としての脳出血とCMBs
B.CMBs の病理
C.CMBs の検出
D.CMBs と脳血管疾患
E.CMBs と脳卒中イベント
7 血圧管理〈有馬久富〉
A.脳出血急性期における積極的降圧療法のエビデンス
B.降圧療法開始のタイミング
C.降圧目標
D.安定した血圧コントロールの重要性
E.薬剤の選択
F.積極的降圧療法の安全性
8 抗血小板薬に伴う脳出血とその治療〈板橋 亮〉
A.抗血小板薬に伴う脳出血の疫学
B.抗血小板薬に伴う脳出血の臨床像
C.抗血小板薬に伴う脳出血の急性期治療
D.抗血小板薬に伴う脳出血の再発予防
9 急性期脳梗塞の再開通治療に伴う頭蓋内出血とその治療〈早川幹人〉
A.再開通治療に伴うICH の分類と病態生理
B.IV rt―PA に伴うICH の予測因子
C.血管内治療に伴うICH の予測因子
D.再開通治療に伴うICH の予防
E.再開通治療に伴うICH の治療
10 脳浮腫の管理〈中島 誠〉
A.脳出血後の脳浮腫
B.各国の治療ガイドライン
C.内科的治療・各論
D.外科治療
11 痙攣とてんかん重積〈久保田有一 中本英俊〉
A.痙攣
B.脳出血の抗てんかん薬の予防投与
C.てんかん重積
D.脳卒中後てんかん
12 開頭血腫除去手術〈丸山大輔〉
A.開頭血腫除去手術のエビデンス
B.手術の実際と周術期管理
13 脳出血の Minimally Invasive Surgery〈渡部剛也〉
A.内視鏡手術の特性と脳内血腫除去
B.脳出血の外科的治療における内視鏡手術の位置づけ
C.手術適応
14 腫瘍性出血の病理とその対応〈香月教寿 荒川芳輝〉
A.下垂体卒中
B.頭蓋内悪性腫瘍の出血
15 脳室内血腫への外科治療〈新 靖史 中瀬裕之〉
A.脳室内血腫の病態
B.脳室内血腫の治療
16 もやもや病による脳出血〈舟木健史 宮本 享 高橋 淳〉
A.出血型もやもや病とは?
B.出血型もやもや病の病態
C.もやもや病における出血好発部位
D.出血型もやもや病の自然歴
E.出血型もやもや病の急性期治療
F.出血型もやもや病の慢性期治療(再出血予防治療)
G.慢性期治療検討上の注意点
17 深部静脈血栓とその他の急性期合併症の予防と治療〈緒方利安〉
A.脳出血患者とVTE
B.われわれの検討
C.最 近の脳卒中患者に対するVTE 予防の大規模臨床試験の概要
D.その他の脳出血急性期患者での合併症
第2章 くも膜下出血診療
1 くも膜下出血の疫学〈高橋 淳〉
A.SAH による死亡率
B.SAH 発生数
C.脳動脈瘤はいつ破裂するか
D.SAH の転帰
2 囊状動脈瘤の成因と破裂機序〈吉田和道〉
A.囊状動脈瘤のモデル動物
B.動脈瘤形成・破裂機序
C.薬物治療の可能性
D.画像診断による破裂リスク評価の可能性
3 解離性脳動脈瘤の成因と破裂,修復機序〈水谷 徹〉
A.解離性脳動脈瘤の発生と内膜の定義
B.内弾性板の消耗断裂と内膜新生
C.解離性脳動脈瘤の発生と臨床形態
D.病理所見に基づいた解離性脳動脈瘤の臨床的特徴
4 くも膜下出血(脳動脈瘤破裂)の画像診断〈沈 正樹 黒崎義隆〉
A.くも膜下出血の診断
B.破裂脳動脈瘤の部位診断
C.軽症例に対する診断手順
D.多発脳動脈瘤の破裂部位同定
5 くも膜下出血の超急性期管理〈渡部寿一 大里俊明〉
A.搬入から診断まで
B.確定診断
C.鎮静/鎮痛
D.血圧
E.頭蓋内圧管理
F.抗線溶薬の使用
G.心肺機能の合併症
6 破裂脳動脈瘤の治療:直達手術と血管内治療の使い分け〈菅田真生〉
A.直達術と血管内治療を比較した大規模臨床試験
B.囊状動脈瘤に対する治療選択
C.解離性病変に対する治療選択
D.当院での直達術と血管内治療の使い分け
7 破裂脳動脈瘤に対するネッククリッピング術〈竹田理々子 栗田浩樹〉
A.手術目的
B.適応
C.手術手技
D.動脈瘤別のピットフォールとその対応法
8 破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術〈近藤竜史 松本康史〉
A.基本的心構え
B.具体的手技と治療のゴール
C.トラブルシューティング
D.大規模臨床試験から読み取るべき事項
9 椎骨動脈解離性動脈瘤に対する治療〈佐藤 徹〉
A.破 裂椎骨動脈解離性動脈瘤の特徴,求められる治療について
B.後下小脳動脈起始部との位置関係による分類
10 内頸動脈前壁平皿状動脈瘤破裂の病態と手術治療〈片岡大治〉
A.内頸動脈前壁平皿状動脈瘤の特徴
B.内頸動脈前壁平皿状動脈瘤に対する外科治療
C.内 頸動脈前壁平皿状動脈瘤に対するHigh flow bypass を併用したトラッピング術
11 内頸動脈前壁平皿状動脈瘤破裂に対する血管内治療〈泉 孝嗣〉
A.コイル塞栓術の長所と短所
B.コイル塞栓術を行う上での注意点
C.テクニックおよびデバイス選択
D.術後管理および再発に備えた画像モニタリング
E.再治療
12 脳血管攣縮の病態:最新の知見〈鈴木秀謙 川北文博〉
A.用語の定義
B.DCI の発症予測
C.DCI の病態
13 脳血管攣縮に対する治療,その他の全身管理〈林 健太郎〉
A.診断
B.治療
14 くも膜下出血後の脳脊髄液管理〈上野 泰〉
A.水頭症の分類と病態
B.SAH 後の急性水頭症の病態と治療
C.SAH 後の慢性期水頭症の病態と治療
D.SAH 後の遅発性脳血管攣縮に対する治療としての脳脊髄液管理
15 くも膜下出血の予防:未破裂動脈瘤の破裂リスクと治療介入判断〈東 登志夫〉
A.未破裂脳動脈瘤の頻度
B.破裂率に関する多施設共同前向き研究
C.その他の観察研究
D.未破裂脳動脈瘤の破裂リスクを予測するスコアシステム
E.環境や患者側の因子
F.治療介入による合併症
G.未破裂脳動脈瘤保有患者の背景とリスク
H.未破裂脳動脈瘤の治療介入判断
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書籍情報
- ISBN:9784498228566
- ページ数:406頁
- 書籍発行日:2016年4月
- 電子版発売日:2016年12月16日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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