認知症の方の在宅医療 第2版

  • ページ数 : 243頁
  • 書籍発行日 : 2013年11月
  • 電子版発売日 : 2019年7月12日
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商品情報

内容

在宅医療の技とこころシリーズ 認知症医療を行う医師や看護師ために

高齢化が進む昨今,ますます在宅での認知症への対応が必要となっている.本書では鑑別診断や薬物および非薬物療法,社会資源など在宅における認知症診療に必要な知識を網羅的に掲載.また今版では,新たに発表された認知症政策に加え,2011年に承認された新薬についても加筆した.各方面のエキスパートの解説によりわかりやすさを追求した一冊.

■関連書籍
骨・関節疾患の在宅医療

序文

第2版 序

厚生労働省から2013年6月に公表された,認知症の人は462万人との内容は,これまでの推定値を大幅に上回っていた.高齢化の進展とともに,認知症を患う人数も増加していく.もはや認知症は特別な病気ではなく,高齢者を診ることが多い医師や看護師などは,その特徴や対応について知っていなくてはならない疾患となっている.さらに,生活障害を起こしてくるので,生活の場に近く,その方の家庭状況をよく知っているかかりつけ医が多職種協働で診ていくべきである.かかりつけ医であれば,身体機能が低下をしても,訪問診療を行うことで自宅や施設において最期まで診ていけるであろう.

2012年に厚生労働省が打ち出した認知症対策のオレンジプランでは,認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で安心をして暮らしていくことを目標としている.認知症初期集中支援チームや,認知症医療支援診療所など,新しい試みにより早期診断と対応についての整備も進めている.

最近,認知症の人を家で看ていて,食事が食べられなくなるなど,切迫した症状が原因で初診する人が増えてきた.このようなときは,すぐに多職種連携で対応することを心がけている.具体的には生活歴の聴取から始まり,家庭状況の調査,介護保険の申請とサービスの導入,状況に応じて訪問診療も必要となる.制度は今後整備されるのであろうが,在宅医療を行う医療機関では,すでに初期集中支援チームのような動きをしており,認知症の人を地域で支えていくために訪問診療は必修の手段となっている.

今回の改訂版では,前厚生労働省老健局長の宮島俊彦先生と精神科医で認知症の人の往診をしている上野秀樹先生に新たに執筆のお願いをした.前回同様に,非薬物療法を含めた医療の分野だけでなく,社会資源の利用も含めてさまざまな分野で活躍をしている先生方に執筆していただけた.日々の診療で疑問に感じた項目を読んでいただければ,皆さまのお役に立つことができると思う.

本書が認知症医療を行う医師や看護師の役に立ち,認知症の方々が住み慣れた地域で安心をして暮らしていくことの力になれば本望である.


2013年10月

苛原 実

目次

Ⅰ認知症の診断〜在宅の現場でどのようなときに疑うのか〜

1アルツハイマー病と血管性認知症の診断

A.認知症を呈する疾患

B.認知症を疑う症状・どのようなときに認知症を疑うか

a.記憶障害

b.見当識障害

c.実行(遂行)機能の障害

d.妄想

e.不眠

f.アルツハイマー病にみられやすい症状

C.どのような検査を行うべきか

D.専門医への紹介

2レビー小体型認知症の臨床像と診断

A.レビー小体型認知症とはどのような病気か

B.本症を鑑別しなければならない3つの理由

C.臨床診断基準

a.中心症状

b.3つの中核症状

c.3つの示唆的特徴

d.支持的特徴

D.診断の要点

a.問診のポイント

b.診察のポイント

c.検査のポイント

E.画像診断

a.MRI

b.脳血流SPECT

c.MIBG心筋シンチ

F.塩酸ドネペジルによる治療

Column レビー小体型認知症のケア上の注意点

3前頭側頭型認知症の臨床像と診断

A.臨床症状・診断基準

B.画像診断

C.治療・介護

4軽度認知障害(MCI)の診断と予後

A.軽度認知障害の概念

B.軽度認知障害の疫学

a.有病率

b.発症率

c.リバート率

d.コンバート率

C.軽度認知障害の診断

a.軽度認知障害の診断方法

b.軽度認知障害の補助的診断法

c.軽度認知障害の予後

D.治療

a.身体疾患への注目

b.食品

c.一般薬

d.アルツハイマー病治療薬

E.新たなアルツハイマー病基準

5認知症とうつ病の鑑別診断

A.老年期うつ病の臨床的特徴

a.心気傾向

b.不安・焦燥

c.せん妄

d.妄想

e.仮性認知症

B.認知症と老年期うつ病の鑑別

C.認知症とうつ病との関連

a.認知症の危険因子としてのうつ病

b.認知症の危険因子としての仮性認知症

D.専門医との連携

6認知症と老年精神病の区別

A.多彩な老年期の幻覚妄想状態

B.老年精神病とは

C.老年期特有の幻覚妄想状態

a.物盗られ妄想

b.嫉妬妄想

c.家族否認や人物誤認など

d.共同体被害妄想

e.皮膚寄生虫妄想・慢性体感幻覚症など

f.幻の同居人・接触欠損妄想

g.コタール症候群

7認知症の補助診断

A.診断過程

B.神経心理検査

C.画像診断

D.血液検査

Ⅱ認知症の治療と予防

8認知症の方の在宅医療の留意点

A.認知症の方の在宅医療のとらえ方

B.専門医療への受診の工夫

C.認知症に対する理解

a.第1法則:記憶障害に関する法則

b.第2法則:症状の出現強度に関する法則

c.第3法則:自己有利の法則

d.第4法則:まだら症状の法則

e.第5法則:感情残像の法則

f.第6法則:こだわりの法則

g.第7法則:作用・反作用の法則

h.第8法則:症状の了解可能性に関する法則

i.第9法則:衰弱の進行に関する法則

j.介護に関する原則

D.介護者の心理的なハードルとそれに対する援助

E.一人暮らしの認知症の方の地域ケア

F.増えている「認認介護」

G.認知症のターミナルケアについて

9認知症の薬物療法

A.認知症の薬物療法の原則

B.認知症の人を支えるために

C.認知症の薬物療法

a.認知症が疑われたとき

b.認知機能障害に対して

c.精神症状に対して

D.認知症の人の精神症状

E.せん妄状態

a.意識障害

b.せん妄状態の見分け方

c.2因子モデル

F.精神科薬物療法

a.抗精神病薬

b.緩和型精神安定薬

c.抗けいれん薬

d.うつ状態の場合

e.その他

10認知症のBPSDのケアと医療

A.認知症とBPSDに関する基礎知識

a.中核症状とは

b.周辺症状とは

c.BPSDとは

d.周辺症状とBPSDとの違いの証明

e.薬剤モニタリング体制の構築

B.BPSDへの薬物療法の各論

a.睡眠薬に対する一般的注意点

b.抗精神病薬に対する一般的注意点

c.抗パーキンソン薬に対する一般的注意点

d.抗てんかん薬に対する一般的注意点

11認知症の方の緩和ケア

A.認知症の重度,末期の定義

B.意思決定の支援

C.認知症患者の末期の苦痛と緩和ケア

a.認知症末期の状態像

b.重度・末期認知症の苦痛

c.苦痛の評価

d.原因の評価

e.苦痛緩和の方法

f.グリーフケア

D.早期からの緩和ケア

a.言語化されたスピリチュアル・ペイン

b.スピリチュアル・ペインとしてのBPSD

E.認知症の緩和ケアと長期ケア

12認知症の非薬物療法

A.認知症の回想法の実際

a.高齢者と想い出

b.認知症の人と想い出・コミュニケーション

c.回想法とは

d.回想法の実際

e.在宅医療における回想法の応用

f.回想法における認知症患者との会話の留意点

B.認知症の方のリハビリテーション

a.認知症のリハビリテーション

b.もの忘れ防止教室での認知リハビリテーション

c.認知症の総合ケア

C.音楽療法

a.音楽と音楽療法

b.音楽療法の効用と対象者

c.評価が大切

d.認知症に対する音楽療法

e.セッションの実際とそのコツ

D.玩具療法

a.玩具療法の検証

b.認知症高齢者に対する玩具療法の効果

c.研究・分析の結果

d.玩具療法に使用する玩具の説明

E.芸術療法

a.芸術療法とは

b.芸術療法の具体的な方法

13認知症の予防

A.認知症の予防とは

B.アルツハイマー病の予防に有効な薬剤

a.非ステロイド系抗炎症薬

b.コレステロールとスタチン

c.降圧薬

d.開発中のβタンパク蓄積防止薬剤やワクチン

e.タウタンパクの重合阻害薬

C.認知症予防のライフスタイル

a.運動

b.食事

c.睡眠

d.喫煙

e.ポジティブ思考

Ⅲ認知症の方をとりまく環境と社会資源利用

14認知症医療の新しい方向性

A.認知症施策に関する一連の報告書

B.精神科医療報告

C.施策の方向性報告

a.基本目標

b.7つの視点

D.認知症高齢者数

E.認知症施策推進5か年計画

15在宅医療におけるかかりつけ医の心得

A.かかりつけ医の重要性

B.初回診察の仕方

a.家族だけの相談

b.本人も受診した場合

C.認知症の症状・問題行動への対応

D.介護家族への対応

16認知症高齢者グループホームへの訪問診療の留意点

A.グループホームについて

a.グループホームとは

b.グループホームの変わりつつある現状と課題

B.グループホームへの訪問診療

a.協力医=かかりつけ医としての訪問診療

b.かかりつけ医としての訪問診療

c.グループホーム訪問診療の留意点

17認知症の人へのデイサービス--「もの忘れカフェ」の試みから考える

A.もの忘れクリニックの外来での取り組みについて

a.外来診療

b.病名告知

c.デイサービス導入前に行われる外来心理教育

d.退職直後の若年認知症患者の就労支援の場

B.もの忘れクリニックでの認知症専用デイサービス

a.認知症専用デイサービスの変遷

b.認知症専用デイサービスの現在

c.若年・軽度認知症の人のための自立型デイサービス「もの忘れカフェ」

d.中等度認知症の人のための「もの忘れカフェ」の新たな展開

e.高度期の認知症の人へのケアについて

f.BPSDが目立つようになった認知症患者へのケアについて

g.認知症の人の全経過を支える

18認知症の人の底力を地域に活かす

A.認知症高齢者の役割づくり

B.役割の具体例

a.「かまど」でのごはん炊き

b.家事

c.生き物の世話

d.子どもの「しつけ」

e.青少年の育成と犯罪者の更生

f.パトロール

19認知症の方のケアプラン

A.認知症の方のケアプラン

B.介護保険サービス利用の基準

C.社会資源の活用

D.支援方法の考え方と活用の考え方

E.訪問医とケアマネジャーとの連携のポイント

F.参考事例とケアプラン

a.経過

b.介護を困難にしている要因

c.介護力

d.ケアの内容の一部

20認知症の方の家族の気持ちとその対応

A.認知症の方を介護する家族の気持ち

a.母の介護から「家族の会」へ

b.家族の会の活動

B.家族の気持ち

C.「介護の達人」から

D.家族たちが望む医師の対応

21〜まちで,みんなで認知症をつつむ〜大牟田市地域認知症ケアコミュニティ推進事業

A.認知症施策推進5か年計画

B.認知症ケア研究会の発足と大牟田市の支援

C.地域認知症ケアコミュニティ推進事業

a.認知症コーディネーターの養成

b.もの忘れ予防相談検診と認知症予防教室"ほのぼの会"

c.認知症サポーター養成研修/子どもたちと学ぶ絵本教室

d.ほっと安心ネットワーク

e.地域認知症サポートチーム

f.認知症家族介護者"つどい,語らう会"

g.本人ネットワーク"ぼやき・つぶやき・元気になる会"

D.認知症の人を地域ぐるみで支えるビジョン

22認知症の方の虐待防止と権利擁護

A.高齢者虐待の概念

a.この概念分類は認識ツールである

b.加害者や被害者の自覚は問わない

c.グレーゾーンという認識

B.虐待事例援助の基本的手法

a.加害者支援

b.多職種連携による対応の重要性

C.高齢者虐待防止法

a.高齢者虐待防止法とは

b.通報義務

D.虐待の背景を洞察する

a.介護問題の深刻さへの理解

b.家族の歴史への認識

c.家族の回復プロセスに注目する

d.家族による金銭の流用

e.社会的に自立しない子どもによる金銭などの請求行為

f.第三者による経済的虐待

E.「見守り」と「イベントへの迅速な対応準備」

a.困難ケースの見守り

b.分離

F.制度活用

a.生活保護制度

b.成年後見制度

c.長期生活支援資金貸付制度

G.わが国における高齢者虐待対応の諸問題

a.緊急的な通報は困難な現状

b.関連法規が別々に運用されることによる利便性の低さ

c.認知症患者が受けやすい経済的虐待が支援対象として取り扱われにくい

23認知症の方と小規模多機能型居宅介護

A.小規模多機能型居宅介護とは何か

a.宅老所がモデル

b.地域で暮らすための切り札

B.小規模多機能型居宅介護の実際

C.これからの認知症介護


付録 巻末表

巻末表1.Mini-Mental State Examination(MMSE)

巻末表2.改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

巻末表3.Functional Assessment Staging(FAST)


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書籍情報

  • ISBN:9784525208028
  • ページ数:243頁
  • 書籍発行日:2013年11月
  • 電子版発売日:2019年7月12日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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