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- 脳波の行間を読む デジタル脳波判読術
商品情報
内容
脳波判読の教科書や入門書は数多くある.しかし,脳波を判読できるようになるには基本の習得,症例経験,誤判読の経験,を経るのが理想である.本書では症例・誤判読の追体験そして腕試しコーナーと読み進めることによって,熟練の先生から教えられると同等の技術が得られる.脳波トリビアコーナーも多くの知識が得られ必読となっている.
序文
21世紀に入り,脳波記録はアナログ脳波計(ペン書き脳波)からデジタル脳波計が主となりました.デジタル脳波計は,脳波データをアナログ信号からデジタル信号へ変換し,電子媒体でデータ管理と保管を行う脳波計です.機器が小型化され,ペーパレスとなり,コストが削減されました.電子データはネットワークでも判読できるようになりました.その特徴は,リモンタージュ機能とリフィルタリング機能です.前者はシステムリファレンスを用いて脳波を記録するため,基準電極導出や双極導出など必要に応じてモンタージュを選択できる機能です.てんかん性放電や徐波の局在決定にこのリモンタージュ機能は欠かせません.リフィルタリング機能は,時定数(低域遮断フィルタ)や高域遮断フィルタを変えることにより,動きによる基線の揺れや,体動などの筋電図を除去することにより脳波の判読をしやすくする機能です.
「脳波を学びたいが,どうやって判読するのか分からない」,「身近に脳波の専門家がいないので脳波を教えてもらえない」など脳波に興味のある初心者向けに「ここに目をつける! 脳波判読ナビ(2016年)」,「脳波に慣れる! デジタル脳波入門 脳波超速ラーニング(2018年)」を出版し,好評でした.そういった方達あるいはもっと脳波判読の実際を知りたいという中級者向けに,本書を企画しました.単に,症例を呈示してそれを解説するというやり方ではなく,「実際の症例」から,脳波判読の実際を学ぶという編集方針にしました.つまり,脳波判読のコツとピットフォールを学ぶことにより,脳波判読のスキルを上げることが本書の目的です.そのため,実際の症例を数多く経験している重藤寛史先生(九州大学大学院医学研究院保健学部門)に共著者になってもらいました.また,脳波学上,判読する上で重要な種々の発見がありました.その歴史を振り返り,先人達の智恵を「脳波トリビア」としてまとめました.脳波所見の解釈とその変遷を学んでいただければ幸いです.
2019年9月
飛松 省三
目次
第1部 総 論
1章 脳波の電位分布と局在・極性決定法
1.基準電極導出法
2.双極導出法
2章 アーチファクトを見極める
3章 賦活法の意義と盲点
1.賦活法の意義
2.過呼吸
3.光刺激
4.睡 眠
4章 てんかん原性異常を見極める
1.脳波の過剰判読
2.棘波・鋭波の見極め方
3.てんかんの発作型と脳波
4.正常亜型
5.過剰判読を避けるためのルール
5章 てんかん新分類(2017)
1.てんかん発作型
2.てんかん病型
3.てんかん症候群
第2部 Pitfall 症例
1章 69 歳発症の定型欠神発作
2章 失神
3章 定型欠神発作重積
4章 若年ミオクロニーてんかん
6章 前頭部間欠性律動性δ活動 FIRDA
7章 breach リズム
8章 14&6Hz陽性棘波
9章 6Hz棘徐波
10章 6Hz棘徐波のFOLD型
11章 小鋭棘波
12章 ミュー律動
13章 入眠期過同期
14章 頭蓋頂鋭波
15章 後頭部徐波律動
16章 低血糖
17章 高Ca血症
18章 ウェルニッケ脳症
19章 橋本脳症
20章 全般性周期性放電
第3部 脳波トリビア
1.α波とβ波の発見
2.δ波の発見
3.θ波の発見
4.間欠性律動性δ波(IRDA)の発見
5.持続性多形性δ活動
6.Mu rhythm の発見
7.breach rhythm の発見
8.small sharp spikes(小鋭棘波)
9.wicket spikes(ウィケット棘波)の発見
10.14 & 6 Hz positive spikes(14 & 6 Hz 陽性棘波)の発見
11.6 Hz spike and wave(6 Hz 棘徐波)
12.subclinical rhythmic EEG discharges of adults(SREDA)の発見
13.rhythmic mid-temporal theta of drowsiness(RMTD)
14.正常亜型の出現頻度
15.皮質脳波と頭皮上脳波の関係
16.覚醒・睡眠中枢の発見
17.上行性網様体賦活系の発見
18.睡眠紡錘波の発見
19.K complex(K 複合)の発見
20.REM 睡眠の発見
21.脳波による意識障害の重症度評価
22.昏睡時にみられる覚醒脳波パターンの発見
23.昏睡時にみられる睡眠脳波パターンの発見
24.α昏睡の命名
25.β昏睡の命名
26.θ昏睡の命名
27.紡錘波昏睡の命名
28.α,β,θ,紡錘波昏睡のまとめ
29.高振幅δ昏睡
30.低振幅δ昏睡
31.バースト- サプレッションパターン
32.大脳電気的無活動
33.平坦脳波flat EEG
34.奇異性覚醒反応の発見
35.Cruetzfeldt-Jakob 病におけるperiodic sharp wave complexes(PSWC)の発見
36.periodic lateralized epileptiform discharges (PLEDs)の命名
37.PLEDs とヘルペス脳炎
38.bilateral independent periodic lateralized epileptiform discharges(BIPLEDs)の命名
39.亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の脳波
40.周期性脳波パターンの特徴と病因
41.三相波の命名①
42.三相波の命名②
43.三相波の命名③
第4部 腕試し
1.脳波の極性と局在決定 Q1 Q2
2.アーチファクトの判別とその対策 Q3
症例1 30 歳,女性 側頭葉てんかん Q4
症例2 73 歳,女性 アルツハイマー病 Q5
症例3 14 歳,女性 自己免疫性脳炎 Q6
症例4 17 歳,男性 全般てんかん Q7
症例5 23 歳,男性 抗てんかん薬過剰服用 Q8
症例6 75 歳,男性 意識障害 Q9
症例7 66 歳,男性 レビー小体型認知症 Q10
症例8 70 歳,女性 非けいれん性てんかん重積状態(NCSE) Q11
症例9 39 歳,女性 ミトコンドリア病(MELAS) Q1
症例10 43 歳,女性 良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME) Q13
症例11 59 歳,女性 パーキンソン病 Q14
症例12 61 歳,男性 血管内悪性リンパ腫 Q15
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書籍情報
- ISBN:9784525225810
- ページ数:269頁
- 書籍発行日:2019年10月
- 電子版発売日:2020年1月10日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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