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- 専門外でも不安にならない 救急外来「はじめの一手」
商品情報
内容
日本では,救急外来の診療は救急科専門医以外の医師によって行われている現状がある.本書では,専門外領域で悩ましいと思うケースを中心に,冒頭に初期対応のフローを掲載し,症例を提示しながら対話形式でポイントを学べるようにまとめた.診療以外の諸対応で知っているとよいことなどもQ&A形式で学べる.
序文
監修のことば
なんとも過激な本が執筆されたものである.
救急科専門医の中でも,救急外来(ER)を主たる仕事場とするER型救急医の多くが「ERにはER型救急医が常駐することが理想型」と専門性を主張するなかで,『専門外でも不安にならない 救急外来「はじめの一手」』という自らの専門性を否定しかねないような本を書いてしまうのだから.
この国の救急医療は,専門外にも対応する各科専門医と臨床研修医が,必死に対応していることで支えられているのが現実である.救急科専門医が順調に増えているとは言い難い現状で,専門外の医師が救急外来で必死に診療していることに敬意を払うことを忘れてER型救急医が常駐することの優位性ばかりが強調されてしまうのは,なんだか遠い夢物語を聞かされているようで,"Change!"と叫んで現状を破壊したくなり,国民には何も利益をもたらさないのではないかと危惧することがあった.そのような中で本書を出版することは,編者らの各科専門医への敬意と自分のアイデンティティーが確立しているという自信の表れであろう.
「専門外に対応している医師に敬意を払い,彼らの助けになる仕事をしたい」という執筆者の姿勢には心から共感した.
編者の綿貫 聡 先生は,総合診療の立場から重症度に関係なく受診する救急診療(ER型救急)に携わり,安全管理学を学ばれた稀有な存在のジェネラリストである.医学的な知識だけでなく,地域の医療を支えるためにはシステムの構築が必要であることを理解され,座談会でのテーマ設定は本当に鋭いものであった.
もう一人の編者である近藤貴士郎 先生は,研修医時代から知っている救急医である.優秀なのは十分理解していたが,寡黙なので,まさかこれほどの知恵をため込んでいるとは想像だにしなかった(「もっと早く出してよ.俺も教えてほしかった」と心の底から思う).
毎日が,「どうか無事に過ぎますように,目の前の患者さんに不利益が及びませんように」と祈るばかりの中年医師にとっては,このような気鋭の後輩医師たちの「暗黙知」から学ぶことが成長の糧である.齢を重ねた分,これまでにたくさんの後輩医師と出会ってきた.優秀な医師には,成熟した心技に到達するのに成長著しい時期があるように感じる(残念ながら,私にはなかった).編者の2人はまさにその時期なのであろう.羨ましい.少しでも彼らから学びたい.そんな思いに駆られたときに,彼らが医師人生の中でもベストな時期で,経験値・暗黙知を文字にしてくれた本書の出版は嬉しい限りだ.
彼らより若い世代の医師は,優秀な指導医に学ぶことができる貴重な機会として,また私のような彼らより年長の世代は,ジェラシーを感じながらも彼ら優秀な青年医師の知恵から学ぶ貴重な機会として,ぜひ本書を読んでほしい.
2020年1月
藤田医科大学病院救急総合内科
岩田 充永
目次
座談会
第1章 総 論
専門外の医師が救急外来に関わることの意味合い
第2章 専門外の診療に対する心構え
1 専門外でも意外と対応できる疾患や症状
2 対応できるか否かを見極めるポイント
3 救急外来での方針決定─Dispositionと診断の関係性─
4 日々遭遇する診断エラーを回避するために
5 救急外来での患者対応
第3章 救急外来診療の実際─専門外で困るケースを中心に─
◆ 本章の流れ
1 小児科
小児の発熱 / 小児の風邪診療
2 小外科・咬傷
創部の取り扱い / 動物咬傷の対応 / マムシ咬傷の対応
3 頭部・体幹部外傷
軽症頭部外傷・脳震盪 / 頸部外傷 / 胸腹部外傷
4 整形外科
肘の骨折 / 大腿骨近位部骨折 / 脱 臼
5 妊婦・授乳婦
妊婦の腹痛 / 妊婦の発熱
6 耳鼻科
鼻出血 / 鼻腔・外耳道異物 / 難 聴
7 泌尿器科
血 尿 / 急性陰?痛
8 眼 科
眼が痛い / 眼が赤い / 眼が見えにくい
9 皮 疹
皮疹の対応
10 ショック
ショックの初期対応
11 発 熱
発熱で来た救急患者の重症度 / どうやって熱源を探すか / 危険な感染症は / 細菌感染症以外の発熱で危険なもの
12 失 神
失神の救急外来アプローチ
13 腹 痛
腹痛の初期対応
14 多愁訴
多愁訴への対応
15 精神変容
精神変容 / 発作性意識消失・痙攣発作 / 精神症状が派手で必要な同意が取れないとき
16 めまい
めまいの対応
17 一過性脳虚血発作(TIA)
典型的なTIA 症状への対応 / 非典型的なTIA 症状への対応 / 脳梗塞発症の高リスク群への対応
18 脱力・倦怠感
他覚的な筋力低下がある場合 / 他覚的な筋力低下のない場合
19 高齢者の非特異的主訴
高齢者への救急外来アプローチ
第4章 専門外でも知っておきたい診療以外の対応と運営の知識Q&A
■診療前・診療時対応のQ
Q1 警察や消防などの院外他職種とスムーズにやりとりするにはどうしたらよいでしょうか?
Q2 紹介患者のスムーズな受け入れを行うにはどうしたらよいでしょうか?
Q3 入院診療科の選定,特に分類不能例にはどう対応したらよいでしょうか?
Q4 院内他科とスムーズにやりとりするにはどうしたらよいでしょうか?
Q5 看護師やメディカルスタッフなどの院内他職種とスムーズにやりとりするにはどうしたらよいでしょうか?
Q6 患者とのトラブルを防ぐためにはどのような点に留意したらよいでしょうか?
Q7 診断書を書いてと言われたら,どうしたらよいでしょうか?
Q8 心肺停止状態で搬送され死亡した患者では,死亡診断書? 死体検案書? どちらになるのでしょうか?
■診療後対応のQ
Q9 帰宅時説明,時間外受診後のフォローアップはどうしたらよいでしょうか?
Q10 救急外来から他院への紹介をスムーズに行うにはどうしたらよいでしょうか? 238
Q11 救急車で来て帰る手段がない高齢者や,家族が介護困難で帰宅できないケースにはどう対応したらよいでしょうか?
■救急外来運営のQ
Q12 救急患者数を増やすにはどうしたらよいでしょうか?
Q13 どのように診療物品を揃えたらよいでしょうか?
Column1・救急外来でも収益を
Q14 救急医に来てもらうにはどうしたらよいでしょうか?
Column2・救急外来の運営に有用な情報源
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書籍情報
- ISBN:9784525411015
- ページ数:261頁
- 書籍発行日:2020年1月
- 電子版発売日:2020年2月7日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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