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- シーン別 わかる!漢方Q&A
商品情報
内容
現在,臨床現場や大学教育において積極的にとり入れられている漢方医学・漢方薬は,治療医学のみならず予防医学・養生医学でもあり,漢方を知ることは日々の健康管理面で非常に役立つ知識となる.本書では,漢方について「患者さんからの質問に答える」「患者さんに処方する」「漢方医学を基礎から学びたい」のシーン別にQ&A形式で分かり易く解説.
序文
はじめに
現在,漢方薬の使用が増えているようですが,そもそも漢方製剤が薬価収載され始めた1976年頃は,漢方薬というものは科学的根拠もそろっていないため,多くの医師は積極的に使用することはありませんでした.しかし,近年では漢方医学教育を多くの大学(主に医学部・薬学部)がとり入れており,現在では80%以上の医師が漢方医学あるいは漢方薬(漢方製剤を含む)を積極的に臨床応用しているといわれています(ただし,使用している医師が本来の漢方医学を理解しているとは限りません).
漢方薬はEBM*の観点からも西洋医学各科と同様な評価を得ていることが数多く報告されています.また,漢方医学が再評価された背景には,
①難病に対する西洋医学的診断からの発想の転換
②各種西洋薬(特に抗がん剤)の副作用緩和
③加速する高齢化社会による医療費抑制の必要性
④全人的医学への異なる視点
⑤養生に対する生活習慣の重要性
などの要因が考えられます.
ところで,私は薬剤師として,長年,漢方臨床にたずさわってきました.私が思うには,やはり西洋薬と漢方薬を上手に使い分けることが,患者にとって一番よいと強く感じます.漢方薬は複数の疾患に効果があることから,特に生活習慣病などの慢性疾患においては「診療は西洋医学が主で漢方医学は補完的に,処方薬は漢方薬が主で,西洋薬は補完的に」と勝手に考えています.というのも,漢方薬での治療は西洋薬より副作用が少なく(しかし,漢方薬でも処方を間違えれば毒にもなりますが),しかも安価であるため,現在懸念されている医療費高騰の抑制にもつながるからです.また,漢方薬は病気にならないための予防効果もあります.つまり,漢方薬をうまく使って予防を重視し,さらに生活習慣を見直し,患者にならないことが最善策なのではないでしょうか(もちろん予防には市販の漢方薬も使えます).
漢方医学は治療医学のみならず,予防医学・養生医学にもなります.漢方を知ることは日々の健康管理の面で非常に役立つ知識が得られます.私は多くの方に漢方を理解していただきたいために,この本を出版することにしました.もちろん医療従事者に限らず,漢方を知りたい方には,ぜひ読んでいただきたいと思います.また,疾患・症状別の解説などは多くの図書に譲るとして,まずは読者の方々に少しでも漢方の良さがわかり,また親しんでいただければ幸いです.
最後に,本書出版にあたり,日頃よりご厚情とご指導をいただいた久留米大学名誉教授 無敵剛介先生,第一薬科大学教授 岡野善郎先生に深く感謝致します.また,医療法人日新会 久留米記念病院 稲永國勝理事長,赤川正信事務長には大変お世話になり,ありがとうございました.
*EBM(根拠に基づいた医療evidence-based medicine)とは,「良心的に,明確に,分別をもって,最新最良の医学知見を用いる」医療のあり方をさす.
2016年6月
永田 郁夫
目次
シーン1 「患者さんからの質問に答える」
(1) 漢方製剤の服用方法は?
(2) 漢方薬は,いつ服用したらいいの?
(3) 通常,服用は食前か食間となっていますが,食後ではいけませんか?
(4) 漢方薬には副作用はないのですか?
(5) 漢方薬の副作用でよく耳にする「間質性肺炎」の要因は?
(6) 間質性肺炎の発症が高齢者に多い理由は?
(7) 漢方薬を服用して,眠気が出ることはないですか?
(8) 漢方薬でもアレルギーを起こしますか?
(9) 漢方製剤は「医療用」と「一般用」ではどのような違いがありますか?
(10) 漢方薬とドーピングの関連性について教えてください
(11) ダイエットに効果のある漢方薬はありますか?
(12) 2種類以上の漢方製剤を併用・合方してもかまいませんか?(その1:薬性・薬向)
(13) 同じ漢方薬なのに,違う病気に用いられるのはなぜですか?
(14) がん・悪性腫瘍に漢方薬は有用ですか?
シーン2 「患者さんに処方する」
(1) どうやって処方薬を決めるのですか?
(2) 2種類以上の漢方製剤を併用・合方してもかまいませんか?(その2:重複)
(3) 2種類以上の漢方製剤を併用・合方してもかまいませんか?(その3:法則)
(4) 西洋薬との併用で注意することは?
(5) 抗菌薬といっしょに服用してもよいのでしょうか?
(6) 抗菌薬以外にも,西洋薬の併用に注意するものがありますか?
(7) 漢方製剤の使用上の注意で重要なことは?
(8) エキス製剤と煎じ薬で違いはありますか?
(9) 小児用量に対して,なにか注意することはありますか?
(10) 妊産婦の漢方薬服用は大丈夫ですか?
(11) 妊産婦に対して避けるべき漢方薬はなんですか?
(12) 抗菌・抗ウイルス作用のある漢方薬もありますか?
(13) 抗がん剤の副作用と気・血・水の異常は関連がありますか?
シーン3 「漢方医学を基礎から学びたい」
(1) 漢方医学と西洋医学との違いはなんですか?
(2) 漢方医学はどのようにして誕生したのですか?
(3) 漢方医学はどのように発展してきたのですか? ― 歴史 ―
(4) 日本と中国において,漢方薬の処方に違いがありますか?
(5) 漢方医学と中国医学(中医学)の違いはどのような点ですか?
(6) 漢方薬による治療とは?
(7) 漢方医学の基となった中国伝統医学とは?
(8) 中国伝統医学の1つである「神農本草経」の365種類の生薬とは?
(9) 証の定義にある「六病位」とはなんですか?
(10) 漢方診断はどのように行われるのですか?
(11) 漢方治療の一番の特色はなんですか?
(12) 漢方医学はなぜ「時間の医学」と呼ばれるのですか?
(13) 「未病」とはなんですか?
(14) 漢方薬が普及した要因はなんですか?
(15) 漢方概念の1つである「五臓」とはなんですか?
(16) 漢方概念の1つである「気・血・水」とはなんですか?
(17) 「陰陽論」とはなんですか?
(18) 「帰経」とはなんですか?
(19) それぞれの概念(五臓,帰経,気・血・水)の関連性は?
(20) 高齢者に多い腎虚とは?
(21) 高齢者医療に対する漢方療法の注意はなんですか?
(22) 高齢化社会に対して漢方療法は有用ですか?
(23) 「根拠に基づいた医療(EBM)」について教えてください
(24) 代替医療とはなんですか?
(25) 漢方薬にはショウガなど,食物も含まれるのですか?
(26) 生薬にはどのような成分が含まれていますか?
参考図書・文献
主要な医療用漢方製剤 ポイント/組成生薬/効能・効果
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書籍情報
- ISBN:9784525471118
- ページ数:207頁
- 書籍発行日:2016年8月
- 電子版発売日:2019年5月22日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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