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- 極論で語る睡眠医学
商品情報
内容
序文
著者・まえがき
さて,突然ですが,全人的医療は医療における絶対の善です.「職人気質」や「専門性」に価値が置かれがちな日本においても,全人的医療というお題目に反対するのは憚られます.医療の究極の目標ともいえるのですが,ある程度は専門にかかわらず,すべての医療従事者が備えておくべき素養ともいえます.
例えば,専門にかかわらずルーティンとして社会歴とされている喫煙歴,飲酒歴,職歴などは聞くと思います.それは全人的医療の一端です.不思議なもので社会歴を聞くと,病歴からはわからない「患者その人」の姿が見えてきます.社会歴をとりながら「へえ,見た目によらず,喫煙するのか」「ああ,なるほど見た目どおりの大酒飲みか」などと思うことは,皆さん経験があると思います.そうそう,全人的医療って大切です.
...おい,大切な何かを忘れてないか?そう,人生の3 分の1 を過ごしている時間を忘れていないかって聞いているんだ!それ,全人的医療と違う!3 分の2 人的(さんぶんのにじんてき)医療や!
すみません,取り乱しました.そう【睡眠】について聞かねばなれません.そして,それは簡単なことです.
「睡眠,どうですか?」
と聞くだけです.ですが,この簡単な質問を聞くのがなんとも億劫だと思います.わかります.これを聞いてしまうと「ああ,そういえば眠れないです」「夜中に何度も目が覚めます」という答えが返ってきてしまって,それに対処しなければならなくなります.
じつは「睡眠,どうですか?」を聞くことが億劫である真の原因は,返ってくる答えに対する対処を知らないことです.正しい(もしくは妥当な)対処がわからないので,「それなら最初から聞かないでおこう」となるのです.
対処ということの中には「検査をする」「薬剤を処方する」というわかりやすいものから,「(緊急ではないから)次の外来にまわす」「様子をみる」「ちょっとずつ指導する」というものまで含まれます.後半のほうは「検査も処方もせずに,うまく患者に納得してもらう」ことを意味し,これが至難であることは多少医療をかじった人ならばわかってもらえると思います.こういう対処を知らずに
「睡眠,どうですか?」
を聞くのは無謀ともいえます.
こういう対処を学ぶには「原理」「原則」「論理的思考」を学んだうえに,知識を積み上げていくことが必要です.これはどの分野でも同じです.本文でも述べていますが,この「原理」「原則」「論理的思考」を,私はまとめて「哲学」と呼んでいます.
さて,もしも「睡眠医学を学びたい」とあなたが思ったとしても,日本の場合の多くは独学で学ぶことになります.もちろん(積み上げていく)知識の部分は独学でも十分学ぶことができます.しかし,どうしてもこの「哲学」の部分は不十分になります.「哲学」はやはり指導者について学ぶしかありません.それがレジデンシーやフェローシップというものであり,他方,「『哲学』を教えることができるか」が指導者の資格になります.そして残念ながら,日本には睡眠医学のレジデンシーもフェローシップもありません.睡眠医学の「哲学」を伝承する場がないのです.
ここに私の巨大なマグマのようなフラストレーションがあり,それがこの本を執筆するエネルギーとなりました.『極論で語る神経内科』を読んだ方からの「熱い,熱い」というコメントには慣れました.ええ,この本も神経内科編と同様に「熱い」ですよ.「暑苦しい」といってもいいです.
本書には,人生の3 分の1 を占める睡眠の問題,そして睡眠から当然影響を受ける残りの3 分の2 の覚醒の問題に臨床の現場で対処するために必要だと思われる「哲学」を必死で詰め込みました.そして,この「哲学」を学ぶ過程で,少しでも私の愛する【睡眠医学の面白さ】が伝わることを願っています.
2016年8月吉日
著者 河合 真
目次
第1部 総論
1章 睡眠医学を学ぶための「極論」の前の「総論」[Introduction]
第2部 外来で診る睡眠医学
2章 成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 診断編[Diagnostic approach for OSAS in adult]
3章 成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 治療編[Treatment for OSAS in adult]
4章 パラソムニア 睡眠中の異常行動 [Parasomnia]
5章 ナルコレプシー[Narcolepsy]
6章 レストレスレッグズ症候群(下肢静止不能症候群)もしくはWillis‒Ekbom病[RLS/WED]
第3部 境界領域で診る睡眠医学
7章 救急外来における睡眠医学[Emergency room]
8章 不眠[Insomnia]
第4部 入院で診る睡眠医学
9章 入院病棟における睡眠医学[Inpatient ward]
10章 集中治療室における睡眠医学[ICU]
第5部 社会で診る睡眠医学
11章 医師の睡眠不足[Insufficient sleep of MDs]
12章 (小児科医以外のための)小児の睡眠医学[Pediatric sleep medicine]
13章 概日リズムと睡眠覚醒リズム障害 [Circadian rhythm & Circadian rhythm sleep-wake disorder]
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書籍情報
- ISBN:9784621300534
- ページ数:242頁
- 書籍発行日:2016年9月
- 電子版発売日:2017年9月1日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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