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はじめてでもできてしまう科学英語プレゼン "5S"を学んで、いざ発表本番へ
Philip Hawke , 太田 敏郎 (著) / 羊土社
商品情報
内容
ネイティブ英語講師が教える理系の英語での伝え方「基礎の基礎」.手順をStory,Slides,Script,Speaking,Stageの5Sプロセスに整理.これに倣えばはじめてでも立派に準備できる!
(模範プレゼンの動画とさまざまな参考資料データがご覧いただけます。詳細・パスコードは本文内をご覧ください。)
序文
はじめに
この本は,はじめて英語で研究発表をするすべての人を対象にしています.私が静岡県立大学で教えている理系の大学院生と大学生のため,そして同僚の太田敏郎先生と一緒に指導する機会があった静岡県内の高校〔スーパーサイエンスハイスクール指定校(SSH指定校)〕の学生のために開発してきたワークショップ形式のプレゼンテーション講義を本の形にまとめたものです.日本人理系学生の大部分は修士課程や博士課程の間に本格的な学会においてはじめて英語での研究発表をしますが,最近では大学生のときに発表する人もどんどん増えています.私は,そうした学生の皆さんが効率的な英語プレゼンの特徴を簡単に理解し,さらにそれを自分のプレゼンにすばやく無駄なく応用するのに役立ててもらえるようにと思ってこの本を執筆しました.この本の最初にお見せする模範プレゼンは,高校生にも簡単に理解できるようにデザインされています.
この初心者向けの入門書は,科学英語プレゼンで使われている最も基本的で広く応用できる表現とテクニックだけをご紹介しています.この入門書は,はじめてプレゼンをする読者のために,その作業をいくつかの工程(プロセス)に分けて1歩ずつ進める手引き書として使えるようにデザインしてあります.それが5Sプロセス(Story, Slides, Script, Speaking,and Stage)を中心とする本の構成に反映されています.プレゼンの「科学的な筋書き」(Story)を特定の相手に合わせてはっきり伝えるためにはどう工夫したらよいかを強調している点がこの本のユニークな特徴です.私の経験では,これが未熟なプレゼン初心者の最大の弱点の1つなのです.
一方,この本にはランダムアクセスマニュアルという側面もあります.1つ1つのセクションが自己完結しているので,より経験豊富な読者の皆さんも自分のプレゼンの特定部分を改善するために必要なセクションだけを気軽に選んで読むことができるようになっています.その結果として複数のセクションにおいてある程度類似した記述が繰り返し出てくる点は避けられませんでしたが,最初から最後まで順を追ってこの本を読んでくれる読者の皆さんにとって,この「ランダムアクセス」方式が邪魔にならないことを願っています〔もっと上級者向けの詳しい解説が必要な方は,Robert Whittier先生との共著「日本人研究者のための絶対できる英語プレゼンテーション」(羊土社,2011)をご覧ください〕
この本にはスピードチェックの章も用意してあります.ほとんど時間の余裕がない人でも,「スピードチェック」の章のアドバイスだけを応用することで自分のプレゼンを大幅に改善することができるはずです.
この本は,若い読者の皆さんでも簡単に理解できるようにという意図をもって執筆したので,仮説の検証・学術論文・文献レビュー・引用文献の利用といったような基本的な科学的概念を具体例ではっきり伝えようと努めました.この本でご紹介する上級者向けの科学的な工夫やテクニックの一部を若い読者の皆さんが自分のプレゼンに応用するのに役立ててもらえるように,ガイド形式の"LET'S PRACTICE!"も加えました.一方で,読者の多くはまだ若くて経験も不足しているので,年長の研究指導者(教員や教授)のもとで研究発表の研究面を推し進めるのが普通でしょうから,この本では研究内容や実験そのものの展開を取り扱うことはしていません.そうした研究の進め方を取り扱っている素晴らしい本はたくさん出版されています.
この本の執筆をサポートしてくれた数多くの皆さんに感謝の意を表したいと思います.有益なフィードバックを提供してくれた静岡県立大学薬学部と静岡県内の高校の教員や学生の皆さん,科学的なアドバイスと素晴らしい翻訳をしてくれた太田先生,有益で理解ある編集サポートをしてくれた羊土社編集部の冨塚達也さんに感謝致します.模範プレゼンのビデオで素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた「橋本花子」さん,平井勇祐さん,匿名希望の「質問者2」さんに特別に謝意を表します.この3人のよいお手本に刺激を受けて,読者の皆さんが高いクオリティの研究発表をすることができることを願っています.
2018年10月
Philip Hawke
目次
Part A
模範プレゼン:いいプレゼンの特徴を知ろう
基本チェックリスト:予習とスピードチェック
Part B
① 筋書き(1):研究の「筋書き」をしっかりと伝えよう
1.1 科学プレゼンとして基本的な要素を揃えよう
1.2 視野を広げて研究の話を科学や社会全体の問題と関連付けよう
1.3 話の主要「登場人物」を覚えやすく,区別しやすくしよう
1.4 自分を登場人物として出演させよう
1.5 できるだけ聞き手に興味をもってもらえるような説明にしよう
② スライド:無駄なく簡単にできる順番でつくろう
2.1 目的スライドをつくろう
2.2 結果スライドをつくろう
2.3 結論スライドをつくろう
2.4 タイトルスライドをつくろう
2.5 方法スライドをつくろう
2.6 背景スライドをつくろう
2.7 つくったスライドのデザインをチェックしよう
③ 原稿:無駄なく簡単なスタイルで原稿を書こう
3.1 できるだけ短くて明確な表現を使おう
3.2 プレゼンのパート間の区切り(スライドの種類)をはっきりさせよう
3.3 情報源を明示しよう
3.4 学術論文を読み慣れていても,形式張った「書き言葉」表現を口頭でのプレゼンにもち込むことは避けよう
3.5 原稿を作成するときは,できるだけ簡単で明確な文法で書こう
3.6 作成したスライドから文章形式(SVO)のスライドタイトルや他の要約文を原稿にコピペしよう
3.7 慣れない間は,スライドタイプに応じて標準的に使われている一番簡単な表現を使おう
3.8 タイトルスライドの原稿
3.9 背景スライドと考察スライドの原稿
3.10 目的スライドの原稿
3.11 方法スライドの原稿
3.12 結果スライドの原稿
3.13 結論スライドの原稿
④ 筋書き(2):話しかける相手に合わせて研究の筋書きをはっきり説明しよう
4.1 プレゼンする場にどんな人が聞きにくるのか調べておこう
4.2 予想される来場者が既に自分の研究分野についてどれだけ詳しく知っているか,慎重に検討しよう
4.3 専門家ではない人に対しては,データを少なくして背景説明を多くしよう
⑤ 発音:単語の発音や文章の強調単語を確認しよう
5.1 プレゼンしている最中に少し遠くからでもすぐに読めるように原稿の書式を整えよう
5.2 原稿に書いてある単語の正確な発音をチェックしよう
5.3 それぞれのスライドの意味をはっきりさせる単語を強調しよう
5.4 原稿を暗記しよう
⑥ プレゼンのための表現力と質疑応答:親しみやすく熱意を込めて
6.1 表現力の練習を始める前に原稿を確実に暗記しよう
6.2 実際の発表会場にできるだけ近い条件で練習しよう
6.3 練習している自分の姿をビデオに撮ろう
6.4 聞き手と上手に意思疎通しよう
6.5 レーザーポインタを上手に使おう
6.6 質疑応答セッションで出てくる質問をちゃんと聞きとれるように,できるだけ前もってリスニングの練習を始めておこう
6.7 質疑応答で聞かれそうな質問を前もって想定しておこう
6.8 質疑応答「サバイバル術」を練習しよう
6.9 自分自身を上手にプレゼンしよう
付録
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書籍情報
- ISBN:9784758108508
- ページ数:127頁
- 書籍発行日:2018年11月
- 電子版発売日:2019年1月30日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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