小児麻酔ポケットマニュアル

  • ページ数 : 235頁
  • 書籍発行日 : 2012年11月
  • 電子版発売日 : 2015年3月6日
5,280
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商品情報

内容

初めてでも困らないためのサブスペシャリティ入門書

小児の生理・薬理学的特徴から各科手術の麻酔・管理のポイントがわかる実践書。この一冊で術前評価から術後管理まで一連の流れがつかめます。これから小児麻酔を勉強しようとしている若手麻酔科医にオススメ!

序文

小児科学や小児外科学が成人を対象にした診療科から分化して発展したように,小児麻酔科学も麻酔科学のサブスペシャリティの一つとして認知されて発展している.小児麻酔を一度でも経験した研修医は,小児麻酔が成人患者の麻酔管理と異なる基礎知識や技術を必要としていることに気がついたはずである.

小児麻酔のサブスペシャリティが確立されつつある一方で,日本で行われる小児麻酔のかなりの部分は,必ずしも小児を専門とする麻酔科医によって行われているわけではないという現実がある.代表的な小児手術である鼠径ヘルニア手術が全国津々浦々の病院で行われていることを考えると,全く小児麻酔に関与する機会のない麻酔科医はむしろ少数であろう.したがって,麻酔科医になろうとする者はその研修期間中に基本的な小児麻酔の知識や技術を習得することが必須である.

本書は,これから麻酔科医を目指す先生方に小児麻酔の基本的な考え方を学んでいただくことを主眼として企画されたものである.薬物の具体的な投与法や各種の手技の詳細については,本書に記載されている事項は一つのやり方と捉えていただき,実際面については各施設の指導者の考え方を尊重していただければと考えている.また,基本的事項に加えて,本格的に小児麻酔を志す先生方のためにプロの小児麻酔科医が考えていることを随所に織り交ぜている.本書を通じて一人でも多くの若い先生方が小児麻酔に興味をもっていただければ幸いである.

小児麻酔は"鼠径ヘルニアに始まり鼠径ヘルニアに終わる"といわれる.蓋し名言である.鼠径ヘルニア麻酔には小児に対する麻酔管理の基本的事項が全て含まれている. 筆者は小児麻酔を志して高々14 年にしかならないが,いまだに日々の鼠径ヘルニア麻酔から学ぶところが多いし,改善の余地が大きいと思っている.若い先生方には研修期間中に一例でも多くの鼠径ヘルニア麻酔を経験していただき,小児の麻酔に触れていただきたい.

本書は大半の部分を筆者が担当したが,歯科麻酔の部分は東北大学歯学部の正木先生,近年めざましく発展している小児区域麻酔の部分は北里大学の長塚先生にお願いした.全体の統一感を考慮して少数の執筆者で編集したが,箇所によっては偏りや不十分な記載があるものと思われる.読者の先生方から忌憚のないご意見をいただき,将来の改訂に備えたい.

最後に,本書の出版にご尽力いただいた羊土社編集部の嶋田達哉様,杉田真以子様に深謝させていただきたい.


2012年 10月

国際医療福祉大学病院麻酔科 小児麻酔部長
蔵谷紀文

目次

第1章 小児の特殊性と麻酔管理

1.生理学的特徴

2.薬理学的特徴

第2章 小児麻酔の基本的管理

1.術前回診と評価

2.麻酔準備

3.麻酔導入

4.気道確保

5.モニタリング

6.輸液・輸血

7.麻酔覚醒

8.術後鎮痛

第3章 各科手術の麻酔

A 脳神経外科

1.生理学

2.麻酔管理のポイント

B 眼科

1.生理学的特徴と代表的な疾患

2.麻酔管理のポイント

C 耳鼻咽喉科

1.扁桃摘出術,アデノイド摘出術

2.気道異物

3.先天性唇裂,口蓋裂

D 小児歯科

1.小児歯科治療の麻酔

E 胸部外科

1.気管食道瘻,食道閉鎖症

2.先天性横隔膜ヘルニア

3.先天性嚢胞性肺疾患

F 先天性心疾患

1.小児循環器系の生理的特徴と新生児心筋の特殊性

2.先天性心疾患の分類

3.先天性心疾患の手術治療

4.先天性心疾患手術の麻酔管理

5.非心臓手術の麻酔管理

G 一般外科

1.肥厚性幽門狭窄症

2.腸閉鎖症

3.臍帯ヘルニア,腹壁破裂

4.胆道閉鎖症

5.ヒルシュスプルング病

6.直腸肛門奇形(鎖肛)

7.神経芽細胞腫,Wilms腫瘍

H 泌尿器科

1.泌尿器科疾患の麻酔管理

I 整形外科

1.側弯症

2.骨折,脱臼

3.その他の整形外科疾患

第4章 小児麻酔のプロを目指して

1.小児の区域麻酔

 ①基本事項

 ②仙骨硬膜外麻酔

 ③胸部・腰部硬膜外麻酔

 ④超音波ガイド下末梢神経ブロック

 ⑤眼窩下神経ブロック

2.新生児の麻酔

3.検査・処置時の鎮静

4.脳性麻痺・発達障害のある児の管理

5.様々な合併症のある児の管理

6.悪性高熱症(MH)への対応

7.小児における腹腔鏡手術

8.小児の蘇生

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