あらゆる場面で使える 鎮静・鎮痛Q&A96

  • ページ数 : 254頁
  • 書籍発行日 : 2016年8月
  • 電子版発売日 : 2018年2月23日
4,950
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商品情報

内容

あらゆる現場で出合う「こんなことに困ってる」にズバリ答えます!

処置時の場合に多い、中等度~高度の鎮痛に関してQ&A形式で明日から使える知識をまとめました。鎮静・鎮痛のガイドラインの現状、薬理学、トラブルへの対処法、トレーニング法など臨床に使える知識が身に付きます。麻酔科医はもちろん鎮静・鎮痛に携わる医師や看護師など全てのスタッフにオススメ!

序文

はじめに

鎮静や鎮痛というと夜間せん妄,特に集中治療室で人工呼吸中のせん妄に対する治療が思い出されることが多いです.ただ,これは院内で行われている鎮静の一部に過ぎません.実際,院内ではさまざまな場面で鎮静,特に静脈内投与が行われています.例えば術後の鎮痛薬と鎮静薬の静脈内投与や,重症患者などでは中心静脈路確保の場合の鎮静薬の静脈内投与,それからカテーテルや内視鏡の際の鎮静薬の静脈内投与などがあります.小児ではMRI や心エコーのときでも使用する場合もあります.この鎮静が不十分だとより不穏になる場合や,過量投与になると呼吸停止や心停止となる場合もあります.非常に危険であるにもかかわらず,日本においてはガイドラインやマニュアルが十分であるとはいえません.

一方,アメリカの病院機能評価機構であるThe Joint Commission(TJC)ではここを詳細に決めるようにしています.病院で鎮静薬や鎮痛薬の使用状況を把握し,管理者を置くことを義務づけています.しかも,呼吸抑制のある薬剤の使用にあたっては一定の基準を満たした講習会やトレーニングを終了した者だけが使用できるとなっています.

このように院内の鎮静・鎮痛のなかでも,特に処置時の中等度の鎮静は非常に危険かつ問題だと考えられています.アメリカでは2002年に米国麻酔科学会(ASA)が「非麻酔科医による鎮静/鎮痛に関する診療ガイドライン」を発表して全米でもかなり鎮静薬の危険性の認識が高まりました.つまり,鎮静薬は危険な薬で使用法を誤れば,患者を危険にさらすことになるという考えがあり,安易に使用すべきでないと考えているようです.

そこで本書では処置時の場合に多い,中等度~高度の鎮静に関してQ&A形式で明日から使える知識をまとめました.鎮静・鎮痛のガイドラインの現状,鎮静薬や鎮痛薬の薬理学,標準的な鎮静・鎮痛のやり方,トラブルへの対処法,各場面での鎮静・鎮痛の実際,鎮静のトレーニング法などに関してわかりやすく,專門の先生方にまとめていただきました.明日からの臨床に役立つ知識が簡潔にまとまっていると思います.本書で臨床に使える知識を身につければ,すぐに現場で役立つものと信じています.鎮静や鎮痛でのトラブルがなくなり,患者に快適で,安全な鎮静・鎮痛が広がることを期待しています.


2016年7月

奈良県総合医療センター 集中治療部
安宅一晃

目次

はじめに

執筆者一覧

第0章 ガイドラインをおさえる

Q1 診療ガイドラインはどのように作成・評価され,どのように利用すべきですか?

Q2 日本のガイドラインでおさえておくべきものを教えてください

Q3 海外のガイドラインでおさえておくべきものを教えてください

第1章 鎮静・鎮痛の基本をおさえる

1 中等度/深鎮静・鎮痛の基本をおさえる

Q4 中等度/深鎮静・鎮痛とはどのようなものですか?

Q5 鎮静・鎮痛担当者とはどのようなものですか?

2 薬理学的な基本をおさえる

Q6 排出半減期について教えてください

Q7 相乗作用について教えてください

Q8 投与経路はどのようなものがありますか?

Q9 ベンゾジアゼピンの代表薬は?発現時間,持続時間,半減期は?

Q10 プロポフォールの発現時間,持続時間,半減期,代表薬は?

Q11 デクスメデトミジンの特徴,薬物動態は?

Q12 オピオイドの代表薬とその特徴,薬物動態は?

Q13 ケタミンの特徴,薬物動態は?

Q14 NSAIDs,アセトアミノフェンの作用機序,代表薬とその薬物動態は?

Q15 局所麻酔薬の発現時間,持続時間,代表薬は?

Q16 拮抗薬(ベンゾジアゼピン,オピオイド)の薬物動態と,拮抗の際の注意点は?

3 鎮静と痛みの評価の基本をおさえる

Q17 鎮静と痛みの評価法には何がありますか?

Q18 鎮静のスケールとは?

Q19 特殊患者(小児,知的障害,認知症など)の鎮静スケールとは?

Q20 痛みのスケールとは?

Q21 特殊患者(小児,知的障害,認知症など)の鎮痛スケールとは?

Q22 回復室で使用できる評価スケールはありますか?

第2章 中等度/深鎮静・鎮痛の実際

1 患者評価や鎮静・鎮痛法について

Q23 事前スクリーニングはどのようにすればよいですか?

Q24 インフォームド・コンセント(承諾書を含む)の方法は?

Q25 鎮静法の選択(鎮静施行場所を含む)はどのようなものがありますか?

2 鎮静・鎮痛中のモニタリングと輸液について

Q26 鎮静・鎮痛中のモニタリングの目的と種類は何ですか?

Q27 輸液の選択と投与量はどうすればよいですか?

3 鎮静・鎮痛後の回復室管理について

Q28 回復室とはどのようなもので,設備には何が必要ですか?

Q29 回復室でのモニタリングの目的と種類は何ですか?

Q30 退室基準はどのようなものがありますか?

4 鎮静・鎮痛担当者の資格と役割について

Q31 鎮静・鎮痛担当者の資格認定とその要件は何ですか?

Q32 鎮静・鎮痛前,鎮静中,回復期における鎮静・鎮痛担当者の仕事は何ですか?

5 合併疾患をもつ高リスク患者の鎮静・鎮痛について

Q33 高齢者の鎮静の注意点はなんですか?

Q34 肥満患者の鎮静の注意点はなんですか?

Q35 呼吸器疾患(COPD)をもつ患者の鎮静の注意点はなんですか?

Q36 循環器疾患をもつ患者の鎮静の注意点はなんですか?

Q37 慢性腎不全をもつ患者の鎮静の注意点はなんですか?

6 中等度/深鎮静・鎮痛の合併症管理について

Q38 中等度/深鎮静・鎮痛に伴う合併症は何ですか?

Q39 合併症に関与する因子は何ですか??

Q40 合併症(呼吸器系)に対する対策は何ですか?

Q41 合併症(循環器系)に対する対策は何ですか?

Q42 合併症(消化器系)に対する対策は何ですか?

Q43 合併症(その他)に対する対策は何ですか?

7 鎮静・鎮痛の実際

Q44 鎮静・鎮痛前評価の具体例はどのようなものですか?

Q45 鎮静・鎮痛前計画の具体例はどのようなものですか?

Q46 鎮静・鎮痛実施中の具体例はどのようなものですか?

Q47 回復室の具体例はどのようなものですか?

8 鎮静のシミュレーショントレーニング

Q48 シミュレーショントレーニングの目的は何ですか?

Q49 シミュレーショントレーニングの利点は何ですか?

Q50 シミュレーショントレーニングの対象者は誰ですか?

Q51 シミュレーショントレーニングにはどのようなタイプがありますか?

Q52 シミュレーショントレーニングコースの実際はどのようなものでしょうか?

Q53 フィードバック法はどうすればよいですか?

Q54 JAMS鎮静コースについて教えてください(勉強法について)

Q55 Procedural Sedation Course(処置時の鎮静コース)について教えてください

第3章 様々な状況での鎮静・鎮痛

1 内視鏡検査室

Q56 対象手技にはどのようなものがありますか?

Q57 鎮静・鎮痛前評価はどのようにしますか?

Q58 鎮静・鎮痛前計画はどのようにしますか?

Q59 鎮静・鎮痛実施,モニタリングはどのようにしますか?

Q60 合併症にはどのようなものがありますか?

2 カテーテル検査室

Q61 対象手技にはどのようなものがありますか?

Q62 鎮静・鎮痛前評価はどのようにしますか?

Q63 鎮静・鎮痛計画にはどのようなものがありますか?

Q64 鎮静・鎮痛実施,モニタリングはどのようにしますか?

Q65 合併症にはどのようなものがありますか?

3 集中治療室

Q66 必要な病態にはどのようなものがありますか?

Q67 鎮静・鎮痛前評価はどのようにしますか?

Q68 鎮静・鎮痛前計画はどのようにしますか?

Q69 鎮静・鎮痛実施,モニタリングはどのようにしますか?

Q70 合併症にはどのようなものがありますか?

4 救急部

Q71 対象手技にはどのようなものがありますか?

Q72 鎮静・鎮痛前評価はどのようにしますか?

Q73 鎮静・鎮痛前計画はどのようにしますか?

Q74 鎮静・鎮痛実施,モニタリングはどのようにしますか?

Q75 合併症にはどのようなものがありますか?

5 診療所(外来診療)

Q76 対象手技にはどのようなものがありますか?

Q77 鎮静・鎮痛前評価はどのようにしますか?

Q78 鎮静・鎮痛前計画はどのようにしますか?

Q79 鎮静・鎮痛実施,モニタリングはどのようにしますか?

Q80 合併症にはどのようなものがありますか?

6 小児

Q81 対象手技にはどのようなものがありますか?

Q82 鎮静・鎮痛前評価はどのようにしますか?

Q83 鎮静・鎮痛前計画はどのようにしますか?

Q84 鎮静・鎮痛実施・モニタリングはどのようにしますか?

Q85 合併症にはどのようなものがありますか?

7 歯科

Q86 歯科治療ではどのような処置のときに,どのような鎮静を必要としますか?

Q87 鎮静・鎮痛前の評価はどのようにしますか?

Q88 鎮静・鎮痛前計画はどのようにしますか?

Q89 鎮静・鎮痛実施,モニタリングはどのようにしますか?

Q90 合併症にはどのようなものがありますか?

第4章 現状と展望

1 米国における鎮静・鎮痛の現状と問題点

Q91 米国における中等度鎮静の現状はどのようになっていますか?

Q92 米国における中等度鎮静のトレーニングはどのようになっていますか?

Q93 The Joint Commission(TJC)における鎮静とはどのようなものですか?

2 日本における鎮静・鎮痛の現状と問題点

Q94 日本における中等度鎮静の現状はどのようになっていますか?

Q95 日本における中等度鎮静の問題点はなんですか?

Q96 今後の展望はどうなるのでしょうか?


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書籍情報

  • ISBN:9784758111171
  • ページ数:254頁
  • 書籍発行日:2016年8月
  • 電子版発売日:2018年2月23日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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