麻酔科医として必ず知っておきたい周術期の呼吸管理

  • ページ数 : 319頁
  • 書籍発行日 : 2017年2月
  • 電子版発売日 : 2018年3月16日
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商品情報

内容

麻酔科専攻医が本格的に呼吸管理を学ぶための入門書!

「なぜ麻酔導入時には酸素を吸入する必要があるのか」「なぜ気管チューブを抜去する前に覚醒するほうが安全なのか」など、通常の麻酔管理はすでに十分できる麻酔科医が、自分の行っている周術期呼吸管理の一つひとつのステップを見直すきっかけになればと企画された一冊。

■関連書籍
麻酔科医として必ず知っておきたい周術期の循環管理

序文

「教科書は間違いばかりなんだよね」-『Smith's anesthesia for infant andchildren』の編集者であるピッツバーグ大学の本山悦朗教授から,こんな話を伺ったことがある.ちょうど本山先生が,この教科書の編集を前任者から引き継いだころであり,間違いだらけなのはその名著であった.私の留学中のメンターであるJohnE Remmers 教授からは,『査読されない教科書は業績ではないから』と,彼が依頼された教科書の睡眠時無呼吸の病態生理の章を書くように言われた.教科書は,全体の流れをつくるために著者の個人的な経験や意見,古くからの言い伝えに基づく記述が多くなりがちである.素直に真実と信じ込んでいると,後の臨床研究で誤りであったことが証明されることもしばしばである.本山先生がおっしゃるように教科書に書かれていることは,研究が進めば間違いであることもしばしばであり,われわれの臨床も変化すべきなのである.

この教科書は,通常の麻酔管理はすでに十分できる麻酔科医が,例えば"なぜ麻酔導入時には酸素を吸入する必要があるのだろうか" "なぜ気管チューブを抜去する前に覚醒するほうが安全なのか" など,自分の行っている周術期呼吸管理の一つひとつのステップを考え直してほしいと願いつつ企画した.企画に賛同していただいた執筆者の皆さんは,麻酔科医師として知っておいてほしいと考える最新の知見を盛り込んでくださった.にもかかわらず,この教科書にも今後の臨床研究の進展に伴い誤りとなる内容があるはずである.読者である麻酔科医には,この教科書に記載された内容の矛盾や誤りに気づき,ぜひ真実を見つけていただきたい.その積み重ねが,麻酔科医の周術期管理能力を高め,周術期医療をより安全かつ質の高いものにしていくものと信じております.


2017年1月

磯野 史朗

目次

巻頭カラー

第1章 呼吸器系の機能解剖と臨床麻酔

1 呼吸調節

❶呼吸調節の全体像

❷呼吸調節のメカニズム

❸麻酔(全身麻酔薬,麻薬など)の呼吸調節系への影響


2 上気道:気道維持

❶咽頭気道維持のメカニズムと全身麻酔の影響

❷喉頭気道維持のメカニズムと麻酔や手術の影響

❸気管気道病変


3 下気道,肺胞,呼吸筋:酸素化と換気

❶下気道の構造と気道維持のメカニズム:換気における重要性

❷肺胞の構造と虚脱防止のメカニズム:酸素化における重要性

❸呼吸筋(横隔膜,肋間筋)の役割

❹麻酔薬の呼吸筋,末梢気道,機能的残気量への影響


4 酸素運搬

❶酸素運搬の目的と因子

❷大気から肺胞までの酸素運搬:呼吸活動による能動的運搬

❸肺胞から血液への酸素運搬

❹血液による酸素運搬

❺末梢組織での酸素運搬


5 気道防御

❶鼻・鼻腔での防御

❷咽頭での防御

❸喉頭での防御

❹気管・気管支での防御

❺食道機能における気道防御

第2章 術前管理

1 麻酔前の気道評価

❶さまざまな気道確保困難

❷マスク換気困難と直視型喉頭鏡を用いた喉頭展開困難が同時に起こる場合

❸覚醒時気道確保の適応


2 呼吸機能評価

❶術前に呼吸機能評価が必要なわけ

❷呼吸機能評価法

❸評価結果の解釈と対策


3 画像診断

❶胸部単純X線写真

❷頸部側面単純X線写真(特に関節リウマチ患者の術前評価について)

❸麻酔科医におけるCT検査の有用性

❹術前上気道内視鏡検査


4 睡眠検査

❶周術期管理における睡眠検査の目的

❷睡眠検査適応患者のスクリーニング:STOP-BANG問診法

❸理学所見によるOSAのスクリーニング

❹周術期睡眠検査の方法

❺小児の術前睡眠検査:MOS分類

❻周術期における睡眠検査実施体制の整備


5 禁煙

❶周術期禁煙ガイドライン

❷喫煙と周術期合併症の関係

❸術前禁煙の効果

❹禁煙期間の問題

❺禁煙の方法

❻禁煙補助薬

❼周術期に禁煙を推進する意義


6 周術期リハビリテーション

❶リハビリテーションの目的・対象

❷リハビリテーションの実際

❸インセンティブスパイロメトリーなどの方法,効果

❹リハビリテーションの効果


7 周術期の口腔管理

❶挿管時の歯の損傷と予防法

❷手術部位感染(SSI)

❸術後肺炎と口腔ケア

❹口腔ケアの実際

第3章 導入時

1 日本麻酔科学会 気道管理ガイドライン2014

❶本ガイドラインの基本理念

❷"JSA気道管理アルゴリズム"の要点


2 グリーンゾーン

❶概説 グリーンゾーンの重要性

❷導入前の準備

❸頭位も事前準備の1つ!

❹マスク換気を確実に行うテクニック

❺器具を用いた気道確保法

❻声門上器具を介した挿管

❼気管支ファイバーによる挿管


3 意識下気管挿管方法

❶意識下気管挿管の適応患者

❷意識下気管挿管で用いる方法

❸意識下ファイバースコープの適応

❹準備(器具,体位など)

❺意識下気管挿管時の実際

❻実際の挿管手順

❼意識下気管挿管時の合併症とその対応


4 フルストマック

❶全身麻酔とフルストマック

❷フルストマックを考慮すべき症例

❸フルストマック症例の気道確保戦略

❹迅速導入について

❺誤嚥の診断と治療


5 イエローゾーンとレッドゾーンでの対応

❶イエローゾーンの判断

❷覚醒と呼吸再開の方法

❸イエローゾーンでの声門上器具の使用方法

❹イエローゾーンでのV1,V2達成後の対応

❺レッドゾーンの判断

❻輪状甲状膜周囲の解剖

❼輪状甲状膜アプローチの方法と酸素化維持確立後の対応

❽気管切開の判断,PCPSの判断


6 小児の全身麻酔導入

❶小児と成人との違い

❷「日本麻酔科学会 気道管理ガイドライン2014」に準拠した全身麻酔導入方法について

❸小児の困難気道のマーカーは何か?

❹導入時気道確保困難予測小児への対応

❺イエローゾーンでの対処

❻レッドゾーンでの対応

第4章 手術中

1 人工呼吸管理

❶全身麻酔中の人工呼吸の特徴

❷換気モードと設定


2 麻酔中のモニタリングと血液ガス分析

❶換気様式ごとに正常波形(呼吸流量・気道内圧波形)を理解する

❷呼吸流量・気道内圧波形の異常

❸カプノグラムから換気状態を把握する

❹麻酔中の血液ガス分析


3 肺保護戦略

❶PPCs(postoperative pulmonary complications)とは

❷肺保護戦略の目的・効果

❸術中肺保護戦略の適応患者

❹肺保護戦略の方法


4 片肺換気

❶片肺換気の目的と適応

❷片肺換気の呼吸生理

❸片肺換気の方法

❹片肺換気中の異常の発見と対処


5 声門上器具による呼吸管理

❶SGDの利点と欠点

❷SGDの種類

❸SGDの適応

❹SGDの留置方法

❺自発呼吸か陽圧換気か

❻SGDによる呼吸管理中のトラブルとその対処


6 小児の術中呼吸管理

❶小児でカフ付き気管チューブを用いることの有用性と問題点

❷人工呼吸モードの選択について

❸人工呼吸中の呼吸に関するモニター

❹よくあるトラブルとその対処

第5章 覚醒・抜管

1 覚醒・抜管の方法

❶覚醒・抜管の評価~深麻酔期~

❷抜管準備・覚醒~浅麻酔期~

❸抜管・抜管後の評価


2 抜管前後の上気道機能評価

❶"直死につながる病態"~抜管後の上気道機能低下とその臨床的意義

❷抜管前に上気道機能を評価する方法

❸抜管後上気道閉塞の症候

❹抜管後上気道閉塞の原因

❺陰圧性肺水腫


3 抜管後の呼吸トラブルとその対処方法

❶覚醒抜管(通常の抜管)

❷深麻酔(覚醒前)抜管の適応

❸麻酔覚醒に関連したトラブル,覚醒時興奮

❹抜管後再挿管の判断基準

❺抜管後再挿管の方法

❻AEC留置後抜管対応アルゴリズム


4 小児の覚醒・抜管

❶抜管のガイドライン

❷小児の全身麻酔後の抜管手順

❸日常の抜管時に考慮するべき因子

第6章 術後呼吸管理

1 呼吸管理方法(抜管しない場合)

❶術後人工呼吸管理の適応

❷国際標準化機構ISOによる呼吸モードの標準化

❸呼吸モードの選択

❹鎮静

❺ウィーニング


2 術後呼吸管理(抜管患者)

❶術後低酸素血症

❷酸素療法

❸その他

❹術後酸素投与はいつまで行うか

❺呼吸のモニタリング


3 小児の術後人工呼吸管理

❶術後人工呼吸管理の適応

❷人工呼吸中の小児特有の問題点

❸人工呼吸中の鎮静

❹抜管と抜管後の注意点

第7章 鎮静中の気道・呼吸管理

1 歯科鎮静:適応,方法,呼吸モニタリング

❶局所麻酔補助としての鎮静の適応,禁忌と方法

❷目的とする鎮静レベルと評価

❸鎮静薬の種類と目的,投与方法

❹鎮静中の呼吸モニタリングの種類と方法〜精度と限界

❺術後の管理


2 鎮静の原則,方法,呼吸モニタリング

❶鎮静,鎮痛のどちらが必要なのか?

❷鎮静のリスク評価と施行前チェックリスト

❸鎮静薬,鎮痛薬の投与方法

❹鎮静中のバイタルサインチェック

❺鎮静中の呼吸状態変化とその対応

❻鎮静後の患者管理


3 小児の鎮静

❶鎮静レベル

❷患者評価

❸術前準備

❹鎮静中の気道管理

❺鎮静の実際

第8章 術前呼吸器系合併症とその対策

1 閉塞性睡眠時無呼吸:小児

❶小児OSAの特徴

❷術前評価

❸術中・術後管理


2 閉塞性睡眠時無呼吸:成人

❶OSAの病態生理

❷OSA患者はどの程度存在するのか?

❸麻酔上の対策

❹術後のOSA治療方法


3 病的肥満患者の周術期呼吸管理

❶肥満のタイプと解剖学的・生理学的変化

❷術前気道評価

❸麻酔導入

❹麻酔からの覚醒・抜管


4 COPD

❶病態生理の特徴

❷周術期のリスク:「何が」「なぜ」怖いのか?

❸術前の呼吸管理

❹全身麻酔中の呼吸管理

❺術後の呼吸管理


5 喘息

❶病態生理

❷管理の基本

❸気管支喘息患者の麻酔管理


6 特発性肺線維症/特発性間質性肺炎

❶病態生理の特徴

❷周術期のリスク:「何が」「なぜ」怖いのか?

❸術前管理

❹術中の呼吸管理

❺術後管理


7 頭頸部腫瘍

❶頭頸部腫瘍に伴う呼吸器系合併症の特徴

❷一次治療の場合

❸救済手術,あるいは二期的手術の場合

❹化学療法,放射線治療後の手術

❺進行した気道狭窄により,局所麻酔下での気管切開もリスクが高い症例


8 縦隔腫瘍

❶縦隔腫瘍の分類

❷縦隔腫瘍症候群とは?

❸MMSのリスク評価

❹縦隔腫瘍患者の麻酔管理

❺術後


9 ARDS

❶ARDSの定義と病態

❷呼吸管理の実際


10 顎顔面奇形

❶頭蓋骨早期癒合症

❷術前の呼吸の評価

❸頭蓋顔面奇形に伴う睡眠時無呼吸

❹鰓弓異常に伴う症候群

❺唇裂,口蓋裂

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書籍情報

  • ISBN:9784758111188
  • ページ数:319頁
  • 書籍発行日:2017年2月
  • 電子版発売日:2018年3月16日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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