- m3.com 電子書籍
- M&Mで改善する! ICUの重症患者管理
商品情報
内容
ICUで出会う重大なトラブルを網羅し、原因の究明と再発防止、適切な治療・管理のポイントが身につく本書。M&Mの概要、進め方、自院での導入法も学べ、ICU診療の力を向上させたい方、M&Mについてもっと知りたい方に最適な一冊です。
◆M&Mカンファレンスとは?
患者に重大な不利益(合併症および死亡)が起こったときに、何が起こり、なぜ起こり、今後どのように改善すべきか?について、関係者が集まり検討するカンファレンス。
序文
本書を手に取ってくださったみなさまへ
随分長いこと集中治療室(ICU)で働いてきました.少なからず,いや多くの,人の死に立ち会って来ました.おそらくダメだろうと半ば諦めていたら回復し,人間の生命力に単純に感動したり,病勢が強すぎて何をやっても反応せず,こんなに人間はあっさり亡くなるのだと呆然とし,医療者としての無力感に苛まれたこともあります.
救命できた患者さんよりもできなかった患者さんの方が長く記憶に残っています.おそらくみなさんもそうではないでしょうか.患者さんの死に直面する度に,そこに至るまでのプロセスを振り返り,何か異なる転帰をもたらすような介入ができたかどうか思いを巡らせます.みなさんも,もう少し早く介入ができていれば,あのときに違う選択をしていれば,もしかしたら転帰は変わっていたかもしれないと自然に考えますよね.
ICU の代表的疾患である敗血症,急性呼吸促迫症候群の死亡率は依然として20 ~30% 台と高く,多臓器不全になれば死亡率はうなぎのぼりに上昇します.ギリギリの分岐点に立たされたときに,選択の違いや決断の遅れで異なる転帰をもたらすこともあるのは確かです.しかし,あくまで後ろ向きに振り返り想定した分岐点ですし,異なる道を選択したら果たして結果が異なったかどうか決して明らかにはなりません.
この「もし....」は,急性期に関わる多くの医師が患者さんの死に当たり自然に行う"振り返り" です.そして死から何か未来につながるものを得ようとします.本書の14例のケースカンファレンスのなかに,そのような患者さんの死や重大事象を未来に活かすべく,もがいている真摯な医療者の態度を垣間みることができます.一人でもがくのではなくチームでもがき,診療を改善しようとする医療者たちです.
本書の目的と対象読者
本書を制作するに当たり2つの目的を設定しました.そして,それに応じた読者を想定しました.
第一の目的は,M&Mカンファレンスになじみの薄い読者に,M&Mカンファレンス とは一体どのようなものかイメージをもってもらい,自分の部署で行う際のヒントとして活用してもらうというものです.したがって,対象とする読者は,
・医療の安全や質が問われる昨今,M&Mがどのようなモノか知りたい
・実際にM&Mを開催したいが,どのようにやったらよいかわからない
・院内でM&Mを開催したが頓挫した.復活したいができないでいる
方でしょうか.職種や経験は特に問いません.14 例のケースカンファレンスも,急性期で働く医療者以外にもできるだけわかりやすく共感できるように書かれています.
第二の目的は他人が経験した重大事象を純粋に教材として自己学習してもらうというものです.したがって対象の読者は
・急性期重症患者診療に関して症例を通して自分の知識を増やしたい
・他人の経験した重大事象から学び,自分の未来の診療に役立てたい
方で,ICU や救急部門で勉強中の若手医師ということになるでしょう.
前者の"M&M知りたい派" の読者はいずれかのタイミングで「総論:M&Mを始めよう M&Mとは何か?」や各ケースカンファレンスの最後に登場するコラム「M&Mを終えて Dr. 讃井の一言」をお読みになることをお勧めします.
一方,後者の"自己学習派" の読者は,総論を飛ばして興味が湧いたケースから気の向くままに読んでください.少し飽きたら箸休めに総論や「Dr. 讃井の一言」を覗いてみてください.臨床に役立つヒントが隠されているのに気づくでしょう.
本邦でも,病院内の医療安全と質を高める動きが普及してきました.しかし,誤解が多かったり用語が一人歩きしたり,まだまだそのポテンシャルを十分に発揮できているとはいえません.筆者は,M&Mを通して
・ 失敗を認めそれを公開,共有し,そこから冷静に学び質の改善に結びつける文化を育て,
・医療者,病院システムとして一種の生涯学習を継続し,
・医療の安全と質を高めることに貢献する
という,いささか不遜な野望をもっています.
本書内のカンファレンスについて
以下にケースカンファレンスを読むに当たっての注意事項をお示しします.
・実際の症例がヒントになっているが細部は大幅に変更してある
・会話は記録や録音を書き取ったものではなく,完全な創作である
・会話に口語らしくない表現や説明的な表現が含まれている
・会話中に,良い会話例,悪い会話例を用いてカンファレンス運営上のヒントをちりばめた
会話を読んで違和感を感じる読者がいらっしゃるかもしれませんが,文章としての読みやすさを求め,M&Mとはどんなものかをお知らせしたいという意図があっての結果であることをご了解いただければ幸いです.
最後に,今まで私と一緒に院内や学会レベルで開催したM&Mカンファレンスに協力していただいた関係者のみなさま,寝る間を惜しんで文献を調べスライドを作ってくれた心熱い若きドクターたちに,特に本書のケースカンファレンスを創作してくれた将来有望な若き急性期ドクターたちにこの場を借りて御礼申し上げます.また,羊土社編集部の皆さん,特に職場まで頻繁にご足労願った保坂早苗さん,迅速に製作作業を進めてくれた中林雄高さん,そして今まで勉強させていただいた患者さんおよびその家族に感謝の意を表したいと思います.
2013年9月
自治医科大学附属さいたま医療センター
麻酔科・集中治療部
讃井將満
目次
総論:M&M を始めよう
M&Mとは何か?
M&M ケースカンファレンス~重大事例から学ぶ
気道・呼吸
Case1 人工呼吸器管理中の換気困難
Case2 経皮的気管切開後の出血
Case3 経皮的気管切開1週間後の緊張性気胸
循環
Case4 周術期心筋虚血
Case5 脳梗塞を合併した人工弁心内膜炎
体液・電解質
Case6 ICU退室後の心室細動
栄養・腹部
Case7 心臓外科手術後の非閉塞性腸管虚血
Case8 経肛門減圧チューブによる大腸穿孔~院内M&Mデータベースの検討
Column 沖縄県立中部病院におけるM&Mカンファレンスのしかた
感染
Case9 開腹人工血管置換術後の肺炎・敗血症性ショック
Case10 人工肛門閉鎖術後の中毒性巨大結腸症
Case11 抗菌薬de-escalation後のVAPの増悪
血液・凝固
Case12 脳外科術後の肺血栓塞栓症
その他
Case13 中心静脈カテーテル挿入に伴う機械的合併症
Case14 透析用カテーテル留置患者の空気塞栓
M&Mを終えて Dr.讃井の一言
M&Mの醍醐味
議論のポイントを絞る
良い司会者とは
早期開催を心がけ,ナースの証言を大切にする
M&Mの主旨を浸透させるには
ICU入室・退室時の申し送り
M&Mを根付かせるには
データベース作成の意義
M&Mカンファレンスはこの挨拶から
思い込みを打破するには
外部コメンテーターを最大限利用するには
な・が・ら・カンファレンスの効果
個人の努力に頼らない改善策の提案を
「誰が」は禁句ですが...
便利機能
- 対応
- 一部対応
- 未対応
-
全文・
串刺検索 -
目次・
索引リンク - PCブラウザ閲覧
- メモ・付箋
-
PubMed
リンク - 動画再生
- 音声再生
- 今日の治療薬リンク
- イヤーノートリンク
-
南山堂医学
大辞典
リンク
- 対応
- 一部対応
- 未対応
対応機種
-
iOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:13.8MB以上(インストール時:30.1MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:55.2MB以上
-
AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:28.3MB以上(インストール時:70.7MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:113.2MB以上
- コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
- コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
- Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
- Androidロゴは Google LLC の商標です。
書籍情報
- ISBN:9784758117449
- ページ数:181頁
- 書籍発行日:2013年11月
- 電子版発売日:2015年3月20日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
お客様の声
まだ投稿されていません
特記事項
※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。
※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。
※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。
※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。