• m3.com 電子書籍
  • THE「手あて」の医療 身体診察・医療面接のギモンに答えます

THE「手あて」の医療 身体診察・医療面接のギモンに答えます

  • ページ数 : 234頁
  • 書籍発行日 : 2019年2月
  • 電子版発売日 : 2019年5月10日
4,180
(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 228pt ( 6 %)
m3ポイント:1%相当 point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

身体診察の知識は臨床に生かしてはじめて意味がある!

“現場に出てはじめて気づく”身体診察・医療面接の疑問に,診察大好き医師たちが解答.教科書どおりにいかない「あのとき」をこの1冊で乗り越えて,患者に寄り添う「手あて」の医療をはじめよう!

序文

●あなたは時代の変化を感じていますか?

「この10年を振り返っても,医療分野の技術革新は著しく...」と書くと,検査技術や治療技術の変化のことかと感じるかもしれません.確かに,これまで行われていた開腹手術は腹腔鏡手術へ代わり,カテーテル検査も心臓CTへ,心臓外科手術もカテーテル手術へととって代わっています.しかし,研修中のあなたが感じるべき変化は専門検査・治療ではありません.あなたが感じるべき最大の変化は学習法です.10年前と違い,書店に行くとさまざまな分野の難しかった専門書が今やコミックのようにわかりやすく説明されている本がたくさん並んでいます.そして,インターネットで検索すれば,一般の人でもわかるような説明が,まれな疾患ですら丁寧に解説されています.さらに,インターネットを通して全国のありとあらゆる勉強会の情報が得られ,全く出会うはずのなかった,他県の志の高い研修医どうしが集まり,情報共有する時代です.すなわち,学びたいと思う人はわかりやすい教科書から,インターネットで原著論文まで読み,その情報を本当に信用していいのか同志に確認する作業まで行うことができます.情報がこれほど簡単に入ると,自分で学ぼうとする医師と他人任せ(特に上級医の助言)の情報に依存する医師とでは信じられないほど差がついてしまう時代になっているのです.時代の流れを感じない人は,必ず時代から置いていかれ,ジジくさい若手医師になってしまいます.だから,皆さんにはとにかく好きなこと(分野)を探してとことん学び,共有することをお勧めします.

医療面接・身体診察は医師という仕事の原点に位置する技術です.本書は前述したような今の時代を感じる医療面接・身体診察大好き医師達が集結し,これまで伝えられていなかった,古くて新しい医療面接・身体診察の書です.一見当たり前に見えても実際行うは難しい内容が現場視点で書かれています.


●身体診察の知識は臨床に生かしてはじめて意味がある

身体診察技法の習得に悩んでいるのは決して若手医師だけではありません.卒後臨床研修制度がはじまったのは私が医学部6回生のときでした.それまでは医師のほとんどが大学医局に入局し,それぞれの専門診療科の研修を積み,現在の指導医になっています.全身の身体診察を系統的に誰かから教わって指導医になったという先輩医師がきわめて少ないのは当然です.われわれの先輩医師のほとんどが身体診察技法を教えてもらっていないのです.では身体診察を疎かにしている現場はどうなっているのでしょうか.問診はするものの,ほとんど診察されずにCTやMRIの検査に走っている現場になっていないでしょうか.例えば,咳や痰の主訴だけを聴いてほとんど診察せずCT を撮影している現場です.そこに身体診察好きの研修医が時間をかけて診察していると,指導医から「そんなのいいから早く検査しろ」という言葉が飛んでくるかもしれません.しかし,われわれはこのような言葉に屈してはいけません.なぜならば身体診察の最大の教師はベッドサイドの患者だからです.本書は身体診察の教科書はこれまで読んだけど,それでも上手く臨床に使うことができない,という疑問に答える内容になっています.知っている診察技法でも,「あれ?使っていないな」「これ,やったことないな」と思える手技はぜひ読み飛ばすのではなく,立ち止まり,印をつけて目の前の患者さんのところに足を運んでください.身体診察の知識に命を吹き込むのはあなたなのです.


●情報収集だけが医療面接ではない

医療面接は,刑事さんの尋問ではありません.なぜならば医療面接は診断のための情報収集だけが目的ではないからです.確かに,詳しく病歴を聴取することで患者も意識していなかったことが診断につながることもあります.しかし,患者との医療面接という対話は,話すスピード,抑揚,目の動きなどから患者の心の動きを読みとることができますし,われわれの質問の仕方,話の聞き方が患者の心に伝わります.ですので,病歴聴取や病状説明の最中に患者は泣き出すかもしれません.本書と他書の医療面接の書籍との最大の違いは,医療面接が情報収集だけではなく,患者の心も読み解くという技を披露しているところです.臨床の現場では問診自体が難しい患者を毎日のように診察しているのに,教科書のなかでは問題になっていないことは多々ありますが,本書ではその問題に直球で挑んでいます.


●医学はサイエンスに支えられたアート(芸術)である

約150年前,今日の医学教育の基礎を築いたウィリアム・オスラー先生のこの言葉が今,この時代になって本当に必要になってきました.以前ならば知識をたくさんもつ医師が尊敬されていましたが,その知識は膨大になり日々変化し,専門領域にしてもすべてを覚えておくことはできなくなりました.それに呼応するように,情報にいつでもアクセスできる時代になりました.スマートフォンを開けばいつでも世界中の論文を読むことができます.しかも,医師ではなく,一般人も閲覧可能なのです.さらにその先の未来にはAI(人工知能)の時代がすぐそこまで来ています.

サイエンスとはエビデンスに基づいた学問に例えることができます.ではアートとは何か.日本語にすると「芸術」と訳することができます.芸術には絵画や彫刻といった形を残すものと,音楽や演劇といった無形のものがあります.絵画や音楽などの芸術を観たり,聴いたりするとわれわれは,嬉しい気持ちやすがすがしい気持ちあるいは悲しい気持ちになります.鑑賞するだけで涙を流すこともあります.

医学はサイエンスに支えられたアート(芸術)である.

あなたが行う医療面接,身体診察といった医療行為を「芸術」として体現できるのならば,患者の声に耳を傾け,患者の身体に手をあてるだけで患者の癒やしとなり,感動を与えることができるのです.


2019年2月

手あての医療で溢れるセカイを目指して

平島 修

目次

第1章 「手あて」の医療をはじめよう

1 はじめの一歩はバイタルサイン

2 スクリーニングのための身体診察のコツ

3 どうする病歴聴取? 身体診察につなげるコツ

4 良好なコミュニケーションのコツ

第2章 私が答えます!バイタルサイン・身体診察の「どうすればいいの!?」

1) バイタルサイン

1 血圧の左右差や白衣高血圧の解釈ってどうしたらいいですか?

2 低血圧であればショックバイタルじゃないんですか?

3 呼吸数って必要なんですか?どうみればいいですか?

2) 呼吸器の診察

1 副雑音の分類,いろいろあってよくわかりません!

3) 循環器の診察

1 頸静脈は外頸・内頸どちらをみたらいいのですか?

2 Ⅲ音・Ⅳ音って本当に聞こえるのですか?

3 心雑音が聞こえたら,何をどこまで考えるべきですか?

4) 消化器の診察

1 腹膜刺激症状があれば緊急手術ですか?

2 腹部の診察で打診を武器にしたいのですが?

3 苦手な直腸診,配慮の仕方と診察のポイントを教えてください

5) 神経の診察

1 意識のない患者さんの神経診察はどうしたらいいのですか?

6) 小児の診察

1 子どもは泣くから無理です!泣かない工夫,泣いてもとれる所見を教えてください

7) 外傷の診察

1 外傷患者で最初にみるべきものは何ですか?

8) 診察道具のあれこれ

1 やっぱり打腱器でうまく叩けません...

2 教えてください! ペンライト活用術!

3 教えてください! エコーの診察活用術!

第3章 私が答えます!医療面接の「どうすればいいの!?」

1 忙しい救急外来,効率のよい病歴聴取の方法を教えてください

2 複雑な病歴の場合,どの情報が重要なのか,振り分けのコツを教えてください

3 Review of systemsの上手な活用法を教えてください

4 一生懸命説明したのに,患者さんが全然理解できていません

5 認知症が疑われる患者さん,どうしたらいいのですか?

6 意識障害の患者さんからの情報収集ができません...

7 生活歴聴取のポイントを教えてください

8 サプリメントについて聞かれたら?

9 月経歴と性交歴の聴取が恥ずかしい!

10 プライバシーに配慮するべき内容のポイントと聴き方を教えてください

11 こっちが泣きたいよ! すぐ泣いちゃう子どもの病歴聴取のコツ

12 患者さんの話を脱線させないためにはどうすればよいでしょうか?

13 外国人を診るときはどうしたらよいのだろう?

14 海外渡航帰りの患者さんのポイントを教えてください

15 患者さんを安心させる病状説明のしかたがわかりません...

16 「どうしても経口抗菌薬をください」と言われたら?

17 介護申請ってどんな人に必要?介護申請をどう勧める?

18 初めてのDNAR確認,落ち着いて聞く方法を教えてください

19 死亡確認後の家族への声かけと病理解剖のお願いが苦手です...


索引

執筆者一覧

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:20.5MB以上(インストール時:47.4MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:82.0MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:33.0MB以上(インストール時:71.8MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:132.0MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758118477
  • ページ数:234頁
  • 書籍発行日:2019年2月
  • 電子版発売日:2019年5月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。