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- Gノート増刊 Vol.5 No.6 終末期を考える 今、わかっていること&医師ができること
商品情報
内容
ACPの進め方,意思決定支援,多職種連携,医療者のケアなど,実践的な知識やエビデンス,参考になる事例が満載!これからの多死社会を診る医師に必須の知識とスキルが身につく!
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序文
序
~2018年,なぜ終末期を考えるのか~
医者になって救急の現場に出て最初に感じたことは,「想像した光景と全然違う!」でした.
学生時代あまり勉強熱心でなかった私は,ほとんど病院見学に行くこともなく,救急車をいっぱい見たらいい医者になれるのではないかと思い,忙しい急性期病院で初期研修をはじめました.
連日当直をしていると,イメージしていた若年者の交通外傷,急性の感染症などはあまり搬送されず,高齢者のくり返す誤嚥性肺炎,尿路感染症,腰痛などが多くを占めていることに気がつきました.そして,その患者さんたちに,多くの医療者が関心を示さないことに.
嚥下機能の低下した認知症の患者が胃瘻をつくられ転院していくことが,1つの「作業」として行われていたことに私は辛さを感じました.
多くの医師は,病気を治すために医師をしている,と自身を定義していると思います.しかし,現代は医学・医療が大きく進歩したことで,病気とは(治るものもあるけど)治らないものであると明確になってきているのではないでしょうか.
病気は治らない.21世紀になり,わが国の医療は大きなパラダイムシフトを迎えています.
治らない病気を複数抱えている,ということは,何が正しい医療かがわかりにくい,ということでもあります.「正しさ」とは何か,から本来は議論をしなければなりません.それは「作業」の場では難しい問題です.
治らない病気の延長戦上に終末期が存在する,とされています.しかし,終末期とはそもそも何でしょうか?また,終末期の先には死があるようです.では,死とは何でしょうか?終末期とは何か,死とは何か,それは医学では絶対に答えが出ない世界です.
そして患者さんが向き合っている世界でもあります.
われわれは風車に立ち向かうドン・キホーテのように,無謀な取り組みをしているのかもしれません.ただ,
① 患者の今後の人生における医学的な見立て
② 患者自身が何に困っているかを引き出すコミュニケーション力
③ ①,②の問題点を整理し,助言できる力
上記3つの力をもてば,多少でも患者の役に立てるかもしれない,そう思って私自身は日々診療し,そして若い総合診療医たちに伝えたいと思い本誌の編集にかかわりました.
終末期を考えるとは,患者自身の死を考えること,それを通じて自分自身の生と死を見つめることにほかなりません.患者の死を見つめているようで,私たちの死生観が今,問われていると感じています.
この本は,私の前で息を引きとった,また,これでよいのか自問しながら転院させていった,物言えぬ高齢者たちが,私に編集させてくれたと思っています.文字通り身をもって勉強させていただいた方々へ感謝いたします.
2018年7月
飯塚病院 緩和ケア科
岡村 知直
目次
序 ~2018年,なぜ終末期を考えるのか~
第1章 総論:終末期を考える
1 終末期とは何か?
2 終末期医療はなぜ難しいのか?
3 終末期とAdvance Care Planning
4 地域のなかの終末期ケア(終末期医療)
5 終末期をめぐる日本社会の動向
6 終末期患者は誰が診るべきか?
終末期を考えるさまざまな取り組み①
縁起でもない話をもっと身近に,当たり前に「もしバナ」のある世界へ
第2章 疾患別の終末期 わかっていることvsいないこと
1 なぜ疾患別に考えるのか?
2 がんの終末期
3 心不全の終末期
4 慢性呼吸器疾患の終末期
5 慢性腎不全の終末期
6 肝硬変の終末期
7 神経疾患の終末期
8 認知症の終末期
9 膠原病の終末期
10 精神疾患の終末期
11 重症下肢虚血の終末期
12 血液疾患の終末期
13 小児の終末期 ①小児がんの場合
14 小児の終末期 ②非がん疾患の場合
15 老衰
16 予期せぬ急死 ~救急外来の現場から
終末期を考えるさまざまな取り組み②
九州心不全緩和ケア深論プロジェクト
第3章 終末期において,できること&やるべきこと
1 終末期の代理意思決定について
2 治療中止のタイミングはいつか? ①総合内科編
3 治療中止のタイミングはいつか? ②腫瘍内科編
4 本当に家に帰れないのか?
5 終末期の栄養・水分摂取
6 終末期において噴出する問題,その社会的背景を考える
7 病棟での終末期/看取り
8 在宅での終末期/看取り
9 施設での終末期/看取り
10 死亡診断書について
11 DNAR指示について
終末期を考えるさまざまな取り組み③
住民と医療者がともに行う意思決定支援の場 Co-Minkan
第4章 事例に学ぶ 家族・遺族ケアから医療者のケアまで
1 終末期患者の家族ケア,遺族ケア ①看護師の立場から
2 終末期患者の家族ケア,遺族ケア ②緩和ケア医の立場から
3 終末期患者,患者家族とのコミュニケーション
4 終末期医療における多職種連携
5 終末期医療にかかわる医療者のケア
6 事例① 症状緩和でうまくいかなかったケース
7 事例② 社会的な理由でうまくいかなかったケース
8 事例③ 倫理的な対立が生まれたケース
9 事例④ 治療継続か中断か悩み,結果的に後悔が残ったケース
終末期を考えるさまざまな取り組み④
緩和ケアという言葉を使わずに緩和ケアをする
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書籍情報
- ISBN:9784758123327
- ページ数:287頁
- 書籍発行日:2018年9月
- 電子版発売日:2018年10月19日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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