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- ガイドラインには載っていない 肝胆膵がんPractical Treatment
商品情報
内容
日常診療では、対応に苦慮する患者や状況は少なくありません。治療が多様化し、複雑になった分、むしろ増えているかもしれません。
化学療法を中心に、適応、使い分け、合併症での使用、副作用対策など日常診療で困ったこと、迷ったことにエキスパートたちが回答!
エビデンスが無いところに、一定の方針を示しています。
新規レジメン・薬剤にも対応。
序文
がん治療のエビデンスを道に例えると,ガイドラインは多くのエビデンスに裏付けられた幹線道路かもしれません。標識に従って行けば大きな間違いなく目的に到着できます。しかし幹線道路から外れた脇道ではどちらの方向に進めばよいのかわからず,右往左往してしまうことも少なくありません。今回の「ガイドラインには載っていない肝胆膵がんPractical Treatment」は,脇道ではあるが日常診療で数多く遭遇するクリニカルクエスチョンを挙げて,エキスパートに解説していただきました。
エビデンスが少ないといわれていた肝胆膵がん領域のがん治療も,この数年臨床試験に裏打ちされたエビデンスが集積し,ガイドラインも版を重ねています。化学療法だけみてもエビデンスの進歩は大きいものがあります。進行肝細胞がんではソラフェニブが初めて生存期間を延長しました。膵がんではゲムシタビン+エルロチニブ併用療法,FOLFIRINOX療法,ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法と相次いでゲムシタビン単独治療を超える成績を出しています。日本でもS-1の有効性が報告され,特に膵がん術後補助療法では驚異的な成績が世界に発信されました。胆道がんにおいても第Ⅲ相試験によりゲムシタビン+シスプラチン併用療法という世界共通の標準治療が確立しています。
しかし,日常診療では対応に苦慮する患者や状況は少なくありません。治療が多様化し,複雑になった分,むしろ増えているかもしれません。今回編集委員が集まって,化学療法を中心に,適応,使い分け,合併症での使用,副作用対策などなど日常診療で困ったこと,迷ったことを挙げたところ,かなりの数になりました。このようなクエスチョンへの回答は,エビデンスがないところに一定の方針を示すのですから,指名されたエキスパートも相当困ったであろうことは想像に難くありません。執筆いただいてからも,編集委員と何度かやり取りをしてやっと完成にこぎつけました。執筆いただいた先生方にはこの場を借りて厚くお礼申し上げます。
エビデンスレベルが低いとされる「専門家の意見」もこれだけしっかり考慮して検討を重ねれば,きわめて有用な意見になります。そして,これらの情報を肝胆膵がんの診療に携わる医療者みんなで共有できれば,作成に携わった私たちにとって望外の喜びです。本書がガイドラインでは解決できない日常診療の疑問の解決に大いに役立つものと確信しています。
2015年1月
杏林大学医学部内科学腫瘍内科教授
古瀬 純司
目次
Ⅰ 個々の症例を考えるうえでの基本的考え方
①エビデンスの乏しい肝胆膵がん治療の考え方
Ⅱ こんなとき治療をどうするか
①閉塞性黄疸合併例での化学療法のタイミングとマネジメントは?
②化学療法によるB型肝炎再活性化の病態とポイントは?
③腎障害時での抗がん剤の使い方─適切な適応,減量,モニタリングは?
④糖尿病患者での抗がん剤の使い方と糖尿病マネジメントをどうするか?
⑤心筋梗塞既往,心不全患者での抗がん剤の使い方とマネジメントは?
⑥がん患者において,抗血小板薬・抗凝固薬と抗がん剤をどう使うか?
⑦高齢者に対する化学療法の適応と抗がん剤の選択は?
Ⅲ 肝細胞がん治療のpractice
①TACE治療中に再発を繰り返す場合,どの時期にソラフェニブを考慮すべきか?
②ソラフェニブの適応は,肝機能低下や高齢者に対してどこまで許容されるか?
③ソラフェニブの治療開始投与量は,減量開始がよいのか?
④ソラフェニブ投与中はどのように血液検査をして経過観察すべきか?
⑤有害事象を軽減・対処してソラフェニブ治療を継続するためにはどのようにすべきか?
⑥ソラフェニブ治療中に抗腫瘍効果の評価はどのようにしていくのか?
⑦ソラフェニブ治療の中止は,画像PDもしくは臨床的PDのどちらにするべきか?
⑧ソラフェニブ治療終了後の後治療はどのようにするべきか?
⑨ソラフェニブと他治療との併用療法や根治療法後補助化学療法は行うべきか?
⑩2cm乏血性の多発病変はどのように取り扱ったらよいのか?
⑪小型3結節で切除やRFAなどの1つの治療のみで治療困難な症例に対する治療はどのようにするのか?
⑫ヨードアレルギー,造影剤アレルギー症例に対してはどのように対応したらよいか?
⑬肝動注化学療法はどのような症例に適応があるか?
⑭肝動注化学療法のレジメンとしてはどのようなレジメンが推奨されるのか?
⑮動注リザーバーに関連する副作用とその管理はどのようにするのか?
⑯放射線療法はどのような症例にどのように用いるとよいのか?
⑰放射線治療を行うにはどのような方法を選択し,何に注意をして行うべきか?
Ⅳ 胆道がん治療のpractice
①病理診断へのアプローチ―細胞診?US下生検?ERCP下生検?あるいはEUS-FNAか?
②切除可能例での術前ドレナージ法をどうするのか?
③肝外胆管狭窄に適したステントの選択と管理は?―ステントの選択と最適な留置法について
④肝門部胆管狭窄に適したステントの選択と管理は?―肝門部狭窄の特殊性を踏まえて
⑤GEM+CDDPが適応できない場合の治療は?S-1はどうか?
⑥GEM+CDDPはどこまで続けるか?
⑦GEM+CDDPの減量方法と骨髄抑制への適切な対応は?
⑧GEM+CDDPが適応できないときにGEM単剤はどうか?
⑨胆道がんでのS-1の位置づけ-適応とその根拠は?
⑩GEM+CDDPが不応となった後の化学療法はどうするか?
⑪術後補助療法として選択しうるレジメンとその根拠は?
⑫術前補助化学療法として選択しうるレジメンとその根拠は?胆道がんのダウンステージによる切除は可能か?
⑬化学療法中の胆管炎・肝膿瘍のマネジメントはどうするか?
Ⅴ 膵がん治療のpractice
①病理診断へのアプローチ―CT・USガイド下生検かEUS-FNAか?細胞診か組織診か?FNAができない場合どうするか?
②悪性胆道狭窄を伴う切除不能膵がんに対する最適なドレナージ法は?
③FOLFIRINOX:腎機能低下例での適応はどこまで可能か?―若年,PS良好,ステントなし,腎機能だけ少し悪い患者に選択するか?
④FOLFIRINOX:糖尿病を有する転移性膵がんへの適応はどこまで可能か?
⑤FOLFIRINOX:胆管ドレナージ例での適応は?
⑥FOLFIRINOX:副作用マネジメント―下痢への対応,G-CSFの使用のタイミングは?
⑦FOLFIRINOXのmodifyの考え方―どの薬剤を,どう減量するか?
⑧FOLFIRINOXとGEM+nab-PTXの使い分け―使い分けのポイントは何か?
⑨FOLFIRINOXとGEM+nab-PTXの末梢神経障害への対応―いつ,どのような対応が必要か?
⑩GEM+エルロチニブの効果が期待できる適応と使い方は?
⑪GEM+エルロチニブ:皮疹のマネジメント―リスクとベネフィットを考慮した効果判定や治療継続をどうするか?
⑫局所進行膵がんに対する化学療法の適応と治療選択肢は?―FOLFIRINOX ? GEM+nab-PTX?そのほか?
⑬化学放射線療法の位置づけは?―どんな症例にどのタイミングで使うか?
⑭化学放射線療法の具体的な治療法は?―どんなレジメンがよいのか?エビデンスはあるのか?
⑮二次治療以降の適応と治療法は?
⑯有望な術前補助療法は?―化学療法単独か?化学放射線療法か?それとも......?
⑰S-1術後補助化学療法中・直後の再発例はどうするか?
⑱膵がんのダウンステージによる切除は可能か?
⑲重粒子線治療は有用か?局所制御は切除術に匹敵するか?
Ⅵ 神経内分泌腫瘍のpractice
①膵神経内分泌腫瘍に対するTACEの位置づけ
②膵神経内分泌腫瘍に対する局所療法(切除もしくはRFA)の位置づけは?
③切除不能膵神経内分泌腫瘍に対して,エベロリムスとスニチニブはどう使い分けるか?
④エベロリムスの間質性肺炎をどうマネージするか?
⑤スニチニブの特徴的副作用のマネジメントをどうするか?―肝障害と甲状腺機能低下
⑥スニチニブの心機能への注意点とモニタリングをどうするか?
⑦肝胆膵低分化神経内分泌がんの治療選択をどうするか?
⑧膵低分化型神経内分泌がんに分子標的治療薬は使えるか?
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書籍情報
- ISBN:9784758303743
- ページ数:256頁
- 書籍発行日:2015年3月
- 電子版発売日:2015年6月26日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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