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- 緑内障チューブシャント手術のすべて
商品情報
内容
2012年4月にわが国で認可された緑内障チューブシャント手術は、今、眼科医から脚光を浴びている。従来の緑内障手術より手術成績がよく、術後合併症が少ないとなれば、今後、どんどん手術件数は増えていくと容易に想像できる。
その手術について本書では、適応、4種類の手術の特徴・手技(動画あり)、合併症対策について載せている。さらに、これから習得したいが知識がなく不安を抱える初心者向けに、やさしいQ&Aコーナーも掲載した。 まずは本書1冊を読破して手術についてマスターしていただきたい。
序文
緑内障は視神経の萎縮を起こす疾患である。現在,その治療として神経保護などの研究が精力的に行われているが,2012年12月現在,エビデンスのある有効な治療法となると眼圧下降のみと言わざるを得ない。近年,眼圧下降のための薬物療法はβ遮断薬,プロスタグランジン製剤,炭酸脱水酵素阻害薬などの開発によって目覚ましい進歩がみられているが,手術に関しては1968年のCairnsの報告以来最近まで,トラベクレクトミーがGold standardの地位を占め続け,あまり大きな進歩がなかった。トラベクレクトミーは比較的簡単な手技で良好な眼圧下降が得られる優れた手術方法ではあるが,輪部付近に濾過胞を形成する非生理的な手術であり,いかに手技を磨いたとしても濾過胞感染,低眼圧黄斑症などの重篤な合併症を根絶することは難しい。また,多重手術などで結膜が瘢痕化しているような難治性の症例では何度手術を繰り返しても眼圧のコントロールが得られない場合があることも事実である。
2007年のわが国における成人失明原因の第一位は残念なことに緑内障であり,加齢黄斑変性が失明原因の第一位を占める大多数の欧米先進国の状況とはかなり異なっている。トラベクレクトミーや流出路手術に限界があることは明らかであるが,次の有望な手術方法と目されてきたチューブシャント手術(以前はSeton 手術,緑内障インプラント手術などとも呼称されていた)は,国内で学術的な報告が文献に現れ始めてから25年になるにもかかわらず種々の条件の整備が遅れ、最近に至るまで国内で普及するには至らなかった。しかし2012年の保険収載とともに流れは変わりつつある。
本書の編集を行った私達「チューブの会」は,2010年11月に国内での緑内障チューブ手術の普及を図るとともに,保険適用認可を最終的な目的として発足した。幸いなことに日本緑内障学会,厚生労働省,緑内障フレンドネットワークといった患者団体などの協力を得て2012年4月1日,Baerveldt implant とEX-PRESSTM が保険適応となり,今後はこの手術の本格的な普及発展の時期に入ることが期待される。しかしチューブシャント手術は外国においても未だに発展途上の手術で,多くの改良や調査が継続して行われている途中であり,この手術法は今も日進月歩の進化を遂げている。
本書の著者はいずれも多数の手術経験を持ち独自の境地を開いてきた術者ばかりであり,その経験を吐露していただく機会を得たことはまことに時宜を得たもので,この手術を手掛ける術者に多くの示唆を与え,緑内障による失明を減少させることに寄与できるものと期待している。最後にこの企画を支えて頂いたメジカルビュー社の吉川さん他のスタッフの献身的な協力に感謝申し上げたい。
2012年 12月
編集を代表して
千原 悦夫
目次
1 緑内障インプラントの歴史と未来(翻訳)
History and Future Directions of Glaucoma Drainage Implants(原文)
2 チューブシャント手術の適応とチューブの選択
3 緑内障チューブシャント手術の疑問にお答えします(Q&A)
4 Baerveldt インプラントの特徴と手術手技(前房型)
5 Baerveldt インプラントの特徴と手術手技(経扁平部挿入型)
6 Ahmed 緑内障バルブの特徴と手術手技
7 EX-PRESSTM ミニシャントの特徴と手術手技
8 術後眼圧経過の特徴と,ほかの手術成績との比較
9 術後早期合併症とその対策(術後高眼圧・低眼圧)
10 術後後期合併症と対処法
11 チューブシャント手術の将来
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書籍情報
- ISBN:9784758307444
- ページ数:160頁
- 書籍発行日:2013年2月
- 電子版発売日:2014年7月11日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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