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- 循環器内科医のための非心臓手術必須知識
商品情報
内容
循環器内科医が術前にコンサルトの依頼を受けた際に適切に対応するために、知っておくと便利な手術に関する具体的内容を、解剖学的図譜を添えて各分野の外科系の専門医の方々が解説。
循環器疾患の重症度を把握するだけではなく、手術に対する適格適切な助言を行い、患者さんが無事退院できるために必要な知識が盛り込まれています。
序文
臨床現場における循環器内科医の役割はなんだろう。循環器内科医にしかできない仕事はなんだろう。虚血性心疾患に対するPCI,不整脈の解析とその不整脈に対するアブレーションや薬物治療は,循環器内科医の仕事といえるでしょう。急性心筋梗塞に対するprimary PCIは循環器内科医の独壇場といえます。循環器内科医が,循環器疾患の診断と治療を専門医として行うことは当然のことです。
近年,人口の高齢化によって患者が循環器疾患のみを単独に持つことはまれとなり,多くの循環器疾患患者は,動脈硬化性疾患ばかりでなく,腎機能障害,呼吸機能障害,さらに悪性腫瘍など循環器以外の疾患を併発しています。医療機器の進歩とともに,手術手技など医療技術の進歩は年々著しく,現在超高齢者に対する手術も決して珍しくなくなりました。
したがって,非心臓手術を受ける患者が,循環器系疾患を同時に持つことはむしろ当たり前と考えてよい時代となりました。そのようなときに手術を安全に行うためには,十分で的確な術前準備を行い,術中には麻酔科医とともに循環器管理を行うことが,非常に重要な仕事となってきています。
緊急手術のように準備時間が短かったり,予定手術であっても十分に病態把握を行う時間がなかったりすることもあります。そのようなときこそ,優秀な循環器内科医の出番です。他科からコンサルトの依頼を受けた循環器内科医は,循環器疾患の重症度を把握することのみでは,手術に対する的確適切な助言を行うことができません。少なくとも手術の方法を識ることは重要であり,麻酔方法や手術時間,術中の出血量や輸液量,術中の血圧や心拍変動など予想される血行動態変動,手術に関連して発生する心房細動や致死性不整脈の発生,さらに術後に予想される体液変動なども理解する必要があるでしょう。手術が安全に行われ,患者が術後合併症を併発せず,無事退院できるために,循環器内科医は専門家として多くの仕事を行わねばなりません。このような仕事も循環器内科医の重要な仕事ではないでしょうか。
本書は,循環器内科医が術前にコンサルトの依頼を受けた際に適切に対応するために,循環器内科医が知っておくと便利な手術に関する具体的内容を,解剖学的図譜を添えて各分野の外科系の専門医の方々に解説していただきました。体部CTは多くの臨床現場で使用されていますが,放射線科の専門医の方々には,体部CT所見の読み方に関する解説をお願いしました。
本書はメジカルビュー社の高橋範子さんの強力な指導なしには実現しませんでした。感謝申し上げます。
平成26年11月
杏林大学医学部循環器内科教授 吉野秀朗
杏林大学医学部外科教授 杉山政則
目次
Ⅰ 総 論
非心臓手術の術前管理がなぜ必要か
高齢化に伴う心血管系併存症をもつ患者の増加/心血管系合併症増加の危惧/術前の循環器管理の目的と循環器内科医の対応/術前管理を妨げる要因とその対策/学会ガイドライン/非心臓手術におけるリスク評価の決め手/システム導入の効果と今後の展望
Ⅱ これだけは知っておこう解剖学の基礎知識
脳神経
T1強調像/VR像/T1強調像 矢状断像/T1強調像 水平断像/T1強調像 冠状断像/システルノグラフィー/T1強調像 矢状断像/T1強調像 冠状断像/MRA VR像/MRA MIP像
胸部
気管・肺区域/冠状断像/矢状断像/心臓・血管・その他/縦隔リンパ節
腹部(肝,胆,膵,後腹膜)
肝臓/胆道/後腹膜/膵臓/腎臓/副腎
消化器,女性骨盤
消化管(食道)/胃(消化管)/消化管(大腸)/女性骨盤
整形外科領域(脊椎,股関節,膝関節)
椎間板/股関節/膝関節
Ⅲ 心臓合併症がある場合の非心臓手術に対して管理するポイント
弁膜症
Point/弁膜症の既往や心雑音を認めたら/弁膜症の種類別にみた術前リスク評価と対処法
冠動脈疾患
Point/ACC/AHA 2007 Perioperative Guidelines/4METs以上の運動耐容量/術中・術後に発生した急性左心不全や致死性不整脈の原因/心筋虚血の発生機序/運動耐容量がボーダーラインにある場合や日常生活からは評価不能の場合/術中・術後の急性心筋梗塞の診断/術中・術後の不整脈の発生
不整脈
Point/頻脈/徐脈/デバイス植込み患者
成人先天性心疾患
Point/成人先天性心疾患の非心臓手術時のリスクと管理/疾患群別の注意点
心筋症
Point/術前評価/心筋症合併時の非心臓手術周術期管理/周術期のリスクを軽減させる治療
肺高血圧症
Point/術前の注意点/術中管理の要点/術後管理
高血圧
Point/非心臓手術の周術期合併症としての高血圧/術前評価/術中の血圧管理/周術期の降圧薬
Ⅳ これだけは知っておきたい非心臓手術の基礎知識
食道癌
術式/出血量/血圧の変動・術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと/循環器内科医に希望すること
胃癌
術式/出血量/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術中の変動,注意しなければならないこと/循環器内科医に希望すること
大腸癌
術式/手術時間/出血量/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと/循環器内科医に希望すること
膵臓癌
術式/出血量/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと/循環器内科医に希望すること
乳癌
術式/リンパ節に対する術式/手術前後の管理/術前検査/術中管理/術後管理
腎臓癌
術式/主な術中,術後合併症/術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと/循環器内科医に希望すること
前立腺癌(腹腔鏡を中心に)
術式/出血量/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと/循環器内科
肺癌
術式/手術の手順/出血量/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと
肝臓癌
術式/肝離断中の呼吸・循環管理/出血量/術後の変動,注意しなければならないこと
子宮癌 (平松祐司)
子宮癌進行期と実施手術/術式/手術時間/出血量/血圧の変動/術中水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと
腹膜炎疾患(虫垂炎など)
術式/出血量/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと
腹腔鏡下胆嚢摘出術
術式/手術時間/出血の有無,量/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと
椎間板ヘルニア
術式/出血量について/手術時間/血圧の変動/術後の変動,注意しなければならないこと
大腿骨頸部 / 転子部骨折
術式/手術時間/出血量/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと/循環器内科医に希望すること
膝の手術
術式/手術時間/出血量
帝王切開
術式/帝王切開時の循環動態の変化
くも膜下出血
術式/出血量/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと
脳腫瘍
脳腫瘍とは/脳下垂体腺腫/髄膜腫摘出術/聴神経腫瘍摘出術/膠芽腫の手術
白内障
術式/手術時間/出血の有無/血圧の変動/術中の水分量の変移,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと
人工股関節置換術
術式/出血量/血圧の変動,術中の循環器系への負荷について/術後の変動,注意しなければならないこと
Ⅴ 麻酔科医からみた術中管理の要点
麻酔科医からみた術中管理の要点
Point/非心臓手術の周術期管理ガイドライン/周術期管理の実際/各心疾患における術中循環管理
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書籍情報
- ISBN:9784758314176
- ページ数:276頁
- 書籍発行日:2014年12月
- 電子版発売日:2016年3月4日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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