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- 読めばわかる!わかれば変わる! ドライアイ診療
商品情報
内容
即、実践できる診断手順と治療方法を知り「大した病気ではない意識、ワンパターン処方」を払拭し、患者さん大満足の診療に変えていこう!
スペシャリストがドライアイ診療のコツや落とし穴を丁寧にわかりやすく伝えます。「問診のポイント」「スリットの診かたで勝負が決まる」「タイプの見極め方」「検査法とそのポイント」「ドライアイ関連疾患の診断・治療のポイント」「治療」「症例から学ぶ」で構成されている。診療の時系列に組み立てられているので,要点がすっきり頭に入ってきて読みやすい!
序文
「ドライアイ」,これほど,この20年で市民権を得た眼科疾患があっただろうか?
今や初診の患者さんが,「私,ドライアイなんです」といって来院する時代である。外来患者に占めるドライアイの割合は,3割に達するといわれている。疫学調査の結果から計算すると,わが国におけるドライアイ患者数は,ゆうに1,000万人を超えると推定される。国民の10人に1人,まさしく「国民病」と呼ぶにふさわしい。ドライアイがQuality of Lifeに与える影響は,狭心症のそれとほぼ同等と報告されている。これほどの患者数とインパクトを持つドライアイであるが,果たして眼科でのドライアイ診療の水準は,患者さんのニーズを十分に満たしているであろうか?
ある調査によれば,ドライアイを自覚する人の大半はドラッグストアで点眼薬を購入するという。それでも満足できない一部の人が眼科を受診する。しかしながらやっと眼科を受診したドライアイ患者の診療に対する満足度は決して高くない。その原因は複数にわたると思われるが,一つにわれわれ眼科医側の意識があることは拭いようのない事実である。「ドライアイは大した病気じゃない」という病気に対する軽視,「ドライアイならこの点眼」というワンパターンの処方,こうした対応が「今ひとつ満足できないドライアイ患者」を大量に生み出し,患者の継続通院を減らす一因となっている。幸いなことに日本は「ドライアイ先進国」である。ドライアイ研究のかなりの部分は日本が世界をリードしており,応用可能な治療法も豊富である。ドライアイ研究では,眼光学,バイオロジー,免疫学などが駆使され文字通り日進月歩の状態である。このリソースを日常診療に活かさない手はない。しかし忙しい日常診療の中で,研究の最先端にアクセスし続けるのは現実的ではない。
本書はこれまで蓄積されたドライアイの病態や検査,治療に関するノウハウをわかりやすく提供することを目的に企画した。モットーは「あくまでも実際的に」であり,現実に受診した患者さんに対し,いかに効率よく診断をつけて満足の得られる治療を提供できるかをテーマにして執筆した。一冊を通じての一貫性を持たせるため私一人で執筆したが,そのために著者の考えが色濃く反映されており,科学的な厳密性を欠いた記述があるかもしれない。しかし,ドライアイの現在の知識のまとめとして役立つことは間違いないと自負している。そして,本書を通じて得られた知識は,読者である眼科の先生方の日常診療をより楽しいものにして,結果としてハッピーな患者さんを増やすことになると願っている。
最後に,貴重な写真を提供してくださったドライアイ研究の仲間である吉野健一先生,小野眞史先生,田 聖花先生,オサマ・イブラヒム先生に感謝の意を表します。また,執筆のアイデアから構成まで幅広いアドバイスをいただき,刊行に必要な熱意と実務にご尽力いただいた,メジカルビュー社の吉川様に深い感謝の意を表したいと存じます。
2017年8月
島﨑 潤
目次
イントロダクション
ドライアイ診療オーバービュー
日本は、ドライアイ先進国
本書のゴール
新しいドライアイの定義と診断基準
ドライアイ治療の目的は症状の軽減
涙液層の安定化
ミッシングリンク
リスクファクター
Ⅰ 問診のポイント
A. アナムネはフローチャートだ
B. ドライアイこそ,アナムネが大事
患者満足度を高めるチャンス
病状の説明/治療の流れについてあらかじめ説明する
アナムネは行ったり来たり
まずは症状の種類の把握
訴えが多い人には
質問票の活用/most severe symptom聴取の勧め
軽く診察を始める
特別な悪化要因はないか?
コンタクトレンズ/全身疾患と投薬内容
これまでの治療内容
ある程度の期間使ったか?/処方どおり使ったか?/処方薬以外の治療を試みていないか?
鑑別疾患
眼の疲れ/異物感・眼痛/乾燥感/羞明、眼の開けづらさ
問診中に外眼部のチェックをしよう
Ⅱ スリットの上で勝負が決まる
A. 症状と所見の関係を念頭に置いて
涙液層に異常のあるタイプ:BUTとブレークパターンのチェックが最重要!
上皮に異常のあるタイプ:広い範囲の観察を!
充血,目やにが主体のタイプ:ドライアイと決めつけずに!
B. さあ,スリットランプで診察だ
眼表面を広く見よう
何といっても瞼縁/結膜は角膜よりずっと広い
フルオレセイン染色こそドライアイ診療の主役だ
フルオレセイン染色の意義/フルオレセイン染色はやり方が大事
涙液の可視化
メニスカス高の観察/角膜上涙液層の観察−BUT測定/ブルーフリーフィルターの活用
上皮障害の観察
角膜上皮障害の分布から原因を知る(①中央部の上皮障害 ②上方主体の上皮障害 ③下方主体の上皮障害)/角膜と結膜の障害パターン/特徴的な上皮障害のパターン
Ⅲ 徹底解説 ! タイプを見極める
A. ドライアイのタイプ(病態)って何?
B. ドライアイを形成する『様々な要因』
涙液層ブレークパターン
涙液層の異常
1. 涙液分泌低下/2. 上皮水濡れ性低下/3. 涙液蒸発量亢進/涙液層の異常をきたす3要因には序列がある!
眼表面形状の異常
4. 涙液分布異常/5. 眼瞼摩擦亢進/6. 上皮脆弱性
C.6大要因とドライアイの関係
Ⅳ 検査法とそのポイント
A. 角結膜染色
ローズベンガル
リサミングリーン
B. 涙液量測定
Schirmer試験
Schirmer試験Ⅰ法/Schirmer試験Ⅰ法のバリエーション/Schirmer試験Ⅱ法
涙液貯留量測定法
綿糸法/ストリップメニスコメトリー/メニスコメトリー /前眼部OCT
C. 涙液の質の検査
非侵襲的BUT(non-invasive BUT)
涙液干渉像の観察(インターフェロメトリ)
涙液クリアランス試験
涙液のバイオマーカー測定
涙液浸透圧/炎症性サイトカイン,ケモカイン測定
D. 視機能検査
実用視力
角膜トポグラフィ(TSAS)
高次収差解析(wavefront analyzer)
E. 細胞レベルの検査
共焦点顕微鏡(confocal microscopy)
インプレッションサイトロジー
ブラッシュサイトロジー
F. その他のドライアイ検査
涙液蒸発量測定
Ⅴ 関連疾患"2大疾患の診療ポイント"
A. Meibom腺機能不全(MGD)
疾患概念のポイント
MGDの種類
わが国におけるMGDの定義と分類
定義/分類/自覚症状
診断のポイント
形態学的診断/スリットランプによる瞼縁の観察/Meibom腺分泌状態の観察/上皮障害の観察
治療のポイント
B. 結膜弛緩症
病態のポイント
診断のポイント
治療のポイント
Ⅵ 関連疾患"見逃してはならないポイント/外因性要因"
A. コンタクトレンズ
病態のポイント
診断のポイント
LWE /球結膜の上皮障害/輪部角結膜炎/巨大乳頭結膜炎
治療のポイント
点眼治療/コンタクトレンズの変更/レンズケア
B. 点眼薬による薬剤性障害
病態のポイント
診断のポイント
病歴聴取/薬剤障害の有無の鑑別
治療のポイント
C. 全身投与による薬剤性障害
病態のポイント
診断と治療のポイント
D. 手術によるドライアイ
手術によるドライアイの要因
瞬目,知覚低下/炎症/手術操作/術後投薬
治療のポイント
E. その他の外的要因
Ⅶ 関連疾患"見逃してはならないポイント/摩擦関連疾患・その他"
A. lid wiper epitheliopathy (LWE)
病態のポイント/診断のポイント/治療のポイント
B. 上輪部角結膜炎(SLK)
病態のポイント/診断のポイント/治療のポイント
C. 糸状角膜炎
病態のポイント/診断のポイント/治療のポイント
D. 眼瞼けいれん
病態のポイント/診断のポイント
E. 瞬目,閉瞼異常,知覚低下
瞬目の減少/閉瞼異常/角膜知覚低下
Ⅷ 治療
A. わが国はドライアイ治療先進国
B. まずは主要点眼4種の正しい用い方をしっかりと把握しよう
人工涙液
ヒアルロン酸製剤
ジクアホソル
レバミピド
C. 抗炎症療法
ステロイド点眼
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)点眼
D. その他の内科的治療法
自己血清点眼
眼軟膏
治療用ソフトコンタクトレンズ
E. 涙点プラグ,涙点閉鎖
涙点プラグ
涙点閉鎖
Ⅸ 症例別診療の進め方
症例1 仕事中,眼が乾いてつらい
症例2 眼の不快感がずっと続く
症例3 眼がごろごろして見づらい
症例4 ドクターショッピングの患者
症例5 眼が赤くなった
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書籍情報
- ISBN:9784758316323
- ページ数:192頁
- 書籍発行日:2017年9月
- 電子版発売日:2019年1月30日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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