PCI(秘)裏技テクニック

  • ページ数 : 420頁
  • 書籍発行日 : 2019年9月
  • 電子版発売日 : 2019年12月20日
9,900
(税込)
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商品情報

内容

PCIがもっと上達する秘訣,お教えします。難局をうまく突破できる1ランク上のテクニックを詳細に解説

循環器治療の中心的役割を担うPCIにおいて,術中のつまずきをうまく乗り越え手技を成功させるためには,基本的な知識はもちろん,デバイスやモダリティをより効果的に使用した応用的な手技-すなわち裏技-を知っておき,駆使できるようになることが非常に重要である。
本書では,基本的な症例から複雑病変などの困難症例まで,ガイドワイヤー,ロータブレーター,IVUS,OCT/OFDIなど,多様なデバイス・モダリティの有効な使い方を中心に,他では見ることのできない,経験豊富なPCIエキスパートの珠玉の裏技を詳細に解説。具体的な症例および数多くの画像・イラストを基にした実践的な解説により,苦手な手技や困難症例などの難局を自信をもって突破できるようになる,1ランク上のPCIを実現する1冊。

序文

はじめに

筆者がPCIを始めてから20年以上の月日が経過しました。

PCIはここ20年ほどで技術,知識,デバイスいずれも目覚ましい進化を遂げてきました。 PCIの成功率は近年非常に高くなり,また合併症の発生率もかつてに比べると低くなりました。

PCIの標準的な治療法はほぼ確立されたと思いますが,非典型的な病変や難易度の高い複雑性病変などではやはり術者の経験や技術の差がPCIの成否にかかわります。

ライブなどを見ていると,実際には難しいはずの手技なのに,それをいとも簡単に治療する術者がいます。その際,術者は実はちょっとしたコツや裏技などを駆使していることがあります。筆者には,そのような技を駆使している点がよくわかります。コツや裏技のようなものを知っていれば,いつもつまずいてしまう局面や,難易度が高いと思われる治療でもそれを打破する手技ができるようになる可能性があります。もちろん,多くの症例を経験し学ぶことは重要なことです。しかし,コツや裏技を知らずにいくら同じ症例を経験しても上達しない可能性があります。

そこでPCIのちょっとしたコツや裏技のようなものを紹介する書籍を刊行できればと思いました。

執筆は当院のメンバーだけにしてなるべく筆者の考えを浸透させながら編集をしてみました。PCIの初級者から上級者までスキルをワンランクアップさせるために必要なコツや裏技を盛り込みたかったので,あえて初歩的な内容も含め構成を考えました。

なお,本書ではリスクが高いと思われる裏技の記載は避けています。裏技を駆使しようとして行う手技で,逆に合併症を招いてしまっては本末転倒だからです。

皆さんが普段つまずいてしまう手技や難易度の高い手技を乗り越えるために,本書のコツや裏技を使用していただくことで局面を打破できる1冊になることを願ってやみません。

最後に,たくさんの執筆依頼をこころよく受諾し,かつ短期間で書き上げてくれた当院のメンバー一同お疲れ様でした。また,本書の刊行を快諾していただいたメジカルビュー社 吉田富生様に感謝申し上げます。さらに締切を大幅にオーバーしつつ,何度も変更する校正に応じていただいた浦野直樹様,間宮卓治様,ありがとうございました。


令和元年8月

済生会横浜市東部病院心臓血管センター長
伊藤良明

目次

Ⅰ. 穿刺のコツ

①いかに早く,上手に穿刺をするか

 [通常は]穿刺の基本事項/通常の穿刺の流れ

  【ここが重要】橈骨動脈穿刺のコツ

  【ここが重要】大腿動脈穿刺のコツ

 [裏技は]緊急時の穿刺/エコーガイド穿刺

②穿刺部合併症に対応する(出血,血腫,仮性瘤など)

 [通常は]患者側の要因/手技の要因/予防方法/止血方法

 [裏技は]バルーン圧迫止血,カバードステント挿入/経皮的トロンビン注入法/Angio-Seal®を用いた仮性瘤止血法

③腸骨動脈の蛇行があるときの対処法

 [通常は]耐キンクロングシースを用いる/スティッフ型ガイドワイヤーを用いる/カテーテルを併用する/アコーディオン現象に注意

 [裏技は]サポートの強力なガイドワイヤーを知っておく/ステントの挿入/症例呈示

④Ulner artery approachはできるのか?

 [通常は]適応は?/穿刺は?/Spasmが少ない/止血は?

⑤遠位橈骨動脈の穿刺のコツ

 [通常は]有用なのか?/穿刺法/長いカテーテルを準備/止血は?

 [裏技は]症例呈示

Ⅱ. ガイディングカテーテルのエンゲージ

①Amplatz left(AL)の操作法

 [通常は]Amplatz left(AL)とAmplatz right(AR)/操作法

 [裏技は] ALの挙動/挙動を制御/入口部の操作は難しい

  【ここが重要】ALの挙動に注意

②バックアップの取り方

 [裏技は]形状別バックアップの取り方/アプローチ部位による違い/症例呈示

③RAO viewを活用する

 [通常は]

 [裏技は]バックアップを得る方法/同軸性を考える

④ガイディングカテーテルー特殊形状は知って使えてなんぼ

 [通常は]Judkins left(JL),Judkins right(JR)を知る/バックアップカテーテルは?/ガイディングカテーテルの選択

 [裏技は]LADは/LCXは/RCAは/サイドホールは/いろいろ使用してみる

  【COLUMN】ガイディングカテーテルの特殊形状を熟知し,使い分けることが重要!

⑤Anomalyのパターンを知る

 [通常は]正常冠動脈の定義/冠動脈起始異常,冠動脈走行異常の分類

  【ここが重要】Malignant courseに注意!

 [裏技は]

 [その他]冠動脈開口部狭窄(slit-like lumen of coronary ostium)

Ⅲ. ガイドワイヤーのシェイピング

①一般的なPCIガイドワイヤーの構造

 [通常は]一般的なPCIガイドワイヤーの構造/一般的なPCIガイドワイヤーの分類

②ガイドワイヤーの選択方法

 [通常は]1stチョイスワイヤーの選択/Tortuous vesselに使用するガイドワイヤーの選択/分岐部病変の側枝へ挿入するガイドワイヤーの選択/デバイスの挿入に難渋する場合のガイドワイヤー選択/石灰化病変に用いるガイドワイヤーの選択/慢性完全閉塞(CTO)病変に用いるガイドワイヤーの選択

 [裏技は]

③シェイピングが命

 [通常は]ガイドワイヤーのシェイピング方法/どのようなシェイピングをつけるか?

 [裏技は]症例呈示

④Reverse wireの裏技的使用法

 [通常は]ガイドワイヤー/シェイピングの仕方/操作法

 [裏技は]Reverse wireが側枝方向に挿入できない場合の回避方法/慢性完全閉塞(CTO)症例におけるReverse wireの使用法/別の裏技

Ⅳ. ガイドワイヤーの操作

①ガイドワイヤーは操作法が命

 [通常は]ガイドワイヤー操作時の造影画面の読影/ガイドワイヤー操作の注意点

 [裏技は]マイクロカテーテルの併用/パラレルワイヤー/その他

②トルカーも大切なのか?

 [通常は]トルカーは重要か?/トルカーの違いは具体的に何が違うのか?/トルカーによる操作法は違うのか?

③ドリリングだけでは乗り切れない病変がある

 [通常は]入口部病変/高度屈曲病変/高度石灰化で抵抗が強いびまん性病変

 [裏技は]

  【ここが重要】ドリリングは安易に行うべからず!

④Channel trackingとpenetration

 [通常は]Channel tracking/Penetration

⑤3Dの理解は必要

 [通常は]左前下行枝(LAD)に対するワイヤリング/右冠動脈(RCA)に対するワイヤリング

 [裏技は]症例呈示

  【ここが重要】3Dの理解はCTOのPCIにも応用できる

⑥CTO septal surfingの秘密

 [通常は]Septal channel trackingの方法/造影/みえるチャンネルを選択/コーティングソフトワイヤーを選択/屈曲がある場合は?

 [裏技は]Septal surfingが成立する理由/第一条件/Donner artery occlusion techniqueが有用?/どこを通過するのか?/通過する理由/成功の秘訣/Surfingのコツ

Ⅴ.バルーンのデリバリー:いろいろな対応法

①ダブルワイヤー

 [通常は]

 [裏技は]ダブルワイヤーについて/ダブルワイヤーが奏功しないケース/ダブルワイヤーが奏功するケース

②アンカーバルーンテクニック

 [通常は]アンカーバルーンテクニックの手順とコツ/症例呈示

 [裏技は]パラレルアンカーテクニック/アンカースリッピングテクニック/アンカーワイヤーテクニック

③子カテ(みんな知らないバルーンスリップ)

 [通常は]

 [裏技は]症例呈示

④初心に帰るーガイディングカテーテルを変更

 [通常は]

 [裏技は]バックアップが不十分である原因を分析する/症例呈示/ガイディングカテーテルの特性を体得する

⑤KBTのちょっとした裏技

 [通常は]

 [裏技は]Jailed balloon technique(JBT)/Modified jailed balloon technique(mJBT)/POT,KBT前のイメージングモダリティ/同時拡張か,側枝からか? 2リンクか,3リンクか?/側枝へKBTバルーンが通過できないとき

⑥究極の裏技とは?(Ultra SOUL ?)

 [通常は]

 [裏技は]症例呈示

  【ここが重要】8Frガイディングカテーテルを使用したUltra SOUL technique

Ⅵ.スコアリングバルーンやカッティングバルーンの使い分け

デリバリーの際のちょっとした裏技

 [通常は]Lacrosse NSE ALPHA/ScoreFlex® NC/カッティングバルーン

 [裏技は]症例呈示/まとめ

Ⅶ.ステント留置

①ステントデリバリーができない際のコツ

 [通常は]不十分なガイディングカテーテルのバックアップ/病変までのルートの形状/病変部の性状

 [裏技は]子カテ/ガイドエクステンションカテーテルの使用/ステント先端チップの当たりを変える/その他

②入口部ステント留置法のコツ

 [通常は]

 [裏技は]IVUSを用いたステント留置法

③ステントオーバーラップの際のコツ

 [通常は]

 [裏技は]

④側枝のワイヤリングの軌道を確認する方法ーIVUSにて

 [通常は]

 [裏技は]

⑤側枝のワイヤリングの軌道を確認する方法ーOCTにて

 [通常は]

 [裏技は]

Ⅷ.子カテの使用法

①何に使う,使える?

 [通常は]

 [裏技は]バルーンスリッピングテクニック/症例呈示

  【ここが重要】ガイドエクステンションカテーテルを用いたバルーン留置のコツ

②どのように使い分ける

 [通常は]Over the wire(OTW)type/Rapid exchange(RX)type

Ⅸ.IVUS

①IVUSが活かせる病変や状況

 [通常は]IVUS施行の目的/IVUSによるPCI合併症の予測

 [裏技は]分岐部病変/Minimum contrast PCI

②ガイドワイヤーが偽腔にしか入らない(真腔が取れない)

 [通常は]

 [裏技は]症例呈示

③究極のIVUSガイドーContrast less PCI

 [コツは]Contrast less IVUS guide PCIの適応/Contrast less IVUS guide PCIの実際

④IVUS for CTO

 [コツは]慢性完全閉塞(CTO)のPCIにおけるIVUSの有用性/CTO断端探し/IVUSガイドワイヤリング/Retrograde guidewire cross/Retrograde guidewireの位置確認

Ⅹ.OCT

①石灰化にいかに使うか

 [通常は]

 [裏技は]Burrサイズ選択の実際

②ロータブレーターのエンドポイントを極論する

 [通常は]症例呈示

 [裏技は]症例呈示

③OCTガイドPCIのコツ

 [通常は]OPINION研究/ILUMIEN Ⅲ:OPTIMIZE PCI研究/IVUSガイドPCIと何が違うのか

 [裏技は]Angio co-registration機能/低分子デキストランLとガイドエクステンションカテーテル

Ⅺ.方向性冠動脈粥腫切除術(DCA)

①IVUSをどう読む?

 [通常は]IVUSにおける各冠動脈と透視で見ている方向の関係

 [裏技は]IVUSカテーテルとガイドワイヤーとのバイアス/IVUSと透視の方向の推測方法/ルーメンバイアス/ガイディングカテーテルのサイドホールを用いた方向の同定

  【ここが重要】ガイドワイヤーのバイアスポイント

②DCAの方向付けと操作法のコツ

 [通常は]DCA(ATHEROCUT®)の特徴/ウィンドウの視認性を向上させるコツ/ATHEROCUT®回転防止のコツ

 [裏技は]ウィンドウの方向を同定する裏技/ATHEROCUT®の操作法のコツ/フラップが残存してしまった場合

③DCAもち込みのコツ

 [通常は]8Frを使用/サイドホールは?/冠動脈挿入法/狭窄部で進まないときは?

 [裏技は]

④石灰化を切除する際のコツ

 [通常は]

 [裏技は]

Ⅻ.ロータブレーター

①どのように削るべきか

 [通常は]

 [裏技は]ガイディングカテーテルにバックアップは必要/切除の目的をはっきりさせる/プラットホームの位置にこだわる/どのように削るか:Slow movement and small pecking/Slow flow/no-reflowの予防/どの場所が危ないか? 透視で観察しうるターゲットの石灰化病変と危険部位の位置関係を認識する

②Slow flowにしないためのコツとは

 [通常は]Slow flowの原因への対策

 [裏技は]

③Low speed/high speedの違いはあるの?

④Rota WireTMがデリバリー困難な際の裏技

 [通常は]

 [裏技は]

  【引き出し1】ガイディングのバックアップは取れているか?/

  【引き出し2】マイクロカテーテルの種類を変更する/

  【引き出し3】小口径バルーンで拡張,over the wire(OTW)バルーンが有用/

  【引き出し4】Tornus Proを使う/【引き出し5】アンカーをかける/

  【引き出し6】これまでの手法を組み合わせる/

  【引き出し7】マイクロカテーテルを可能なところまで挿入してRota WireTMで直接通す

ⅩⅢ. Diamondback360

①適応は

 [通常は]

 [裏技は]症例呈示

②ロータブレーターと何が違うの?

 [通常は]Diamondback360とロータブレーターの違い/Diamondback360の特徴

 [裏技は]ViperWire®の硬さ/高度石灰化病変の突破力の弱さ/2つのクラウンによる特性/切削範囲の予測にはさらなる経験蓄積が必要

③利点・欠点と裏技的使用法とは?

 [通常は]Diamondback360の利点/Diamondback360の欠点

 [裏技は]プロファイルが小さくガイドエクステンションカテーテルの中に容易に入る/引き戻しながらアブレーションをすることが可能/ステントそのものをアブレーション!?

ⅩⅣ. CTO:Rendezvousの方法

Rendezvousの有用性

 [通常は]Retrograde guidewire通過後のExternalizationの方法

 [裏技は]適応/施行法

ⅩⅤ. 特殊な病態や治療法

①Spiral coronary dissectionをどう治療する?

 [通常は]症例呈示

 [裏技は]症例呈示/ストローテクニックによる血腫吸引の可能性

②冠動脈瘤

 [通常は]冠動脈瘤に対するコイリングの実際

③Late incomplete stent appositionをどう治療する?

 [通常は]Cypher®留置後のvery late stent thrombosis(VLST)の1例/PSSへの対応

④PTSMA施行時のちょっとした裏技

 [通常は]

 [裏技は]症例呈示

⑤King Ghidorahなんてできるの?

 [通常は]症例呈示

 [裏技は]症例呈示

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書籍情報

  • ISBN:9784758319607
  • ページ数:420頁
  • 書籍発行日:2019年9月
  • 電子版発売日:2019年12月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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