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- 新しいリンパ学 微小循環・免疫・腫瘍とリンパ系
商品情報
内容
リンパ学の基礎と臨床に関するわかりやすい参考書として、医学、医療系の学徒や研究者たちはもちろん多種の医療従事者たち、リンパに関心のある方にも広くご活用いただける一冊です。
序文
まえがき
生命科学は歴史的に16 世紀後半から17 世紀になると,それまでの長い暗黒の時代から夜明けを迎え,医学・医療として人々の興味を起こしてきた.わが国の医学も遅れて18 世紀になり,蘭学の普及とともに"解体新書"(杉田玄白著)にみられるように人体の構造と機能を探求する「解剖学」が盛んとなった.その後,欧米では循環器系(脈管系)の中心となる「血液学」が注目され急速に発展した一方で,リンパ・リンパ管系に関する研究は,長い間「血液学」の陰に隠れた状態で"空白の時代"であった.しかし,リンパ管系は血管系と共にあり,生体内の恒常性維持や免疫応答など生理的に重要な役割を担っているだけでなく,炎症や悪性腫瘍の転移などの病態にも深く関与している重要な器官系である.
20 世紀後半となって,これまでの基礎的研究を基盤として,"むくみ,リンパ浮腫"や"がんとリンパ節(がんのリンパ行性転移)"などの病態と治療が臨床面で問題とされ,リンパ・リンパ管系に関する研究はやっと「リンパ学」(Lymphology)として注目され,表舞台に出されてきた感じである.近年になってその発展と共に,従来の微小循環学(脈管学),免疫学および腫瘍学の三者を合体した『新しいリンパ学』(図)という学問体系(橋渡し,探索研究Translational Research)が創生された.
最近では,医学・医療系の学徒,研究者および病院・医療施設の現場で治療・看護・介護などに携わる第一線の医療従事者達にも,生体におけるリンパ系の重要性が少しずつ理解されてきており,これからはまさに"リンパの時代"と期待されている.このような状況で,リンパ浮腫の病態と治療ガイドに関してはすでに多くの著書が出版されてきている.しかし,「リンパ学」の基礎と臨床に関する学術書はほとんどみられず,それらの領域のわかりやすい参考書が必要とされている.
上記の観点から,本書は,「リンパ学」の三つの領域,"液"(リンパ液),"管"(リンパ管),"球・集塊"(リンパ球・リンパ組織) について,「リンパって何か?」「リンパはどうして生まれ,どうして流れるか?」「もしリンパがからだの中で流れなかったらどうなるか?」「リンパとがんとの関連性は?」などいくつかの基本的な疑問点("リンパの不思議")について,図・表や写真を多く加えてわかりやすく解説したものである.これらのことは近年の『新しいリンパ学』においてもなおかつ大変興味深く,古くて新しい課題である.また,最近のリンパ学研究のトピックである"リンパ管の発生・新生"や"リンパ浮腫","がんのリンパ節転移"についても研究の最前線を詳述する.
なお,本文中の専門用語については各項目ごとに注釈を加え,それぞれの引用文献については各章末に記載する.また,リンパ学およびその周辺の基礎医学(解剖生理学など)や臨床医学に関する医学史や医療最前線などを含めた話題を,「コラム」として加える.本書におけるリンパ系の基礎と臨床,理論と実際・手技についての解説内容は,医学・医療系の学徒や研究者達はもちろん多種の医療従事者達(リンパ浮腫治療に関わるいわゆる看護,介護,リハビリ系など)にも興味深く,話題性のあるものと思われる.加えて,近年の医療・健康ブームと相まって,医療系以外で「リンパ」に関心のある読者達にも本書を広くご活用頂ければ幸いである.
本書の執筆に際しては,先行研究の多くの著書・論文文献(各章末)を参考にさせて頂いたことを深謝するとともに,図・表など資料提供のご協力頂いた基礎・臨床各方面の諸先生方に改めて敬意と感謝を表する.また,本書の出版にあたり,ご尽力頂きました金芳堂代表取締役市井輝和氏および同編集部各位に御礼申し上げる.
2015年 1月
加藤征治
(日本リンパ学会名誉会員)
目次
1章 リンパとはなに?
2章 リンパ管の発見とリンパ学
3章 リンパ管の観察法
4章 リンパの流れの特徴
5章 リンパ管の個体発生と系統発生
6章 リンパ管分布の臓器特異性
7章 各種臓器のリンパ管網とリンパ流
8章 神経系のリンパ流
9章 免疫反応とリンパ系
10章 リンパ流とリンパ節
11章 リンパ流の停滞~リンパ浮腫
12章 リンパ浮腫の診断
13章 リンパ浮腫の治療
14章 がんとリンパ系
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書籍情報
- ISBN:9784765316255
- ページ数:214頁
- 書籍発行日:2015年2月
- 電子版発売日:2015年12月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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