エビデンスに基づく精神療法実践集

  • ページ数 : 274頁
  • 書籍発行日 : 2015年4月
  • 電子版発売日 : 2016年6月17日
3,740
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商品情報

内容

浜松医科大学での精神療法の実践を紹介。

臨床心理士が精神療法について述べ、主治医が精神医学的立場から解説する、というスタイルをとっている、このような精神療法の実践集は少なくとも日本では前例がないと思われる。
系統だった精神療法を学ぶことができる、心理士・精神科医などがすぐにでも臨床に活用できる実践書。

序文

本書を利用する方へ

私の個人的な感想なのだが,私たちが目にする精神療法の本の多くは実践的ではない.理論が多い.それもしばしば難解である.訳本になると,とても私のようなものの手には負えない.思い返してみると,薬物療法の本がそうだった.私が精神科臨床の修業を始めた約40年前,薬物療法の本は理論,つまり薬理作用が中心だった.とても実践的とは言えなかった.だが,薬物療法の本は,今は,とても実践的で役に立つ.

つまり,初期の理論の時代を経て実践の時代に入ったのである.ならば,精神療法の本もそろそろ実践の時代に入るべきではないか.あまり難しく考えないで,効果的な精神療法を自由に選択して,"効いた"という実感を味わい,そのうえで,自分なりの工夫をしたらどうであろう.

これもまた,私の個人的な感想なのだが,精神療法はこの道の専門家の教えを請うたほうが良いと思う.幸いにして,浜松医大には研修生を含めると約20名の臨床心理士が在籍している.臨床心理士の資格試験も毎年100%か,それに近い.みんな優秀である.考えてもみるがいい.

彼らや彼女たちは大学で4 年間心理学を学び学士となり,更に2年間学んで修士となり,その後で臨床経験を積んで臨床心理士になるのだ.

我が国では,制度上の問題はあるにしても,臨床心理士の力を活かしきれていない.しかし,浜松医大では,入院患者のすべてに主治医の他,担当の臨床心理士がつく.外来では,5人に一人に担当の臨床心理士がついている.浜松医大では,簡単な精神療法は医師が行うが,系統だった,いわゆる難しい精神療法は臨床心理士が行っている.この場合,医師が精神療法を具体的に指示することはない.「どのような精神療法がいいだろうか?」と相談する.そうすると,「生活歴をみてみます」,「心理検査をしてみます」,「そのうえで考えてみたいと思います」などと応じるのが常である.外来では,このようなやりとりを患者さんやご家族がいるところで行う.この段階で,患者さんやご家族は安心する.すでに,精神療法が始まっているのである.

世の中は変わった.精神疾患の構造も大きく変わった.うつ病は,もはや,ごくありふれた疾患となり,遷延化する例が増えた.子どもにもうつ病がみられるようになった.発達障害や摂食障害も増えた.解離性同一性障害も珍しくなくなった.強迫性障害には軽症ならSSRIでよくなるが重症例では強力な精神療法が必要である.

我が国における精神医学の学びの場では,系統だった精神療法を学ぶのが難しい.そのような場所はあまりない.それならば,という思いで本書を編むことにした.本書では,臨床心理士が精神療法について述べ,主治医が精神医学的立場から解説する,というスタイルをとった.そのほうが,より実践的で応用が利くと思ったからである.このような精神療法の実践集は少なくとも我が国では前例がない.精神科臨床の現場で役立つことを願っている.


平成27年3月吉日

森 則夫

目次

第1編 精神療法の基本原理

1.カウンセリングと精神療法(心理療法)

2.主な精神療法

3.精神療法はどこに効くのか

4.神経症の成り立ち

5.行動療法の考え方

6.森田療法の考え方

7.認知療法の考え方

8.EMDRの考え方

9.おわりに

第2編 精神療法の実践

1章 強迫症/強迫性障害

1.症状ディメンションが多岐にわたり、汚染を主とする重症強迫性障害に対する森田療法

2.傷害・攻撃性のディメンションの強迫性障害に対する森田療法的アプローチと暴露反応妨害法の併用療法

3.家族への介入および森田療法的なアプローチが功を奏した強迫性障害)

4.症状のモニタリングと振り返りの作業で改善した症例

5.モデリングと時間制限を用いた介入により改善した症例

解説 強迫症の精神療法

2章 うつ病(DSM-5)/大うつ病性障害

1.認知モデルから問題解決を探り改善した症例

2.うつ病(DSM-5)に対する認知行動療法

解説 うつ病の精神療法

3章 持続性抑うつ障害(気分変調症)

1.持続性抑うつ障害の森田療法で典型的な治療経過を示した例

2.持続性抑うつ障害に対して行動活性化療法が有効であった一例

解説 遷延化した抑うつ状態(主に遷延化したうつ病や気分変調性障害)に対する森田療法

4章 パニック症/パニック障害

1.パニック症の森田療法で典型的な治療経過を示した症例

2.未熟な問題解決スキルが現実適応を困難にしていたパニック症の症例

解説 パニック症に対する精神療法

5章 社交不安症/社交不安障害

1.社交恐怖の森田療法で典型的な経過を示した症例

2.社交不安症の認知行動療法

解説 社交不安症に対する精神療法

解説 社交不安症の認知行動療法

6章 摂食障害

1.思春期発症の神経性やせ症の一例

2.慢性化した神経性やせ症の症例

3.神経性過食症の症例

解説 摂食障害の精神療法

7章 境界性パーソナリティ障害

1.境界性パーソナリティ障害に対して認知行動療法とEMDRを併用した症例

解説 境界性パーソナリティ障害の精神療法

8章 解離性同一症/解離性同一性障害

1.自我状態療法―多重人格のための精神療法

9章 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害

1.母親へペアレントトレーニングを実施し、トークンエコノミーを併用したことで子どもの行動改善が認められた事例

2.自閉スペクトラム症から二次的に抑うつと不安を呈した症例

解説 自閉スペクトラム症に対する認知行動療法と森田療法

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書籍情報

  • ISBN:9784765316354
  • ページ数:274頁
  • 書籍発行日:2015年4月
  • 電子版発売日:2016年6月17日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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