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高次脳機能障害者の自動車運転再開とリハビリテーション2

  • ページ数 : 108頁
  • 書籍発行日 : 2015年5月
  • 電子版発売日 : 2015年11月6日
3,080
(税込)
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商品情報

内容

リハビリ医療関係者の啓発、脳障害者患者の社会参加促進、社会の交通安全確保を目指す第2弾!

I部では自動車運転再開に関与する医療・福祉・行政および自動車教習所の関係者にとって必要な基礎知識として、外傷性脳損傷、高次脳機能障害、神経心理学検査、就労と社会参加、支援体制、II部では自動車教習所や医療機関の自動車運転再開に果たす役割と連携の実際に関して、現場の取り組みをそれぞれ述べています。
脳機能障害者の自動車運転再開の対応を模索する医療・リハビリ・福祉スタッフや諸問題に関係する人々に自動車運転再開の指針となる一冊。

高次脳機能障害者の自動車運転再開とリハビリテーション1はこちらから

序文

出版にあたって

この出版物は,「高次脳機能障害者の自動車運転再開とリハビリテーション」に関する研究班の研究事業の一環として,2014 年4 月から2015 年3 月までの成果に基づき刊行する.

近年,リハビリテーション医療分野では,外傷性脳損傷や脳卒中の既往のある者が社会復帰の一手段として自動車運転再開を希望し,リハビリテーション医療関係者に相談する事例が増えている.それぞれの病院は工夫をして評価や指導をして何らかの対応を試みているが,全国のリハビリテーション医療関係者が共通に使用できる,あるいは参考にすることができる判断基準は未確立であった.産業医科大学リハビリテーション医学講座でも,1990 年代より自動車運転再開のリハビリテーションや判断基準作りの取り組みを開始し,2013 年4 月より日本損害保険協会の自賠責運用益拠出事業として3 年計画で「高次脳機能障害者の自動車運転再開とリハビリテーション」に関する研究事業を実施することにした.研究班の体制は,厚生労働省科学研究費「高次脳機能障害支援研究班」班長の中島八十一先生を顧問とし,高次脳機能障害者の自動車運転に関する臨床研究に取り組んでいる専門家の方々を班員にした.

顧問: 国立障害者リハビリテーションセンター学院長 中島八十一(医師)

代表研究者: 独立行政法人労働者健康福祉機構九州労災病院 門司メディカルセンター
院長/産業医科大学名誉教授 蜂須賀研二(医師)

副代表研究者:産業医科大学リハビリテーション医学 教授 佐伯覚(医師)
九州大学名誉教授 松永勝也(認知科学者)

分担研究者: 産業医科大学リハビリテーション医学 助教 加藤徳明*(医師),松田康父美(大学院生,医師)
産業医科大学若松病院リハビリテーション科 講師 岡﨑哲也
産業医科大学若松病院リハビリテーション部 主任 飯田真也*(作業療法士)
産業医科大学産学連携・知的財産 講師 橋本正治(コーディネイター)
九州産業大学情報科学部 教授 合志和晃(情報工学者), 助手 林政樹(情報工学者)
福井総合病院リハビリテーション科 部長 小林康孝(医師)
富山県高志リハビリテーション病院リハビリテーション科 医長 吉野修(医師)
目白大学保健医療学部 准教授 藤田佳男(作業療法士)
北海道千歳リハビリテーション学院作業療法学科 山田恭平(作業療法士)
井野辺病院リハビリテーション部 課長 加藤貴志(作業療法士)
横浜市総合リハビリテーションセンター理学作業療法課 西則彦(作業療法士)
千葉県千葉リハビリテーションセンターリハビリテーション療法部 副部長 小倉由紀(作業療法士)

(*は事務局幹事)

この研究班の活動として,1)高次脳機能障害者の自動車運転再開に関する調査研究,2)簡易自動車運転シミュレーターの市販モデル開発,3)「自動車運転再開とリハビリテーションに関する研究会」を開催して情報発信,4)高次脳機能障害者の自動車運転再開とリハビリテーションに関する基準作成,を目標として掲げた.

1)の自動車運転再開に関する調査研究では,研究班に所属する研究者はそれぞれ調査研究を実施し,自動車運転再開とリハビリテーションに関する研究会,あるいは日本リハビリテーション医学会,その他の関連学会にて講演や研究発表を行い,さらに研究班として多施設共同研究を実施した.多施設共同研究では,研究班の定めた「指針と判断基準案」と「簡易自動車運転シミュレーター(SiDS)」を用いた医学的評価,さらに自動車教習所の実車教習,これらをもとに総合的に自動車運転再開可能と判断できれば,公安委員会の運転適性相談や臨時適性検査を受ける手順を定めた.なお,運転適性相談や臨時適性検査を受けるタイミングは都道府県により若干相違があるので,現地の公安委員会の指示に従うものとする.研究班の定めた指針と判断基準案,SiDS,実車教習等に関しては,本書のなかで担当した研究者に解説していただく.この多施設共同研究の成果は,2016 年3 月までに中間報告を行い,2017 年末までには最終報告を行う予定である.

2)SiDS の市販モデル開発に関しては,2006 年よりKM 式安全運転助言検査(松永勝也)を自動車運転シミュレーターとして試用し,2009 年にSiDS を開発して市販モデルの準備を進めてきた.現在,進行中である多施設共同研究の途中経過を参考にしてSiDS に改良を加え,2015 年6 月までには市販モデルを竹井機器工業と新潟通信機より販売する計画である.SiDS の基本概念は,医療機関が特別な資金を用意しなくても購入できる程度の価格とし,病院リハビリテーション科診察室や作業療法室に簡単に設置できる小型サイズで,医師,作業療法士,検査技師が簡単に操作でき,測定値はシステムに保存されている標準値と照合して自動的に正常域と異常域の判別を行い,運転再開可否の医学的判断を支援する装置である.

3)自動車運転再開とリハビリテーションに関する研究会の開催は,第一回は2013 年10 月5 日(土) 13:00 ~ 17:00,JR 小倉駅近隣の北九州国際会場で開催した.当初は200 人程度の参加を想定していたが予想をはるかに上回る450 人の参加があり,急遽ロビーと会議室2 部屋を追加しケーブル中継をするほどの盛況であった.第二回は2014 年10 月27 日に同会場で開催し540 人の参加があり,医療関係者は自動車運転再開の問題に頭を悩ませていたことが体感できた.なお,第三回は2015 年10 月17 日に同会場で開催を予定している.

情報発信に関しては,蜂須賀研二(編著)で「高次脳機能障害者の自動車運転再

開とリハビリテーション 1」を金芳堂より2014 年5 月に,「高次脳機能障害者の自動車運転再開とリハビリテーション 2」を2015 年5 月に発刊する.研究会での発表内容や研究班の成果は,広く公開して医療福祉関係者や患者・家族に還元すべきと考えている.

この第2 巻では,自動車運転再開に関与する医療・福祉・行政および自動車教習所の関係者にとって必要な基礎知識として,外傷性脳損傷(杉山謙,出江紳一),高次脳機能障害(中島八十一),神経心理学検査(岡﨑哲也),就労と社会参加(佐伯覚),支援体制(白山靖彦)を取り上げた.次に自動車教習所や医療機関の自動車運転再開に果たす役割と連携の実際に関して,現場の取り組みをそれぞれ述べていただき,最後に,研究班の立場からSiDS の使用方法(合志和晃,加藤徳明),自動車運転再開の指針と判断基準案(蜂須賀研二,佐伯覚,松永勝也,加藤徳明,飯田真也)を解説した.なお,精神科医として認知症患者の運転に関してわが国を牽引してこられた慶應義塾大学三村將教授に「認知症と自動車運転」の特別寄稿をお願いした.

4)高次脳機能障害者の自動車運転再開の基準に関しては,指針と判断基準案を公表できる段階となった.現在進行中の多施設共同研究の経過や現場の方々のご意見を参考にし,さらなる検討を加えてこの研究事業が終了する2016 年3 月までに,中間報告ができるように準備を進めていく予定である.

最後に,短い期間にもかかわらず執筆していただいた方々に深謝する.


2015 年 春

「高次脳機能障害者の自動車運転再開とリハビリテーション」に関する研究班
代表研究者 門司メディカルセンター院長/産業医科大学名誉教授
蜂須賀研二




目次

第Ⅰ部 自動車運転再開に必要な基礎知識

1 外傷性脳損傷

2 高次脳機能障害

3 神経心理学的検査

4 就労と社会参加

5 支援体制

第Ⅱ部 自動車教習所の役割と連携

6 自動車教習所の評価判定の実際および自動車教習所が医療機関に求めること

7 自動車教習所と医療機関の連携

8 医療機関の実際―札幌秀友会病院の取り組み

9 脳障害者に対する自動車運転再開の支援―富山県高志リハビリテーション病院での取り組み

10 自動車教習所との連携

11 対象者・家族に何が提供できるのか?―岡山自動車教習所と岡山リハビリテーション病院の連携

12 机上課題と実車評価

第Ⅲ部 研究および開発

13 簡易自動車運転シミュレーターの使用方法

14 自動車運転再開の指針と判断基準案

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書籍情報

  • ISBN:9784765316392
  • ページ数:108頁
  • 書籍発行日:2015年5月
  • 電子版発売日:2015年11月6日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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