小児脳神経外科学 改訂2版

  • ページ数 : 1095頁
  • 書籍発行日 : 2009年9月
  • 電子版発売日 : 2017年3月24日
26,400
(税込)
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商品情報

内容

脳神経外科,小児科等広く臨床・研究に携わる医療者の指針となる1冊

本書は病態,治療,予後,患者家族との関わり等,幅広く解説.また,新たな執筆陣を迎え,この分野のスタンダードとして,さらに精度を高めた.

序文

改訂2版の序

第1版を発刊してから,早くも6年が過ぎた.第1版は,小児脳神経外科のまとまった教科書がないという声に後押しされ,やっとの思いで発刊までこぎつけたというのが実感であった.勿論,小児脳神経外科は脳神経外科学の重要なサブスペシャリティの一分野であり,日本小児神経外科学会の学術集会の際に開催される小児神経外科教育セミナーには専門医試験の受験者が必須のように受講することも定着してきた.がむしゃらに刊行した第1版ではあったが,刊行後3年を過ぎた頃には改訂版の準備の許可が下りる売れ行きであったことに,編集者としてはただただ感謝するばかりである.その貴重な「小児脳神経外科学」第2版の発刊の機会を与えられたのであるから,第1版で気になった不十分なところを徹底的にチェックし,この数年間の進歩も反映させることに努めた

日本の小児脳神経外科学は,第1世代の先人たちの多大なるご努力・ご尽力により打ち立てられ発展してきた.次の世代である我々にはそれを受け継ぎ,学問として普遍化し,小児脳神経外科学の専門家をつくるだけでなく,さらにすそ野を広げていくことが求められている

一方,社会が少子高齢化へと急速に進行するなかで,医療のシステムはどんどん変化してきている.女性が働き続けることも当たり前になったといえば聞こえはいいが,女性労働力に依存せざるを得ない現状と,格差社会の進行とワーキングプアの増加のなかで,子育て環境は決して良くなっているとはいえず,むしろ子育てに対する価値観は多様化し,悩みを深めている.一方で診断治療機器はますます進歩し,様々な分野に分子遺伝子学が診断方法や治療薬の開発に取り入れられてきた.初版の発刊以降だけでも,小児脳死判定の法制化・小児がん拠点病院の選定・新型出生前診断の開始など,我々の周りは大きく変化している

そのような変化も反映できるよう項目を増やし,詳細に記述するなど,編集者から各著者へはやや無理なお願いや注文をさせて頂いた.症例の写真を増やし,図の説明をわかりやすく手を入れることをお願いした.著者の先生方には,そのようなことも快く受け入れ書き直して頂き,時にはせっかく頂いた原稿をページ数の制限から一部割愛までお願いする失礼もあった.著者の先生方にはこの場を借りてお詫び申し上げ,編集の労をお取りいただき無理な注文にも丁寧にこたえていただいた金芳堂市井輝和前社長,一堂芳恵さん,村上裕子さんにお礼申し上げたい.発行が予定したより1年も超過てしまったことは,ひとえに編集者の責任でこの場を借りて深くお詫びしなければならない

この「小児脳神経外科学」が,脳神経外科専門医試験受験者にとって,これから小児脳神経外科医をめざして専門に勉強しようとする人たちにとっての必須の教科書に,そして一人でも多くの脳神経外科疾患に苦しむ子どもたちが救われる一助となることを願い序とする.


2015年7月

山崎麻美・坂本博昭

目次

1章 総合的評価法

§1 病歴

§2 現症・理学的所見

§3 神経学的検査

2章 検査

Ⅰ.一般検査

§1 血液検査

§2 髄液検査

§3 細菌検査

Ⅱ.神経放射線学的検査

§1 X線被曝と安全性

§2 頭蓋単純X線

§3 CT

§4 MRI

§5 脊椎・脊髄の発達

§6 RI

§7 PET

Ⅲ.超音波検査

Ⅳ.生理学的検査

§1 頭蓋内・頭蓋頚椎移行部・脊髄病変に対する術中神経生理学的手技

§2 腰仙部脊髄病変に対する神経生理学的手技

§3 脳磁図(MEG)

3章 患者・家族への説明

§1 インフォームド・コンセント

§2 遺伝カウンセリング

4章 治療

§1 周術期管理

§2 手術治療

§3 血管内治療

§4 神経内視鏡治療

5章 先天性疾患

§1 二分頭蓋・脳瘤

§2 二分脊椎

§3 大脳の先天性疾患

§4 菱脳の先天性疾患

§5 くも膜嚢胞・頭蓋内嚢胞性疾患

§6 頭蓋骨縫合早期癒合症

§7 脊髄空洞症

§8 先天性脊椎疾患

§9 神経皮膚症候群

§10 脳腫瘍を合併しやすい遺伝性疾患

§11 頭皮・頭蓋病変

6章 水頭症

§1 定義

§2 髄液の産生・循環・吸収

§3 分類

§4 疫学

§5 症状

§6 診断と検査

§7 治療の適応

§8 治療法

§9 脳室腹腔シャント術(VPシャント術)

[Side Memo]VAシャント(脳室心房シャント術)

§10 長期管理

§11 予後

§12 特殊な病態

§13 水頭症と鑑別すべき疾患

7章 腫瘍

Ⅰ.総論

§1 小児脳腫瘍とは

§2 遺伝子レベルからみた小児脳腫瘍の分類・予後因子

§3 手術療法

1.はじめに

2.大脳半球腫瘍(大脳深部を含む)

3.側脳室腫瘍

4.第三脳室前半部腫瘍

5.トルコ鞍内腫瘍

6.松果体部腫瘍

7.小脳・第四脳室腫瘍

8.脳幹部腫瘍

§4 放射線治療
[ガンマナイフ治療]

§5 化学療法

§6 その他の新たな治療法

§7 患者・家族への説明

Ⅱ.各論

§1 大脳半球腫瘍

§2 側脳室腫瘍
[Side Memo]コロイド嚢胞

§3 視神経・間脳・第三脳室腫瘍

§4 松果体部腫瘍

§5 小脳・第四脳室腫瘍

§6 脳幹グリオーマ

§7 新生児・乳児期の脳腫瘍

§8 頭蓋骨・眼窩内腫瘍および類縁疾患

§9 脊髄腫瘍

8章 外傷

§1 小児頭部外傷の特徴

§2 小児頭部外傷の初期治療

§3 軽症頭部外傷

§4 頭蓋骨骨折

§5 急性硬膜外血腫

§6 急性硬膜下血腫

§7 慢性硬膜下血腫と硬膜下液体貯留

§8 脳実質損傷

§9 原因別の頭部外傷

§10 脊椎・脊髄損傷

§11 末梢神経損傷

9章 機能脳神経外科

§1 てんかん

§2 てんかん外科

§3 痙縮の外科治療

10章 感染症

§1 細菌性髄膜炎

§2 脳膿瘍

§3 硬膜下膿瘍

11章 血管障害

§1 総論

§2 脳動静脈奇形(AVM)
[脳動静脈奇形のガンマナイフ治療]

§3 静脈奇形

§4 海綿状血管腫

§5 脳動脈瘤

§6 出血性素因による頭蓋内出血

§7 もやもや病

§8 もやもや病以外の閉塞性血管障害

§9 静脈洞血栓症

12章 脳神経外科医が知っておくべき各領域の知識

§1 神経系の発生

§2 新生児領域

§3 小児神経内科領域

§4 内分泌領域

§5 形成外科領域

§6 整形外科・リハビリテーション領域

§7 排尿・排便管理

§8 眼科領域

§9 耳鼻科領域

§10 小児緩和ケア

§11 退院支援と在宅医療

§12 小児の脳死―現状と課題

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書籍情報

  • ISBN:9784765316484
  • ページ数:1095頁
  • 書籍発行日:2009年9月
  • 電子版発売日:2017年3月24日
  • 判:A5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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