睡眠がみえる! 睡眠が見えれば,睡眠が診れる

  • ページ数 : 132頁
  • 書籍発行日 : 2019年9月
  • 電子版発売日 : 2019年9月4日
5,280
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商品情報

内容

昼間の覚醒の問題を解くカギは夜間の睡眠にあり―.

医療従事者全員に「睡眠をみる目」を持ってもらいたいという熱い思いから生まれた,睡眠医学のエキスパート2人による初の詳細な解説付き睡眠医学アトラス.

■関連書籍
極論で語る睡眠医学
ER・ICUで必要な循環器薬の知識と使い方―日米のエビデンスの狭間で―(新装版)
極論で語る循環器内科 第2版

序文

全ての医療従事者は睡眠をみる目を持つべし―昼間の覚醒ばかりを評価して,夜間の睡眠を評価しないってどうなの?―

これは陰陽勾玉巴とか太極図とか陰陽魚などと呼ばれる古代中国の道教に由来する図である.陰が夜間の睡眠,陽が昼間の覚醒を表すとも解釈できるので睡眠医学のシンボルでもある.この図は睡眠医学では夜間の睡眠と昼間の覚醒が半円で区切られるのではなく,巴の形になってお互いに入り込むので覚醒と睡眠が影響しあっているという意味でよく用いられる.さらに現代医学に踏み込んで解釈すれば「昼間の覚醒ばかりを評価して,夜間の睡眠を評価しないってどうなの?」とも言える.「昼間の外来」や「昼間の回診」で「昼間の症状」を評価して,「昼間の治療」を行っている.そして,「どうしてこの昼間の症状が良くならないのか?」などと昼間に悩むのだ.

いやいやいや,なぜ「夜間の睡眠」のことを少しでも考えないのか?おかしいだろう!昔の人も言ってるぞ!陰と陽は表裏一体,混然一体となって影響し合うって.

「なるほどそれもそうだな」と思ってもらえただろうか?しかし,「そんなことを言っても,睡眠をどう評価していいかわからない.」という人も多いだろう.そう,「睡眠をみる目」を大部分の医療従事者は持っていないのだ.実はこれが問題の根幹である.みる目がないのだから見えないし,見ようとも思わないのは当たり前だ.

こんな状況をなんとかしたい.医療従事者全員に「睡眠をみる目」を持ってもらいたい.そこで,本書では「睡眠をみる方法」に特化して解説した.この本では「みえる」「みる」という言葉が多用されている.そこには視覚的に「見える」ことから,観念的に「観える」こと,そして患者に介入していく「診る」ことが含まれている.第一部では病歴聴取,脳波,終夜睡眠ポリグラフと進んで,どうやって睡眠を見て,観るのか?から始まり,第二部では睡眠に関連する訴えや睡眠関連疾患をどうやって診るのかを解説した.

「睡眠をみる方法」を伝えるには通常の図表だけを載せたアトラスでも,解説だけの教科書でも無理だ.「睡眠をみる」という睡眠医学の面白さの根源を逐一解説した教科書とアトラスの美味しいとこ取りをした本を作りたいと共著者の立花直子先生とも常々話していた.そしてそれが現実に出版されることになり本当に嬉しく思っている.このようなわがままに満ちた本を世に出す機会を与え根気強く編集作業に付き合っていただいた株式会社 金芳堂の一堂芳恵氏と藤森祐介氏に謝意を表したい.

さて,この本を作成するにあたって図表をかき集めたが,なかなか入手できないものも多かった.もしも皆さんの中にさらに写真や図表を提供しても良いという方がおられたら是非連絡していただきたい.版を重ねるごとにこの本を充実させていくことができれば幸いだ.

この本を通じて,あなたの患者の問題を解決するツールとして「睡眠をみる」というツールを加えてもらいたい.きっと強力なツールとなること間違いない.


2019年6月吉日

河合 真

目次

第1部:正常な睡眠と覚醒

第1章 成人の病歴聴取から見えること,見えないこと

第2章 小児の病歴聴取から見えること,見えないこと

第3章 脳波を使った観察1

第4章 脳波を使った観察2 覚醒~睡眠移行期

第5章 PSGを使った観察1

第6章 PSGを使った観察2

第2部:睡眠関連疾患をどうみるか?

第1章 「眠い」をどう診るか?

第2章 睡眠の質をどう診るか? ~特にOSASに関して~

第3章 「眠い」をどう診るか? ~簡易検査編~

第4章 「眠い」をどう診るか? ~OSAS治療編~

第5章 「眠い」をどう診るか? ~過眠症編~

第6章 夜間の運動異常をどう診るか?

第7章 「不眠症」をどう診るか?

第8章 睡眠時の異常行動=パラソムニアをどう診るか?

コラム

1.深く掘り下げて何を聞く?

2.とんでもなく睡眠不足な日本の子供達

3.一見「意識障害」なのに脳波で明らかに「覚醒」だと分かった場合

4.アナログ記録からデジタル記録へ

5.夜,検査することで見えるもの

6.睡眠医学と快眠法の違い

7.アプリ、ウェアラブルとどう付き合うか?

8.睡眠医学に関わる時のお作法について

9.簡易検査なんてつまらない?

10.なぜ眠るのか?観察研究と睡眠剥奪研究

11.居眠り事故のコメントに関して

12.脚が「むずむず」すると言って来たらどうするのか?

13.なぜ不眠症が存在するのか?

14.睡眠と記憶

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書籍情報

  • ISBN:9784765317900
  • ページ数:132頁
  • 書籍発行日:2019年9月
  • 電子版発売日:2019年9月4日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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