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- 手の皮弁手術の実際
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内容
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序文
著者が大学を卒業したのは1957年で,この年に第1回の日本手の外科学会と日本形成外科学会が開催された。1年のインターンの後,整形外科学教室に入局し,間もなく手の外科班に配属され,現丸毛英二東京慈恵会医科大学名誉教授の手ほどきを受けた。当時の手の外科の本といえば,Bunnelの“Surgery of the Hand”,Rank,Wakefield,Huestonの“Surgery of Repair as Applied to Hand Injuries”,Enderの“Die Chirurgie der Handverletzungen”,Islinの“Chirurgieder Hand”(Islinのドイツ語訳)しかなかった。これらの本を繙いて,Z形成術を知り,指交叉皮弁を行ない,腹壁皮弁を手へ応用していた。当時行なわれていた手の皮弁手術の種類は限られたものであり,その後,間もなくLittlerの神経血管柄島状皮弁が画期的なものとして知られようとしていた。
1968年,著者は開設された形成外科へ移籍した。形成外科において皮弁手術は重要な手技のlつであり,広く用いられていることを知り,手の皮弁手術に関わるようになった。その後,マイクロサージャリーの発展,それに伴う手の血行動態の解明とともに,手の皮弁手術は飛躍的に進歩し,多くの手術法が報告されるようになった。著者が整形外科へ入局し,手の外科を始めた当時を想うと今昔の感が深い。
以上のような経緯から手の皮弁手術の集大成を思い立った。手の皮弁手術だけとっても今までいかに多くの方法が行なわれきたか,そして現在行なわれているかが分かり,手の外科の奥行の深さが伺われる。1つの方法にこだわらず,それぞれの症例に対して適切な方法の選択ができるためには多くの知識を持っている必要がある。現在あまり行なわれていない方法についても述べたが,これらの方法を知っていることは必要であり,これらの方法を考え出した先人たちの業績の上に,今後また新たな展開があるものと考えられる。
現在,用いられている手の皮弁の名称は統一されておらず,考案した外科医がそれぞれの名称を用いている。いずれ統一されるであろうが,本書では茎の名称と皮弁を挙上する部位の名称の2つは記載しなければならない必須事項であると考え,その呼称法に従った。また,血管については順行性であるか,逆行性であるかについても記載する必要があるので,その呼称も付け加えた。
また,本書では,それぞれの皮弁が誰によって行なわれ,本邦では誰によって用いられるようになったかを記載するために,できるだけ多くの文献を引用した。可能な限り原著に忠実であらんとするために,ドイツ語,フランス語の文献はもとより,スペイン語,イタリア語,ロシア語,中国語の文献も取り寄せ引用した。
なお,本書の手術の図は引用したもの以外はすべて著者が描いたものである。本書が手の外科医,手の外科を志す整形外科,形成外科の若き学究の徒に多く読まれ,手の皮弁手術がさらに発展することを期待するものである。
最後に,手の皮弁手術の基礎的研究や,皮弁手術の開発,工夫,検討に努力して頂いた形成外科学教室の諸氏,原稿の整理,ワープロ入力に協力頂いた秘書の江川けい子さん,本書の出版に御盡力頂いた克誠堂出版株式会社書籍編集部の小沼朝夫氏に心からの感謝を申し上げる。
1997年 1月
東京慈恵会医科大学形成外科
児島 忠雄
目次
序
総 論
I.手の皮弁の歴史
A.遠隔皮弁
B.局所皮弁,区域皮弁
C.島状皮弁
II.手の皮弁の分類
A.皮弁採取部と移植部の関係による分類
B.茎の状態による島状皮弁の分類
C.知覚の有無による分類
D.神経血管柄島状皮弁
E.血管柄島状皮弁
F.神経柄島状皮弁
III.手の皮弁応用の原則,適応と選択
A.一期的再建方法の考慮
B.知覚の再建の考慮
各 論
I.有茎皮弁(島状皮弁を除く)
A.局所皮弁
1.手 背
a.回転皮弁と横転皮弁
b.Limberg皮弁
c.Slide-swing plasty
d.Rhomboid-to-W皮弁
2.手 掌
3.指
a.Z形成術
b.回転皮弁
c.横転皮弁
d.背側VY前進皮弁
e.指背側からの掌側への横転皮弁
f.Slide-swing plasty
g.Lueders皮弁
h.後爪郭形成のための皮弁
i.側爪郭形成のための皮弁
j.Flag flap(homodigital)
k.指側面皮弁(Digito-lateral flap)
l.指背側・側面皮弁
m.面頬皮弁
n.Thumb-stall法(Cocked-hat法)
o.Hueston皮弁
4.指 間
a.Z形成術
b.4皮弁Z形成術
c.5皮弁Z形成術
d.Interdigital butterfly flap
e.Mustrade´法
f.背側矩形皮弁
g.正方弁法(Square flap法)
h.Seagull flap法
i.VM-plasty
j.示指橈背側皮弁(Spinner皮弁)
k.母指背側皮弁(Dorsal thumb flap)
l.手背皮弁(Dorsal sliding skin flap)
m.指背側皮弁(Digito-lateral flap)のヴァリエーション
1.“Rabbit ears”flap
2.Dorsal flap with double-opposing lateral digital extensions
B.区域皮弁
1.指交叉皮弁(Cross finger flap)
1)概要と歴史
a.指交叉知覚皮弁
b.指交叉皮下組織茎皮弁
c.血管柄付き指交叉島状皮弁
2)手術の実際
3)適応
2.手掌皮弁(Palmar flap)
1)概要と歴史
2)手術の実際
3)適応
II.島状皮弁
A.皮下組織茎島状皮弁
a.掌側VY前進皮弁
b.側面VY前進皮弁
c.指体部における皮下組織茎VY前進島状皮弁
d.小指球部VY前進島状皮弁
e.皮下組織茎第1指間島状皮弁
B.神経血管柄島状前進皮弁
a.神経血管柄VY前進皮弁
b.神経血管柄島状矩形皮弁
c.神経血管柄指背・側面皮弁
C.神経血管柄島状掌側前進皮弁
1)概要と歴史
2)臨床解剖
3)手術の実際
4)適応
D.神経血管柄島状皮弁
a.Littler法
b.神経血管柄示指背側島状皮弁
E.血管柄島状皮弁
1.順行性動脈柄島状皮弁
a.指動脈島状皮弁
b.指中節背側島状皮弁
c.示指基節背側島状皮弁
d.背側中手動脈島状皮弁
2.逆行性動脈柄島状皮弁
a.逆行性指動脈島状皮弁
b.逆行性血管柄手掌島状皮弁
c.逆行性血管柄母指球島状皮弁
d.逆行性血管柄小指球島状皮弁
e.逆行性血管柄背側中手島状皮弁
f.逆行性血管柄指間背側島状皮弁
g.逆行性血管柄指背島状皮弁
3.静脈柄島状皮弁
1)概要と歴史
2)臨床解剖
3)手術の実際
4)適応
F.神経柄島状皮弁
1)概要と歴史
2)臨床解剖
3)手術の実際
4)適応
III.脂肪・筋膜弁,皮下組織弁
1)概要と歴史
2)臨床解剖
3)分類
4)手・指の脂肪筋膜弁
a.脂肪筋膜反転弁(手・指)
b.同一指皮下組織弁
c.血管柄脂肪筋膜島状弁
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書籍情報
- ISBN:9784771901834
- ページ数:242頁
- 書籍発行日:1997年1月
- 電子版発売日:2011年12月10日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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