集中治療医学 文献レビュー 2014~2015

  • ページ数 : 336頁
  • 書籍発行日 : 2014年3月
  • 電子版発売日 : 2016年9月2日
5,940
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商品情報

内容

集中治療に携わる多忙な医師に贈る、臨床的ガイドブック!

急性期の重症患者を管理する上で基盤となる領域の総括に加え、2012~2013年の“必ず読むべき”論文125を個別に解説し、それらに基づく展望と課題を提示した。
集中治療専門医を目指す若手医師のみならず、あらためて近年の集中治療医学を俯瞰したい医師、ICU を仕事の場とする看護師・臨床工学技士・薬剤師などの多職種の指標となる一冊。

序文

はじめに

今井貴子夫人と故今井孝祐先生に本書を捧げます.


前版である「集中治療医学文献レビュー2012~2013年版」が発行されて,あっという間に2年が経過した.この間,集中治療医学におけるエビデンスはいかなる変遷をしてきたであろうか? 2012年には,18年ぶりにARDSの診断基準が改定され,4年毎に改訂されるおなじみのSurviving SepsisCampaign guidelineが発表された.2013年に,11ぶりに改定された鎮痛鎮静せん妄管理ガイドラインが発表されたことは記憶に新しい.その他にも,ARDSに対する腹臥位療法,ARDS以外の疾患に対する人工呼吸管理,重症患者の輸液の種類や量,心停止蘇生後の体温管理,重症患者の栄養・血糖管理など,数多くのエビデンスが追加された.こう考えると,たった2年間もたもたしているだけで私達は集中治療医学の最新のエビデンスに取り残されてしまう,そんな速度で我々インテンシビストを取り巻く環境は時々刻々と変化していると言えよう.

一方で国内の医療環境を見渡すと,内科・外科といったメジャーな診療科の臓器系統別の細分化はさらに進み,この流れが逆にインテンシビスト,総合内科医,救急医といったジェネラリストの需要を高めているようにも見える.20年前には,ICUの中で重症患者管理のすべてを行っていた内科医たちが,今はほぼいなくなったことを日々実感している.これは決して憂えるべきことではなく,医学の分野の専門化が進むとともに,一人の医師で内科や外科のすべてをカバーすることが困難な時代に入ったことを表しているのではないだろうか? つまり,縦割りの診療科は縦に深く掘り下げ続けることで専門領域を拡大しているが,横には広がりにくくなっているのである.外科から整形外科,脳外科などが独立したように,内科から循環器内科,消化器内科などが完全に独立する日も近いのかもしれない.今後は,細分化された縦割りの診療科を,外来,救急,ICUなどのマルチレベルでジェネラリスト達が横に紡ぐことによってこそ,患者により良い医療が提供できるものと考える.このあたりに,重症患者の入院診療を担う専門医集団であるインテンシビストの存在価値が見えてくる.

年々高まるインテンシビストの人気に応えるべく,日本集中治療医学会は2013年に集中治療を志す医師の道標となるべき「集中治療教育プログラム」を発表した.また,長年手がつけられていなかった集中治療専門医制度も,大きな変革の時期を迎えており,インテンシビストの国内基盤はより強固なものになってきている.

あらゆるスポーツに基礎練習(ファンダメンタル)は必須である.準備運動,ランニング,ダッシュ,ステップなど,つまらないと思う練習でも我慢して黙々と練習すると,いつのまにか上手くなっていることがある.基礎練習を省略して,いきなり上手くなる人はまずいない.前回に続き今回の企画も,このような集中治療医学の基盤をなす項目,すなわち「ファンダメンタル」と考えられる総論的項目を網羅したつもりである.この集中治療の「ファンダメンタル」の部分の医学論文を渉猟し総括することにより,集中治療専門医を目指す若手医師のみならず,あらためて近年の集中治療医学を俯瞰したい医師,ICU を仕事の場とする看護師・臨床工学技士・薬剤師などの多職種のガイドとなる内容を心がけたつもりである.

前版の章立てのみでは不十分だと思われた分野として,「凝固」,「代謝・内分泌」,「栄養」,そして「終末期医療」の章を追加し,「循環輸液管理」は「急性心不全」と「輸液管理」の章に分配した.また,トピックスとして「ECMO」の章を最後に追加した.集中治療の「ファンダメンタル」を学ぶ上で,前回よりもさらにパワーアップした内容となっていることは間違いない.

最後に,ただでさえ猫の手も借りたいほど忙しい臨床の中で,執筆を快諾していただいた先生方には,書面をお借りして心より御礼を申し上げます.


2014年2月 武居哲洋

目次

第1章 集中治療というパラダイム

総括1 はじめに

総括2 本邦の集中治療の概況と国際比較

総括3 インテンシビストの人員配置と診療の質や治療成績との関係

総括4 集中治療における医療経済

総括5 インテンシビストによる診療の質の向上(quality improvement)

総括6 ICU における公平な資源配分(fair allocation)

総括7 集中治療の需要と供給

総括8 遠隔医療(telemedicine)

総括9 おわりに

最新文献紹介

展望と課題

第2章 急性心不全

総括1 はじめに

総括2 急性心不全の診断

総括3 急性心不全の治療

補遺2-1 急性心不全の最新治療

補遺2-2 急性心不全と心房細動,至的脈拍数

最新文献紹介

展望と課題

第3章 敗血症性ショック

総括1 はじめに

総括2 初期蘇生

総括3 感染巣検索と抗菌薬

総括4 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

総括5 補助管理

総括6 新薬の研究

総括7 小児重症敗血症

補遺3-1 日本版敗血症診療ガイドライン

最新文献紹介

展望と課題

第4章 急性呼吸不全の病態

総括1 ARDS の歴史

総括2 ARDS の診断基準

総括3 ARDS の病態生理

総括4 ARDS の疫学

補遺4-1 スターリングの平衡

最新文献紹介

展望と課題

第5章 ARDS の治療

総括1 ARDS の人工呼吸管理

総括2 人工呼吸以外の補助治療

補遺5-1 理想体重

補遺5-2 ピーク圧とプラトー圧

最新文献紹介

展望と課題

第6章 急性腎傷害と腎代替療法

総括1 はじめに

総括2 AKI の診断

総括3 AKI の疫学

総括4 AKI の治療と予防

総括5 RRT 開始と終了

総括6 RRT の実施

総括7 おわりに

最新文献紹介

展望と課題

第7章 輸液管理

総括1 はじめに

総括2 輸液管理の目的

総括3 なぜ循環血液量は変化し,判断に苦渋するのか?

総括4 循環血液量と輸液反応性の評価方法:圧 vs. 動的 vs. 容量パラメータ

総括5 輸液は何を投与するのがよいのか?

総括6 Conservative fluid management (輸液の制限):輸液はどこまで行えばよく,いつ制限すればよいか?

最新文献紹介

展望と課題

第8章 輸血・血液

総括1 重症患者における赤血球輸血

総括2 大量出血患者の凝固・線溶の制御

補遺8-1 トロンボエラストグラフィ

補遺8-2 輸血関連急性肺傷害(TRALI)

最新文献紹介

展望と課題

第9章 鎮痛・鎮静

総括1 深い鎮静の弊害

総括2 現代ICU における基本的鎮静スタイル

総括3 せん妄

総括4 どの鎮静薬を用いるべきか

最新文献紹介

展望と課題

第10章 凝固

総括1 はじめに

総括2 VTE の疫学

総括3 VTE の予防と治療

総括4 敗血症性DIC の診断

総括5 敗血症性DIC に対する抗凝固薬

最新文献紹介

展望と課題

第11章 代謝・内分泌

総括1 重症化が代謝・内分泌系に与える影響

総括2 ホルモン補充療法による重症患者の補助療法

総括3 敗血症患者に対するステロイドパルス療法の是非

総括4 敗血症患者に対するステロイド少量長期投与療法

総括5 ARDS 患者に対するステロイドパルス療法の是非

総括6 ARDS 患者に対するステロイド中等量長期投与療法

総括7 ステロイド補充療法に関するまとめ

総括8 重症化に伴う急性高血糖の発生

総括9 強化インスリン療法の是非

総括10 重症患者の血糖測定法

最新文献紹介

展望と課題

第12章 栄養

総括1 はじめに

総括2 重症患者の特異性と早期EN

総括3 エネルギー投与

総括4 幽門後栄養と経胃栄養の比較について

総括5 胃残渣量の許容量について

総括6 免疫栄養剤について

補遺12-1 アルギニンは有害なのか?

最新文献紹介

展望と課題

第13章 感染制御

総括1 はじめに

総括2 耐性グラム陰性桿菌

総括3 耐性グラム陰性桿菌に対する抗菌薬併用療法

総括4 βラクタム系抗菌薬の長時間点滴注入療法

総括5 VAP の最近の話題と新たな概念VAC

総括6 血流感染を中心とした感染症の予防

総括7 感染性心内膜炎(IE)の手術適応

補遺13-1 Inoculum effect

補遺13-2 肺炎の分類についての用語

最新文献紹介

展望と課題

第14章 心拍再開後の集中治療

総括1 はじめに

総括2 低体温療法

総括3 早期冠動脈再灌流療法

総括4 その他の全身管理

補遺14-1 ウツタイン様式

補遺14-2 脳機能カテゴリー(CPC)

補遺14-3 心拍再開後の予後予測

最新文献紹介

展望と課題

第15章 終末期医療

総括1 はじめに

総括2 終末期の定義,治療判断の要点

総括3 集中治療における終末期医療の特徴

総括4 医学的無益性

総括5 意思決定のプロセス

総括6 事前指示

総括7 終末期医療に関するガイドライン

総括8 集中治療における緩和ケア

補遺15-1 高齢者への治療制限:差別か,妥当な判断か

補遺15-2 小児における終末期医療:最善の利益に重きを置く

補遺15-3 資源配分を理由とした終末期の治療制限:なくす努力か,誠実に認めるか

補遺15-4 POLST:医学的な妥当性を満たす新しい事前指示

最新文献紹介

展望と課題

第16章 トピックス:成人のECMO

総括1 はじめに

総括2 Respiratory ECMO

総括3 Cardiac ECMO とE-CPR

最新文献紹介

展望と課題


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書籍情報

  • ISBN:9784059147497
  • ページ数:336頁
  • 書籍発行日:2014年3月
  • 電子版発売日:2016年9月2日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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