呼吸器疾患文献レビュー 2014~2015

  • ページ数 : 170頁
  • 書籍発行日 : 2014年4月
  • 電子版発売日 : 2016年9月2日
5,280
(税込)
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商品情報

内容

呼吸器疾患で基盤となる重要な10領域について最近の動向を総括!

主に2012~2013年に発表された文献を紹介しながら,最新の情報を提供。
“必ず読むべき”論文78を個別に解説した、呼吸器疾患に携わる多忙な医師に贈る臨床的ガイドブック。

序文

はじめに

本書は,呼吸器領域の10 項目について,主に2012 〜2013 年に発表された文献を紹介しながら,最新の情報を提供する目的で企画された.いずれの項目もその第一人者によって執筆されている.

呼吸器疾患の病態の解明・診断・治療の進歩は,他領域の疾患と同様に,網羅的遺伝子解析,分子生物学的手法,画像撮影技術と解析方法などの進歩によってもたらされた.第1 章「細胞・分子生物」では,肺線維化の機序に焦点を絞り,肺線維芽細胞の起源,肺線維芽細胞の量的ではなく質的変化の重要性,肺上皮細胞のintegrity,小胞体ストレスの関与についてを解説した.第2 章では,高齢者の増加に伴い増えると予想される「肺癌」について予防・診断・治療の進歩をまとめた.また,第3 章「間質性肺炎・肺線維症」では,診断やバイオマーカー,治療の進歩についてを紹介した.第4 章で解説した「気管支喘息」は,単一の疾患ではなく多様性のある疾患である.この多様性を臨床的特徴,呼吸生理学的特徴,バイオマーカーなどによっていくつかのフェノタイプあるいはエンドタイプに分類し,治療への反応性との関連が検証されている.さらに,遺伝子変異の同定と疾患感受性と治療反応性の相関や,オミックスによる遺伝情報から蛋白情報のネットワークの解明によって明らかにされる気管支喘息の病態が報告されつつある.副腎ステロイド薬と長時間作用性β2 刺激薬の配合薬の臨床的効果に示されているように,β2 刺激薬が主役であるが抗コリン薬も有効性が確認され,臨床で使用される予定である.さらに,抗IgE 抗体による分子標的治療と免疫療法など,今後の進歩が大いに期待される分野である.世界の死因の上位を占める「COPD」については,第5 章にて解説した.病態の把握と治療方針の決定は,従来の気流閉塞に加えて,増悪・自覚症状・QOL の組み合わせに基づくものに変化してきている.病態との関連や増悪を予測するバイオマーカー同定・探索,気管支拡張薬と病態との関連や抗炎症作用を期待する分子標的薬の臨床応用などについても紹介した.第6 章「ARDS」では,Berlin 定義,呼吸管理,薬物療法についてを,第7 章「肺高血圧」では,ガイドラインの改訂と最近目覚ましい進歩を遂げている薬物用法の現状についてを解説した.第8 章「呼吸機能と形態」では,画像診断とその処理・解析技術の進歩について紹介した.この分野は放射性同位元素の利用によって呼吸器機能イメージングのみならず疾患病態のバイオマーカーとしての臨床応用が期待されている.第9 章「感染症」では,分子生物学的診断法の進歩と臨床応用の有用性,治療の進歩を中心に最近の話題を掲載した.第10 章「睡眠呼吸障害」では,睡眠時無呼吸の病態に関する最近の話題,生活習慣病・全身炎症・併存症との相互作用を解説している.詳細は,是非本書をご覧になっていただきたいと思う.

たとえば,「気管支喘息」について紐解くと,最初の記載は紀元前1550 年に遡る.間欠的な症状・気道炎症・気道過敏性亢進・気道可逆性については1800 年代後半〜1920 年代に記載され,1968 年IgEの発見,1988 年T 細胞のTh1 とTh2 細胞の機能分類,その後,Th2 優位と非優位タイプの同定,フェノタイプ・エンドタイプ分類など病態の解明が進み,多様性のある疾患として捉えられるようになった.治療面では,紀元前4000 〜2000 年のハーブの吸入,1951 年には生理食塩水で溶解したコートンの吸入が行われ,副腎ステロイドによる喘息の吸入療法が始まった.現在使用されているハンディタイプの吸入器による治療は,1972 年に定量噴霧式吸入器によるベクロメサゾンが最初である.その後,副腎ステロイド薬および吸入器具の開発によって喘息治療は急速に進歩した.このように歴史的変遷を知ることは,研究・臨床の現在を見つめ,将来の展望に貢献する.この点から本書が少しでも貢献できれば幸いである.

最後になりますが,多忙な中にもかかわらず本書を執筆していただいた著者の皆様に,心から御礼申し上げます.

2014年4月 日本大学医学部内科学系 呼吸器内科学分野 橋本 修

目次

第1章 細胞・分子生物 西岡 安彦

最近の動向

1 肺線維化に関わる肺細胞

2 肺線維化のメカニズム

最新文献紹介

第2章 肺癌 清水 哲男

最近の動向

1 肺癌の動向

2 予防における進歩

3 診断における進歩

4 治療における進歩

最新文献紹介

第3章 間質性肺炎・肺線維症 坂本 晋・本間 栄

最近の動向

1 特発性肺線維症の病態・治療の変遷

2 IPFの最新の治療戦略

最新文献紹介

第4章 気管支喘息 権 寧博

最近の動向

1 気管支喘息のフェノタイプとエンドタイプ

2 気管支喘息とバイオマーカー

3 吸入療法の新たな展開

4 重症喘息に対する抗体療法の展開

5 気管支喘息の新たな治療法

6 展望と課題

最新文献紹介

第5章 COPDの病態の理解と治療の進歩 金子 猛

最近の動向

1 病態の理解

2 薬物療法

最新文献紹介

第6章 ARDS定義の問題点とBerlin定義 石井 芳樹

最近の動向

1 ARDS定義の歴史

2 ARDS定義の問題点

3 Berlin定義のポイント

4 Belrin定義の意義と問題点

最新文献紹介

第7章 肺高血圧症 守尾 嘉晃

最近の動向

1 はじめに

2 肺高血圧症の定義と臨床分類

3 肺高血圧症の病態

4 肺高血圧症の診断

5 肺高血圧症の治療と予後

6 呼吸器疾患と肺高血圧症

7 おわりに

最新文献紹介

第8章 呼吸機能と形態 桑平 一郎

最近の動向

1 はじめに

2 SPECTおよびPET

3 MRI

4 CTおよびMicroCT

5 電気的インピーダンス断層撮影法(EIT)

6 光干渉断層撮影法(OCT)

7 放射光によるmicroangiography

8 参考事項としてのマイクロスフェア法

9 おわりに

補遺8-1 呼吸機能イメージングの目指すところ

最新文献紹介

第9章 感染症 舘田 一博

最近の動向

1 肺炎の疫学における変化:肺炎が死因の第3位に

2 新しい病原体

3 診断法における進歩

4 予防・治療における話題

最新文献紹介

第10章 睡眠呼吸障害の病態生理と低酸素血症および睡眠時間 陳 和夫

最近の動向

1 睡眠時無呼吸と低酸素血症

2 睡眠呼吸障害と睡眠時間の相互関連

3 睡眠呼吸障害と新しい病態生理

4 睡眠呼吸障害と各種疾患の関連で解決すべき点

5 今後の課題

最新文献紹介

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784059147503
  • ページ数:170頁
  • 書籍発行日:2014年4月
  • 電子版発売日:2016年9月2日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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