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- 無刀流整形外科 メスのいらない運動器治療
商品情報
内容
【2017年日本整形外科学会売上第2位】運動器を巡る最新の知見から読み解く“メスの要らない”運動器治療の神髄!「切らずに」治し、メスを入れる時は「自信を持って」行うために必要な“無刀流整形外科”最新の知見・技術を、運動器治療のエキスパート達が余すところなく伝授します。
序文
編集にあたって
歴史を振り返ると,近代医療の進歩は検査機器の開発と密接な関係があることがわかります。19 世紀末にレントゲンが発見したX線により骨や肺野の異常を画像として捉えることができるようになりました。20世紀後半にはX線CTにより病像や障害を立体的に捉えることができるようになり,さらにMRI(磁気共鳴装置)によりX線では捉えることができなかった軟部組織や硬組織の異常を画像に捉えられるようになりました。こういった器機の開発により,運動器の診断や治療は飛躍的に進歩しました。
しかしこういった最新の器機をもってしても今なお解明できない痛みや機能障害があり,患者さんを前に頭を抱えることがあります。
21世紀に入り,超音波診断装置(エコー)により運動器の治療は新たな局面を迎えつつあります。これまでエコーは主に消化器や循環器の診断,治療に使われ,運動器の分野では乳幼児の股関節脱臼の診断に使われるくらいでした。しかしこの10 年で,画像処理や焦点深度の調整などにより,皮下組織,筋肉,神経,靱帯や腱などの軟部組織だけでなく,骨や軟骨等の硬組織に対しても高解像度の画像が得られるようになりました。エコーはMRIより解像度が高く,何層にも重なるfasciaのどこに問題があるかを視覚で捉え,その部位を正確にリリース(hydrorelease)することができます。この手技により靱帯再建や神経剥離術を適応する症例が激減しています。またfascia そのものの概念も変わりつつあり,筋膜だけではなく神経や腱,靱帯などを覆う膜も含まれ,日進月歩に定義が変わっています。本書の中では,そういった最新の情報を紹介し,技術の一端を披露していただきました。
当たり前のこととお叱りを受けるかもしれませんが,運動器の治療において最も重要なことは患者さんを直接に診ることではないでしょうか。よく話を聞き,身体に触れて,身体機能を評価し,病態を考察することです。これからの医療を担う若人のために,菊地臣一先生をはじめとして,各界の第一人者の先生にその極意を述べていただきました。長年の診療で培った技術だけでなく,随所に医療哲学が詰まっています。そこを学び,感じ取っていただきたいと思います。
外科医は技術の習熟と経験により,手術の際に健常部を可能な限り障らず,必要最小限の侵襲で目的を果たすことができるようになります。これが低侵襲手術です。これをさらに推し進めて,できるだけメスを使わず,的確な診断と最小限の侵襲での処置,そして運動療法で機能を回復させる。これが我々の目指す「無刀流の整形外科」です。
2017年4月
柏口 新二
国立病院機構徳島病院 整形外科/東京明日佳病院 整形外科
目次
第1章 メスのいらない運動器治療のために
次代を担う運動器治療家へのメッセージ 多元的な痛みへの取り組み
運動器疾患の診断 五感を動員:何を聞き,何を見るか
運動器疾患の治療 ボディ・メカニクスの異常を知る
fasciaの構造と痛みについて 置き去りにされた人体最大の未開領域
第2章 痛みへの対応 部位・症状別解説
二足歩行の宿命? 腰痛について
fasciaの概念からみた腰背部痛
筋膜性・仙腸関節性・椎間関節性・椎間板性・神経性の病態分類と治療法の融合を目指して
股関節周囲・骨盤の痛みとその対応
投球障害肩への対応
中高齢者の肩痛への対応
肘のスポーツ外傷・障害への対応① 肘離断性骨軟骨炎の実態と対応
肘のスポーツ外傷・障害への対応② 投球による内側側副靱帯損傷の実態と病態...
半月板損傷への対応
下腿と足部の痛みへの対応
第3章 身体機能への対応
スポーツ現場の声 スポーツ現場が医療関係者に求めるもの
体幹・骨盤帯の機能改善 評価とアプローチ
胸郭-骨盤帯(骨盤輪・股関節)の機能改善 評価とアプローチ
肩傷害の機能改善 評価とアプローチ
肘傷害の機能改善 評価とアプローチ
下肢機能の改善 評価とアプローチ
COLUMN
「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の違いとは?
「有痛性筋拘縮」「有痛性筋硬結」とは?
アスリートの肘関節脱臼の治療は無刀流ではなくメスを選択する?
肉離れとは違う「筋膜内解離」という病態とは?
半月板損傷を放置した場合,どのような経過をたどるのでしょうか?
スロートレーニングは"楽々トレーニング"なのですか?
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書籍情報
- ISBN:9784784946204
- ページ数:320頁
- 書籍発行日:2017年5月
- 電子版発売日:2018年5月25日
- 判:AB判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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