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商品情報
内容
緩和ケア専門病院に務める著者が、約20年の間に1500人以上の患者を看取ってきた経験から得たことから、患者さん・家族をより良い死へと導くための技を伝授。
患者の死に関わる、すべての医療従事者必読。
序文
はじめに
医療の現場には、たくさんの死があります。その死の手前には、たくさんのつらいこと、諦めなければいけないこと、苦渋の決断を迫られる場面などがあり、患者さん・家族にとって看取りの前後というのは、つらい思いをすることが多い場面です。
つらい思いをしている人と向き合うのは、医療者にとってもつらいことです。できれば避けて通りたいと、つい思ってしまいます。でも医療の現場にいれば、つらい思いをしている人は必ずいて、誰も向き合わなければその人は孤独になってしまいます。その人が死んでいく運命だったら、孤独と困惑と絶望の中で死んでいくことになってしまいかねません。
死んでいく人や家族と向き合うのが特につらいのは、どんなときでしょう。目の前の人のつらさが強ければ強いほど、こちらもつらくなります。そのつらさに対応できなければ、目の前の人も自分も楽にはなりません。逆に対応する力量があれば、目の前の人も自分も、楽になることができます。
つらい人に対してどうすればいいのかを知ってそれをできること、相手が不安にならないような態度で接することができること、そしてその向き合い方の質を高めていくことが、より良い看取りをするためには必要です。これらを身に付けるには、経験が大きく物を言います。正しい知識に裏打ちされた経験は、重ねれば重ねるほど力を増していきます。
大学病院などでは、患者さんは医学生や看護学生への教育の一部になることを、覚悟しなければなりません。医学教育には患者さんの協力が不可欠です。しかし看取りというのは、今の日本では隠された出来事として進行していき、通常の治療のように現場で研修を積むのが難しいという問題があります。これは日本の死の捉え方の歴史からいっても、日本人の心情を考えても、無理のないことです。極めてプライベートな、そっとしておいてほしい出来事を、学習意欲が旺盛な大勢の目にさらすと思えば、ぞっとする人の方が多いでしょう。つまり看取りは、現場で経験し学習することが難しい分野なのです。
看取りに関する本は、最近特に数多く出ています。そのような本の中には、役立つ知識や技術、心掛けなどがたくさん書かれており、とても役に立ちます。この本もそういう本の一つですが、他の本とは違った視点で見た病態の捉え方や、病状の情報を患者さん・家族と共有して、同じ方向を向いて進むことができるコミュニケーションの手法を盛り込んだ点が新しいと思います。
これまで20年ほど緩和ケアの仕事をして、たくさんの患者さんと出会って、看取ってきました。直接看取った人だけでも、1500人は超えています。その人たちの「つらさ」と向き合い、最善の治療を模索したり、この人のつらさはどういう理由で生じているんだろうと考えたりする作業は、臨床医なら誰でもしていることでしょう。しかし1500人という人数は、なかなか経験できない数ではないかと思います。その経験から得られたことを、独り占めしたのではもったいない。そのような理由から、この本をまとめることにしました。
臨床ではなかなか経験を積むことが難しい看取りについて、皆様の経験を補うのに少しでも役立つことができれば、これに勝る喜びはありません。
2015年6月
平方 眞
目次
はじめに
第1章 なぜ今、看取りの技術が必要なのか
1.多死社会がやって来る
2.「理不尽な死」を減らすために
コラム アドバンス・ケア・プランニングとは?
3.看取りに関わる医療者の7つの心得
(1)死から逃げない
(2)コミュニケーション能力を養う
(3)強力なお膳立てをさりげなく
(4)予後予測の方法を知っておく
コラム 予測不能な人間の不思議な「力」
(5)最初の面談こそ丁寧に
(6)良い説明は事前準備から
(7)患者の「最後の希望」を叶える配慮を
コラム 面談票の書き方の工夫
第2章 がん患者の看取りは「老衰」を目指そう
1.理想的な死に方「老衰」を考える
2.老衰と異なる経過で死に至る4つのパターン
(1)肝不全が出現する場合
(2)呼吸困難が出現する場合
(3)出血を来す場合
(4)頭蓋内病変を伴う場合
コラム 急変時の家族への対応は
3.看取りの手順~私の工夫~
第3章 こんなとき、私はこう対応している~納得できる説明の工夫~
1.「悪い知らせ」の伝え方
コラム がんの病名告知には細心の配慮を
(1)疼痛
(2)全身倦怠感
(3)呼吸困難
(4)食欲不振
(5)悪心・嘔吐
(6)腹水
(7)消化管閉塞
(8)せん妄
(9)肝性脳症による意識障害
コラム インフォームドコンセントの落とし穴
3.患者・家族の悩みや質問にどう答える?
● 患者の不安を和らげ望みに応える
● 家族の不安や悲嘆に対応する
巻末付録~病状と今後の見通しを説明する~
「面談票」の記載例
おわりに
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書籍情報
- ISBN:9784822200091
- ページ数:192頁
- 書籍発行日:2015年7月
- 電子版発売日:2015年10月23日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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