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- 見逃してはいけない血算
商品情報
内容
日常診療に用いられる臨床検査のうち、最も頻度高い項目が「血算」です。
本書では、血算結果と症状、病歴、他の検査所見を組み合わせ、総合的に診断する考え方をまとめました。見落とされやすい疾患や、治療が遅れてヒヤリとした実症例を示し、鑑別診断をする上で注目すべき血算の勘所を解説。臨床に直結した鑑別診断のポイントが詰まった一冊です。
序文
はじめに
皆さんは、「血算の読み方が重要なのは血液疾患だけ」、あるいは「血算のデータってそんなに重要?」と思っていませんか? 血算を見ても、「白血球増加=感染症」、「ヘモグロビン低値=貧血」、「血小板減少=出血傾向」という解釈だけで済ませてはいませんか?
いきなりですが、ここでクイズを1つ。
無症状で数カ月、白血球増加が続く74歳男性。
血算: WBC 1万4500/μL
(骨髄球0.5、分葉核球80.0、好酸球0.5、
好塩基球3.5、リンパ球12.0、単球3.5%)、
Hb 13.6 g/dL、PLT 31万1000/μL
最も考えられる疾患は何だと思いますか?
もし、ピンと来る疾患がなければ、あなたはこの患者さんの重大な疾患を見逃してしまうかもしれません(答えは本書94 ページのケース14をお読みください)。
血算(complete blood count:CBC)は「臨床検査のバイタルサイン」です。日常臨床で最も頻用されている臨床検査ですが、実に重要で豊富な情報を含んでいます。診断をする上で欠かせないデータの一つです。
私は長年にわたり、聖路加国際病院で入院・外来診療に加え、レジデント教育を担ってきました。その中で、何度となく血算の値を診断に役立てられていない症例を目の当たりにし、一般臨床医もレジデントも意外なほど診断に特異的な血算の情報を読み取れていないことに気が付きました。
血算の情報を的確に拾い上げ、病歴や身体所見、その他の検査所見を含めて総合的に鑑別診断を行う習慣を身に付けられれば、臨床現場での診断力は格段に向上するでしょう。少しでも多くの一般臨床医やレジデントの方々に鑑別診断の重要なカギとなる血算の値を知ってもらい、臨床所見と血算から診断へと反射的に結びつけられるスキルを身に付けていただきたい─。そう考え、ウェブサイト日経メディカル Onlineの連載「見逃してはいけない血算」を始めました。本書は、2014年11月から2016年9月までに掲載した本連載に加筆修正を行ったものであり、『誰も教えてくれなかった 血算の読み方・考え方』(医学書院、2011年)の姉妹本でもあります。
本書は基礎編と応用編からなります。基礎編では、「見逃しやすい血算の具体例」を示し、当院で日常的に実施している回診や教育カンファレンスさながらに研修医との対話を再現しながら鑑別診断の流れを紹介します。
その中で血算や症状、病歴から鑑別疾患を挙げて、患者さんの「その後の経過」を説明しています。最後に「もし見逃していたら」を推測し、「鑑別診断のポイント」をまとめます。取り上げるのは貧血、赤血球増加、血小板減少、血小板増加、白血球増加、好酸球増加、汎血球増加、白血球減少、汎血球減少です。基礎編でまずは血算の値の読み解き方を身に付けていただきたいと思います。
応用編では、毎回3症例を取り上げ、研修医と対話しながら鑑別疾患を挙げて「緊急性」、「重症度」、「見逃しやすさ」を判断していく構成にしています。その後に、各症例の「最終診断と経過」をまとめ、最後に緊急性、重症度、見逃しやすさの「判断のポイント」を解説しています。
ここでは貧血、血小板減少、白血球増加、汎血球減少をお示しします。ぜひ、紙上に登場する研修医やその研修医を指導する立場になったつもりで、読み進めてみてください。末尾には血算の読み解き方のポイントをまとめたポケットサイズのカードを付けています。ぜひ、手元に置いて血算の値を読み解くツールとしてお役立てください。
本書には、血液疾患に限らず、多岐にわたる疾患の患者さんが登場します。それは血液内科のみならず、当院の14専門内科(血液、感染症、腫瘍、循環器、消化器、呼吸器、内分泌・代謝、アレルギー・膠原病、腎臓、神経、一般、心療、緩和、免疫・細胞治療)、外科領域など多くの診療科の先生方のお力添えあってのことです。本書の執筆に当たり、症例をご呈示くださった各科の先生方に感謝いたします。
また、本書の核は研修医や経験の浅い若手医師との対話です。これらは歴代レジデントの先生方との数限りない対話を凝縮して作成しています。つまり、本書は過去・現在のレジデントの先生方との合作とも言えます。この合作を臨床現場で是非役立てていただきたいと思います。
最後に、Web 版「日経メディカル」の連載以来ずっとお世話になりました日経BP社の加納亜子様に感謝申し上げます。
2016年 夏
聖路加国際病院 血液内科・人間ドック科 岡田 定
目次
はじめに
血算の基準値
Color Atlas
【基礎編】
① 小球性貧血
ケース1 その患者、本当に鉄欠乏性貧血?
ケース2 貧血があれば鉄剤処方でいい?
② 大球性貧血
ケース3 高度な大球性貧血で鑑別すべき疾患とは?
ケース4 胃切除の既往がある貧血患者、どう診断する?
③ 網赤血球増加
ケース5 倦怠感と黄疸を訴える患者、どう対処する?
④ 平均赤血球容積の変化
ケース6 進行する貧血には、当然輸血が必要?
コラム これって消化管出血!?
⑤ 赤血球増加
ケース7 Ht が55%以上の重篤な赤血球増加を見掛けたら
⑥相対的赤血球増加
ケース8 赤血球増加で高血圧の高齢者にどう対処する?
コラム おもちゃのブーメラン
⑦ 血小板減少
ケース9 健診で血小板減少を指摘された30歳男性
ケース10 全身状態は良好、血小板減少と黄疸の原因は?
⑧ 血小板増加
ケース11 高血圧患者の血小板増加、鑑別のポイントは?
ケース12 健診で高度の血小板増加と白血球増加が発覚
コラム 初めての学会発表
⑨白血球増加
ケース13 見逃しがちな慢性的な白血球増加
ケース14 慢性の白血球増加、いつ専門医に紹介する?
ケース15 白血球、赤血球、血小板、全ての値が異常だったら...
ケース16 自覚症状のない白血球増加と異常リンパ球
コラム 忘れられない一言
⑩ 好酸球増加
ケース17 どう鑑別する? 異常所見は好酸球増加のみ
ケース18 下腿浮腫と好酸球増加の若い女性といえば?
⑪ 汎血球増加
ケース19 白血球、赤血球、血小板が全て高値。どうする?
ケース20 白血球、血小板が増加した脾摘後の63歳男性
コラム どういう医者になりたいのか
⑫ 白血球減少
ケース21 白血球減少、水様便と38℃の発熱が1週間継続
ケース22 倦怠感と白血球減少、貧血で疑うべき疾患とは?
⑬ 汎血球減少
ケース23 微熱と食欲不振のある汎血球減少の72歳女性
ケース24 1週間続く発熱と肝脾腫のある24歳女性
コラム 自分自身の主治医になる
【応用編】
⑭ 貧血
ケース25 貧血の緊急性はどう判断すればいい?
ケース26 覚えておくべき貧血の重症度の見極め方
ケース27 あなたが見逃しているかもしれない「貧血」とは?
⑮ 血小板減少
ケース28 血小板減少の患者の緊急度、どう見定める?
ケース29 血小板減少で見落とされがちな疾患とは?
コラム 人の縁
⑯ 白血球増加
ケース30 白血球増加で最も重症度の高い疾患といえば?
ケース31 慢性の白血球増加で見逃してはいけない疾患とは?
⑰ 汎血球減少
ケース32 すぐに治療介入すべき汎血球減少とは?
ケース33 汎血球減少が特徴の見逃しやすい疾患とは?
コラム 大往生
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書籍情報
- ISBN:9784822200954
- ページ数:244頁
- 書籍発行日:2016年9月
- 電子版発売日:2016年10月21日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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