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- CIRCULATION Up-to-Date Books 13 The ヨーロッパ医学留学
商品情報
内容
本書は、多くの医師が留学する米国ではなく、ヨーロッパへの医学留学という新たな境地を切り開いた11人の若手医師たちによる体験談です。
「留学前にこれが知りたかった!」といった自らの経験に基づき、留学先の決定や奨学金獲得など留学までの道のり、現地での手続き、医師資格取得の方法などの情報を惜しげもなく披露。留学者からみた各国の現状や苦労話もリアルに語られています。
CIRCULATION Up-to-Date Booksシリーズ
序文
なぜ、いまヨーロッパ留学か?
キャリアプランの一つとして、一度は留学を考えたことのある方は多いと思います。ただ、実際に留学を実行に移すとなると、さまざまな不安が頭をもたげてくるもの。一歩踏み出すことに、躊躇してしまう気持ちは、多くの方に共通するものだと思います。
文部科学省の発表によれば、留学生全体でみると、日本から海外への留学者数は2004 年をピークに35%近くも減少し、若者の「内向き志向」や「留学離れ」は顕著です。その一方で着実に増えているのが、ヨーロッパへの医学留学です。以前は、医学での留学先といえば、研究留学も臨床留学も米国に集中していましたが、最近は留学先がヨーロッパにシフトしつつあります。
なぜ、いま欧州留学に関心が集まっているのでしょうか?
一つには、欧州のほうが米国と比較して、最先端の手技・医療機器が、実臨床で使用されるタイミングが早いという点があります。例えば、私が専門としている循環器内科領域では、これまで狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患に対して行われていたカテーテル治療が大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症などの構造的心疾患(Structural Heart Disease)にも応用され、Structural Heart Disease intervention として大いに注目を集めています。Structural Heart Disease intervention において、医療機器が開発されるのは米国のベンチャー企業であることが多いものの、実臨床で使用されるのはヨーロッパのほうが数年単位で早い傾向にあります。導入されたばかりの最新技術に関しては、当然ながら所属スタッフが手技を習得してから、次に留学生、という優先順位になります。早期に実臨床に導入されていれば、留学生という立場であっても、実際に最新の手技を経験できる可能性が高まります。
また、臨床に参加するという点で、米国への留学生は原則としてUSMLE(米国医師資格試験)に合格しなければなりません。一方、欧州では、国によって制度が異なるものの、米国ほど厳しい条件を課せられていない国もあります。そのため「最新の手技やデバイスを学びたいと臨床留学をしたつもりが、見学だけで終わってしまった」というようなミスマッチを防ぐことができます。日本では、医学部2023年問題もあり、USMLE を受験できなくなる医師も増えてくる可能性があります。そのようなリスクを考えても、今後、ヨーロッパへの臨床留学は、有力な選択肢となると考えられます。
さらに、臨床研究について学ぶためにヨーロッパに留学する医師も増えています。日本ではなかなか実現困難な大規模臨床試験の中核施設は、米国はもちろんですが、ヨーロッパにも多数存在しています。米国と比べればヨーロッパでは日本からはもちろん他国から来る留学生数も少ないということで、留学生が論文を発表するチャンスは相対的に高いと言えます。なお、英語以外を母国語とする国に留学したとしても、研究や論文発表自体は英語で行われることが多いので、研究活動においては、英語が話せれば問題ない場合が多いようです。もちろん、ヨーロッパ留学にはデメリットもあります。何より、情報が非常に限られています。米国留学に関しては、研究留学も臨床留学も、書籍やブログなどで多くの情報を得られますが、ヨーロッパ留学は、まず留学に必要な情報を得ること自体に大きなハードルがあります。さらに情報の少なさと相まって、近年のテロや難民問題などのニュースを目にして、治安面においてヨーロッパ留学に不安をもつ方も少なくないと思います。
本書では、ドイツ・イギリス・フランス・イタリア・オランダ・スイス・ベルギーの7 カ国に留学した医師たちの経験を共有することで、ヨーロッパ留学の魅力と素顔を皆さまにお伝えし、「なぜ、いまヨーロッパ留学か?」の答えに迫りたいと思っています。また、留学への不安を解消する一助として、第8 章では多くの留学生が一度は申請する奨学金取得のノウハウについて詳しく説明しています。
自分のキャリアに留学が必要なのか悩んでいる方には、各執筆者が考える留学の位置づけが参考になるかと思います。写真がふんだんに使用された体験談は、留学のイメージを膨らませるのに役立つのではないでしょうか。本書では、これから留学を計画されている方にとって必要な情報を仕事・生活の両面で網羅するように心がけました。執筆をお願いした先生方は現在留学中、もしくは最近まで留学していた先生方ばかりですので、制度面でも現時点での最新情報を記載していますし、留学生活に向けて具体的にどのような準備が必要かといった内容もとても参考になると思います。執筆者の先生方には、「留学前にこれが知りたかった!」と思ったことを書いていただくようにお願いしましたので、「痒いところに手が届く」内容になっていると思います。
そして、何より、本書の特徴は各執筆者の医学にかける熱い想いはもちろん、留学生活での日々の葛藤や、留学者から見た各国の現状が、執筆者の口調をそのままに残し、リアルに語られていることです。留学に興味のない方にも、各国の医療制度や文化の違い、医師の労働環境の違い、苦労話などを臨場感たっぷりに楽しんでいただけると思います。
本書の刊行にあたっては、たくさんの方々にたいへんお世話になりました。全員のお名前を挙げることはできませんが、なかでも、本書に推薦の辞をくださった福田恵一教授、門川俊明教授には、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
2016年6月
Heart Center Brandenburg
金子英弘
目次
・推薦の言葉
・なぜ、いまヨーロッパ留学か?
【第1章 ドイツ】
◆Heart Center Brandenburg
【第2章 イギリス】
◆Imperial College London
【第3章 フランス】
◆Universite de Paris
【第4章 イタリア】
◆Ospedale Civile di Mirano
【第5章 オランダ】
◆Academic Medical Center, University of Amsterdam(AMC)
◆ThoraxCenter, Erasmus Medical Center(EMC)/Cardialysis
[COLUMN]
◆Leiden University Medical Center
【第6章 スイス】
◆Bern University Hospital
[COLUMN]
◆Bern University Hospital
【第7章 ベルギー】
◆University of Liege
[COLUMN]
◆University of Liege
【第8章 奨学金の申請と取得について】
【第9章 ヨーロッパ医学留学ホンネ座談会】
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書籍情報
- ISBN:9784840458146
- ページ数:236頁
- 書籍発行日:2016年7月
- 電子版発売日:2016年10月21日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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