消化器外科術後アセスメント ドレーンは語る

  • ページ数 : 168頁
  • 書籍発行日 : 2016年11月
  • 電子版発売日 : 2017年10月20日
2,970
(税込)
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商品情報

内容

ここから読み取れる情報は宝の山!ドレーンに語らせる&語りを聞き取る

ドレーンの役割から管理、合併症などの応用まで。時には笑いも織り交ぜながら、分かりやすいイラストやカラー写真を用いて現場ならではの目線で説明されています。

序文

はじめに

人間誰でも、うまくいったことは大きな声で自慢しますが、都合の悪いことは小声で話すか、場合によってはごまかしてしまおう、そう考えるものです。

われわれが日々暮らす医療の世界も例外ではありません。新しい薬、術式、他人とは異なる手技。これらに、われわれ医者や看護師さんは心躍らせます。確かに、それはそれでとても大切なことかもしれませんが、残念ながら「失敗談」や「トラブル撃退体験」などは、ほとんど発表・出版されません。

手術の業界でいえば、術後合併症がまさにこれにあたります。外科医はこの話題にあまり触れたがりません。誰でも経験するものです。まったく合併症を経験したことのない外科医など存在しません。しかし、それらを赤裸々に語ることはめったにありません。「あの先生は技術が足りないんじゃないか?」とか「よくあんな恥ずかしいこと発表するよね」とかいった心ない誹謗中傷に晒されることを恐れてか、単純に恥ずかしいだけなのかはわかりませんが。おそらく、これまで「ドレーン」や「瘻孔管理」などについて詳しく記した書物が少ない理由はそこにあると思います。

だって結局、術後合併症がなければ「ドレーン」なんて必要ないからです。縫合不全を経験し、おなかを痛がり、高熱にうなされる患者さんをみて、初めて外科医は本当にドレーンの大切さを認識します。この話題に触れることは、そういうつらい体験や恥を少なからず表現することに直結します。

いっぽう、自分の話はしたがらないクセに、他人の合併症には興味津津です。外科医は基本的に少し根性が悪いのでしょう。他の先生が執刀した手術症例の経過が悪かったり、再手術になったりすると、皆おおいに盛り上がるものです。「ああいう手技がいかんのかねー?」とか「俺だったら、あんなふうにならないけどね」といった根拠のない自信家の発言も含め、とにかく他人の手術の失敗談があれば、ご飯3 杯くらい食べられちゃいます。......話がそれました。

とにかく、私は外科医になってからこれまで、「わかりやすい」と思ったドレーンの本を読んだことがありませんでした。ですから若い時(今も?) わからないことだらけでしたが、先輩医師や年配の(?)看護師さん、レントゲン技師さん、放射線科の先生など、さまざまな方々に教えを乞いました。

本書に書いた内容は、これまで勤務した五つの病院でそのようにして経験・勉強したことを自分なりに解釈したものです。はっきり言います。多少は間違っている可能性も否定はできません。しかし、わかりやすいという点では自信があります。本書はあらゆる点で未熟かつ未完成かもしれませんが、読んでくれた皆さんが新しい「ドレーン道」「瘻孔学」を開拓してくださることで、これまであまり日の当たらなかったこの業界が大きく進歩し、患者さんの回復が一日でも早くなることを、心より願っています。


夏目誠治

目次

◆総論

【第1章 ドレーンの役割】

(1)おなかの中の情報を探る

(2)ドレーンからの情報は信用できる?

(3)信用できないこともあるのに、ドレーンは必要?

(4)じゃあ、何を信用すればいいのか?

(5)究極の選択

(6)もう一つのドレーンの役割 治療目的

(7)縫合不全の治りかた

(8)まとめ

【第2章 排液の性状】

(1)「大丈夫なとき」に使う表現

(2)やばい色 赤編

(3)やばい色 赤以外編

(4)色以外の問題

(5)まとめ

【第3章 ドレーン管理の実際】

(1)誰の仕事? ではなく、誰のための仕事?

(2)ドレーン刺入部の観察

(3)ドレーンの固定

(4)排液の観察

(5)チューブの管理

(6)患者さんの病態を考えること

(7)まとめ

【第4章 ドレーンの異常を発見したら】

(1)ドレーンが抜けている

(2)ドレーンが抜けかけている

(3)出血

(4)ドレーン排液の異常(出血以外)

(5)ドレーンからの排液が減った、止まった

(6)まとめ

【第5章 ドレーンを分類してみよう】

(1)役割による分類

(2)挿入時期による分類

(3)開放式ドレーンと閉鎖式ドレーン

(4)おまけ──閉鎖式ドレーンの接続先

【第6章 真の消化器外科ナースであれば、瘻孔を極めよう】

(1)瘻孔って?

(2)瘻孔のできかた

(3)瘻孔ができることは良いこと? 悪いこと?

(4)瘻孔はどれくらいでできるの?

(5)まとめ──に代えて消化器外科医の独り言

【第7章 ドレーン交換とは】

(1)ドレーン交換が必要な理由

(2)ドレーン交換の時期

(3)ドレーン交換の手技

(4)メジャーリーク? それともマイナーリーク?

(5)マイナーリークの治りかた

(6)まとめ

【第8章 ドレーン交換における看護師さんの仕事】

(1)ドレーン交換前夜 患者さんへの説明

(2)ドレーン交換当日

(3)まとめ

【第9章 ドレーン抜去】

(1)そもそも「術後経過良好」とは

(2)熱があるときは?

(3)排液量は?

(4)術後何日目?早く抜く?

(5)抜きかた

(6)まとめ

◆各論

【第10章 消化管吻合部のドレーン】

(1)胃切除術

(2)直腸前方切除術

(3)まとめ

【第11章 膵液漏の恐怖】

(1)膵液漏の診断

(2)膵液漏のドレーン管理

(3)出血の恐怖

(4)膵液漏を発生する可能性がある術式

(5)まとめ

【第12章 膵頭十二指腸切除のドレーン管理】

(1)PDが適応となる疾患

(2)術式、再建、ドレーン

(3)代表的な合併症 その1 膵液漏

(4)代表的な合併症 その2 胆汁漏

(5)まとめ

【第13章 肝切除のドレーン管理】

(1)出血か胆汁

(2)再開腹? それとも様子をみる?

(3)まとめ

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書籍情報

  • ISBN:9784840461153
  • ページ数:168頁
  • 書籍発行日:2016年11月
  • 電子版発売日:2017年10月20日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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