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- 女性医師の意欲とキャリアとリーダーシップ
商品情報
内容
女性医師が、結婚してもしなくても、子どもがいてもいなくても、留学してもしなくても、開業してもしなくても、自分自身の選択をし、「やる気ドレナージ」されずに活躍するためには、知っておくべきことがある。女性医師、そしてよき友としての男性医師が、ジェンダー・ステレオタイプという「思い込み」を乗り越え、医師全員のネクスト・ジェネレーションをつくるために贈る一冊。
序文
はじめに
医師向けの本がない。
仕事好きの女性に関する本は多いが、それでも「リーダーシップ」というテーマについては、検索しても少ない。さらに、医師向けとなると皆無である。
自分が医師という仕事を続けていくうえで、考え方や姿勢、態度の基軸となる理論的構築がなされないまま、17 年が過ぎ去ろうとしていた。
本書の題名、「女性医師の意欲とキャリアとリーダーシップ」
今まで語られてこなかったのか?
17 年間、私は悩んだ。そして迷走し続けてきた。ロールモデルが身近にいなかった。手の届かない遠くに、星のように輝いて見える「なりたい像」があるのかもしれない。それを追い求めて、もがき、答えが欲しくて、あちらこちらへ彷徨い、今もまだ旅の途中である。
最も私に影響を与えたのは、2014 年から研究員として留学したハワイ大学医学部での、Office of Medical Education のフェローシップであった。「医学教育学」の恩師、Dr. Richard Kasuya が開発した医師のためのリーダーシップ教育が、私の価値観を劇的に変えた。リーダーシップについて学びを深めていくことで、知的欲求が満たされていく快感を得た。さらに、Women Leadership という分野があることを知った。私が欲しかった答えが、そこにあると確信した。
医療とジェンダー・バイアスに関する研究は少ないものの、ある程度のエビデンスが存在することが分かった。「この知識は共有すべきだ」と思ってはいたが、ネガティブ心理全開で、私は迷っていた。それは、「発言することそのものが、女性のキャリアにとってリスクになる」ことが証明されていると知ってしまったからである。
なるほど、だから今までこの手の本がなかったわけだ。
2018 年、東京医科大学をはじめとする複数の医学部入試における、女子受験生と浪人生に対する減点が大きな社会問題となった。しかし、当の医師社会からは何の声も上がらなかった。2019 年4 月、東京大学入学式の上野千鶴子氏のスピーチが、私の迷いを払拭した。医学分野ではなく社会学分野から、疑問を投げかけ続ける人はいるのだ。
医学分野にいるのに足がすくんで動けない自分を恥じ、勇気を持とうと思った。
私は、医師という「生き物」をよく知っている。医師は、感情論には懐疑的だが、患者の診療において、感情を重視する。彼らは医学研究によるエビデンスを重んじ、個々の患者に合わせて活用する。そこで、社会学、経営学、心理学、教育学からのエビデンスを拝借しつつ、数少ない「医師を対象にした」研究からのエビデンスも吟味して、執筆しようと決意した。
協力者が必要だ。
私は、自身が大学院生として所属する、岐阜大学医学教育開発研究センターの大学院生で、総合内科医師の浅川麻里先生に協力を依頼し、コラムをいくつか執筆してもらった。当時、浅川先生は出産を目前に控えていた。そして私は、「もしかしたら、困難な仕事をお願いする絶妙なタイミングかもしれない」と直感で思った。育児期間こそ専門職としてのアイデンティティーの維持が必要であることを、経験からも理論的にも知っていたからだ。情熱と知識量からも、「浅川先生しかいない」と確信していた。
夫の麻酔科医師、赤嶺智教からの絶え間ないエールに、毎日背中を1 ミリずつ押され、出版まで前進し続けることができた。学生時代からいつも、彼は私の最高の応援団長である。
私の個人的な思いも、書き上げるうえで欠かせない原動力になった。
私には夢がある。
すべての女性医師・医学生が、公平に評価・採用され、臨床・研究経験を積み、活躍することができる世の中になりますように。
女性であること、結婚、育児が、「足かせ」と捉えられなくなる世の中になりますように。
「足かせ」が消滅して、自由に翼を広げて飛んでいける世の中になりますように。
私たちの翼を折る人なんて、一人もいない世の中になりますように。
2020年2月
赤嶺陽子
目次
序章 キャリアを継続する選択をする「意欲」:「意欲」は大事な「翼」
なぜ今「女性医師とリーダーシップ」なのか? 私だって活躍したい!
ジェンダー・ステレオタイプとは? 「男は男らしく、女は女らしく」すべき、という考え方
ジェンダー・ステレオタイプのせいで、女性医師が「意欲」を失う これは重大な問題だ!
「翼」を折ってはいけない、折られてはいけない
第1章 ジェンダー研究で何がわかっているのか? 自分自身を乗り越えるために、知っておいて損はない!
女性は男性より自信が持てない
自信を持てない女性たち:インポスター現象って何?
完璧主義はいいことか?
失敗を怖がる女性たち:私たちが恐れるもの、それは「失敗」である
ステレオタイプ・スレット:ネガティブなジェンダー・ステレオタイプに引っ張られる女性たち
女性は交渉が下手:Nice Girls Don't Ask
「できる女」へのペナルティー?:Penalty for Success
「偏見と気づかれもしない偏見」と医療:Implicit Bias
パイプラインは、まだ漏れている:Pipeline is still leaking
女性全体の声は届いていない:Women are underrepresented
女の敵は女?:Queen Bee Phenomenon 「女王バチ現象」とは?
女性同士で戦ってはいけない、戦わせてはいけない
姿勢が自信を作る:たった2分で自信をつける方法
女性医師の間の深い溝(ギャップ)とは
第2章 「結婚・パートナー・子育て」で自分自身を乗り越える
「私がやらなきゃ」は本当なのか?
「子ども」と結婚したのではない、「大人の男性」と結婚したのだ:A Real Partner
結婚の維持は難しい:Marriage is Hard
「母親による育児」のエビデンスは?
「父親による育児」のエビデンスは?
辞めることを選んだのか、辞めざるを得なかったのか?:Opt out? or Shut out?
パートナー選びを間違えないで
マリッジ・カウンセリング:5つの愛の言語
女性医師の婚活:大海を見よ!
女性医師の妊活:今のままであなたは十分素晴らしい
男性はなぜ育児休暇をとらないのか
M字カーブは女性医師のせいではない
女性は搾取されている?
第3章 翼の赴くままに:Be Yourself
自分自身の選択を:Make Your Choice. Live Your Life
パートナーは、ありのままのあなたが好き(なはず)
本当の自分:強みと弱みの本当の意味
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書籍情報
- ISBN:9784840472265
- ページ数:0頁
- 書籍発行日:2020年3月
- 電子版発売日:2020年3月18日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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