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- 救急医療の感染対策がわかる本―すべての業務をまるごとコーディネート!
商品情報
内容
◆場所・経路・耐性菌・感染症・患者背景から医療従事者まで、ありとあらゆる角度から感染対策にアクセスできる、救急医療の現場のための一冊。
序文
はじめに
救急外来の医師や看護師は、食事を食べるのが早いことで知られています。ゆっくり食事をとっていては、食事の途中で救急車や急患が来院してしまい、食事をあきらめなければならないからです。そのため、「飲み込むようにして食事をする」「よく噛まずに食物を飲み込む」などという不健康な食生活を強いられているのが現状です。最も、食事をとる時間がまったくなかったとか、忙し過ぎて食事をすること自体を忘れていた、というのもよくあることです。
このような状況は、重症患者を救命するためにやむを得ないことかもしれません。重症でなくても、外傷や疾患で苦しんでいる患者に迅速に対応することが使命だからです。救命処置を最優先するために、食事すら満足にとれないような状況ですから、感染対策も十分にできないことがあります。
確かに、結核菌を吸い込んだとしても、結核を発症するのは数ヶ月から数年後になります。インフルエンザウイルスを吸い込んだとしても、発症するのは数日後です。B型肝炎ウイルスが付着した針で指を刺したとしても、肝炎を発症するのは数ヶ月後です。
このように病原体に曝露したとしても、その結末をみるのは「しばらく後」なので、どうしても救急現場での感染対策の優先度は低くなってしまうかもしれません。しかし、「患者を救命したが、自分は結核を発症してしまった」「重症交通事故後の厳しい状態から立ち戻った患者が、多剤耐性菌による感染症を繰り返すことになった」などという状況は、是非とも回避したいのです。そのためには、救急医療のどのような場面で病原体が伝播する危険性があり、それを防ぐためにはどのような感染対策を実行するべきなのかについて、明確に示した本が必要であると思いました。
本書では患者が病院に着いてから、集中治療室に移動するまでを含めた広い範囲の感染対策について解説しました。それに加えて、救急車、ドクターカー、ドクターヘリのように、外傷もしくは疾患発症の場から病院に搬送する過程における感染対策についても記述しました。また、救急外来で頻繁に遭遇する感染症における抗菌薬についても提案させていただきました。すなわち、「救急医療の業務全般に対する感染対策トータルコーディネート」のための書籍と考えていただければと思います。本書が読者の皆様の座右の書となることを希望いたします。
最後に、このような企画を提示していただいた(株)ヴァン メディカルの山路唯巴氏に心から感謝の意を表します。また、浜松医療センターにおいて、感染対策を担当している衛生管理室(感染対策室)のスタッフに深謝の意を表します。
2019年9月吉日
浜松医療センター 矢野 邦夫
目次
第1章 環境整備・個人防護具
①救急受付口・救急待合室
②救急外来診察室・救急救命室
③放射線診療(検査)室
④集中治療室
第2章 医療器材・機器の取り扱い
①医療器材と感染対策
②医療機器と感染対策
第3章 救急医療における感染症と感染経路
①空気予防策が必要な感染症
②飛沫予防策が必要な感染症
③接触予防策が必要な感染症
第4章 隔離を要する感染症と感染対策
①結核
②麻疹・水痘・風疹・ムンプス
③インフルエンザ
④輸入感染症
第5章 救急医療に関わりのある耐性菌
①メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
②多剤耐性アシネトバクター
③基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌
④多剤耐性緑膿菌
⑤βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌
⑥多剤耐性結核菌、超多剤耐性結核
⑦カルバペネム耐性腸内細菌科細菌、カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌
第6章 患者背景別の感染症とその感染対策
①小児患者
②新生児患者
③妊婦患者
④発熱患者
⑤熱傷患者
⑥高齢者患者(在宅介護患者)
⑦介護施設入居患者
⑧交通事故患者
⑨渡航者患者
⑩外国人患者
⑪海外で治療を受けた患者
第7章 救急外来における抗菌薬の適正使用
①急性鼻副鼻腔炎
②急性気管支炎
③急性咽頭炎
④肺炎
⑤尿路感染症および関連疾患
⑥皮膚・軟部組織感染症
⑦発熱性好中球減少症
第8章 医療従事者のための感染対策
①血液・体液曝露の防止と曝露後対策
②医療従事者のワクチン接種
第9章 救急隊員・フライトスタッフ、搬送時の感染対策
①救急車、ドクターカー、ドクターヘリにおける病原体の伝播
②救急車、ドクターカー、ドクターヘリにおける感染対策
付録 抗菌薬の一般名・略号・主な商品名
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書籍情報
- ISBN:9784860921378
- ページ数:172頁
- 書籍発行日:2019年10月
- 電子版発売日:2019年12月16日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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