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- 拡散MRI
商品情報
内容
拡散に関する教科書や文献では、記号や数式に戸惑い、難しいと感じて敬遠する人が多くいます。そこで、著者が高校の数学や物理の教科書を見ながら勉強して、高校の教科書で見慣れているところまでで拡散の原理は理解できる、または思い出せるということを前提にわかりやすく丁寧に解説したのがこの一冊です。
※内容の一部に、電子版では非掲載の画像がございます。予めご了承ください。
序文
序
磁気共鳴(MR)画像の信号強度を左右する内的因子としては,水素原子核密度(プロトン密度,t),縦緩和時間(T1),横緩和時間(T2)が主なもので,これに血管内などにおいては流速が関与していました.これらに,生体内の水分子の拡散分布という新たな因子を加えたのが拡散MRI です.従来のT1 強調画像,T2 強調画像などに加えて拡散強調画像,DWIBS, 拡散テンソル画像などの拡散MRI がルーチンの検査に組み込まれるようになっています(1 章).さらにQSI(9 章)は生体のミクロ構造に迫っています.このような画像を理解し,さらに発展させるためには,拡散の原理および拡散MRI の成り立ちと特徴を理解することが必須です.
そこで,拡散に関する物理化学の教科書や文献にあたると,∇,∋,div, gradなどの記号に面食らってしまいます.「うーん,ここまでか」とスタックして諦めてしまうわけです.4 輪駆動でもない,チェーンは忘れた,スパイクタイヤでもスタッドレスでもない状態では雪の坂道には挑めません.
高校の数学の教科書を見てみました.微分(導関数),積分,級数,三角関数,順列, 組合せ,確率,二項分布,正規分布までは載っており,MRI に携わる人は少なくともこれらを修得しているはず,あるいは思い出していただけるはずだということがわかりました.そこで,高校の数学までしか修得したことのない著者が,おこがましくも高校までの数学だけを頼りに,拡散の原理および拡散MRI の成り立ちと特徴を解説,というより一緒に勉強していくことにしました.雪の坂道を何とか迂回して,目的地に到達しようというわけです.とはいえ,一人では心細いので,ところどころで携帯電話やE メールで助言を頂き, あるいは直接車を押していただきました.
第4 章の『制限拡散』では山梨大学人間教育学部の武藤秀夫教授に数学に関する助言と指導を,第9 章の『QSI』の画像は首都大学東京保健学部の八木一夫教授に,第7 章の電子顕微鏡写真は山梨大学医学部人体病理学の加藤良平教授にご提供いただきました.第1 章の『拡散MRI の臨床画像』では,山梨大学医学部放射線医学教室の放射線科医,堀 正明氏,石亀慶一氏,曺 博信氏ならびに本杉宇太郎氏,第7 章のシミュレーションに伴う実験では同付属病院主任診療放射線技師の熊谷 博氏のご協力をいただきました.また,秀潤社の須摩社長には快く出版の了承を頂き,原田顕子氏には迅速丁寧明解に編集していただきました.改めて御礼申し上げます.
灯台躑躅(ドウダンツツジ)が可憐な白い花をつけ,藤の穂が膨らみ始めた朝に
荒木 力
目次
1. 拡散MRIの臨床画像
2. 拡散と熱伝導
2-1 「拡散」と聞いて思い浮かべるのは?
2-2 熱伝導
2-3 フーリエの法則
2-4 フーリエの法則から熱伝導方程式へ
2-5 フーリエの法則と熱伝導方程式の解釈
3. 拡散I
3-1 ブラウン運動
3-2 自己拡散
3-3 フィックの法則
3-4 拡散方程式
3-5 フィックの法則から拡散方程式へ
3-6 拡散と正規分布
3-7 3次元で考える
4. 拡散II
4-1 ストークス-アインシュタインの式
4-2 制限拡散
4-3 拡散係数の信頼性と測定時間依存性
5. 位相と信号強度
5-1 周波数と位相
5-2 傾斜磁場
5-3 傾斜磁場による位相変化
5-4 移動核の位相
5-5 位相分散と信号強度
5-6 拡散による位相分散
6. 拡散強調画像の信号強度
6-1 拡散系と静止系の信号強度比
6-2 DWIの信号強度
6-3 拡散係数の算出
7. 拡散強調画像の特徴
7-1 b値依存性
7-2 DWIの組織パラメータはDとT2
7-3 信号強度と粘度
7-4 組織における制限拡散
8. 異方性拡散
8-1 スカラーとベクトル
8-2 テンソル
8-3 拡散テンソル
9. まとめと追加
9-1 DWIで高信号になる組織
9-2 DWIBS
9-3 FAの異常
9-4 biexponential change
9-5 QSI(q-space imaging)
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書籍情報
- ISBN:9784059111252
- ページ数:240頁
- 書籍発行日:2006年8月
- 電子版発売日:2014年11月21日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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