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- 小児の睡眠呼吸障害マニュアル
商品情報
内容
成長障害・知能指数低下・夜尿・注意欠陥・多動・攻撃性・学業成績不良・胸郭変形等、多くの健康問題となる睡眠障害。この領域が専門でない医師、研修医だけでなく、看護師、睡眠検査技師、保健師、さらには保護者にぜひお読みいただきたい書籍です。
序文
序
ヒトは、人生の3 分の1 を眠って過ごす。とりわけ、発育途上の小児では睡眠時間は10~16 時間と長く、「寝る子は育つ」と昔からいわれてきた。とくに乳幼児では「脳を創る」、「脳を育てる」というきわめて重要な機能が睡眠にはあり、成長ホルモン、メラトニン、コルチゾールをはじめとする多様なホルモン分泌もなされている。さらに、睡眠により記憶や技能は向上し、明日により良い活動ができ、高度な生理機能が保たれる。
良質な睡眠のためには、呼吸・循環が安定していることが必要条件であるが、近年注目されている閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome ; OSAS)では、睡眠中の呼吸努力により覚醒反応が生じ、睡眠の分断化が起こるために、結果として睡眠障害が引き起こされる。小児の睡眠呼吸障害では、成長ホルモン分泌異常による成長障害のみならず、知能指数低下、夜尿、注意欠陥、多動、攻撃性、学業成績不良、胸郭変形(漏斗胸)など多くの健康問題を生じることがわかってきた。
そこで、平成21 年度より23 年度までの3 年間にわたり、文部科学省科学研究費B の支援を受けた「小児睡眠呼吸障害診断のための班研究」を、耳鼻咽喉科、小児科、泌尿器科、神経内科、睡眠検査パラメディカルなどからなる学際的なメンバーで行ってきた。班研究の中で、最新の小児睡眠呼吸障害に関する研究についてまとめる機会があり、その成果の一部を社会に広く伝えたいと考え本書を、東京慈恵会医科大学の千葉伸太郎先生、藤田保健衛生大学の中田誠一先生に全面的にご協力いただき企画した。
本書を編集させていただく上で2 つの目標を設定した。1 つは、小児睡眠呼吸障害全般にわたり最新かつ、「すぐに役立つ」情報の提供、もう一つは読者をこの領域が専門でない医師、研修医のみならず、看護師、睡眠検査技師、保健師、保護者と広くしたことである。これら2 つの目標を叶えるべく、目次を見ていただければお分かりのように、各章には関連した読みやすい日常臨床での経験をコラムとして多く挿入した。
執筆者は、依頼したテーマに関して研究発表あるいは執筆を積極的にしておられる若手の先生方を選ぶことを心がけたが、小児睡眠呼吸障害診療に豊富な経験を有する先生方にもお願いした。新進気鋭の世代からベテランまで、まさに「アップツーデート」な内容の興味深い原稿を寄せていただくことができた。
小児睡眠呼吸障害に関する研究は日進月歩であり、本書は現時点では決して完成品ではないと考えている。読者の皆さんから是非ともご意見、ご感想を頂ければ幸いである。
最後に、全日本病院出版会 加藤百恵氏、末定広光氏に厚く感謝を申し上げる。
2012 年3 月
編著者を代表して
滋賀医科大学睡眠学講座教授 宮崎総一郎
目次
Ⅰ はじめに
1 小児と睡眠
2 睡眠呼吸関連の略語・用語解説
Ⅱ 小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群のoverview
Ⅲ 小児の睡眠呼吸障害の病態
Ⅳ 小児の睡眠呼吸障害の疫学
1 頻度
2 学校保健会全国調査
Ⅴ 小児の睡眠呼吸障害の診断
1 診断基準
2 いろいろな簡易診断法
3 診断機器:新しい簡易モニター
4 質問紙
5 問診
6 鼻咽頭の診察
7 画像評価
8 小児の睡眠ポリグラフィー
Ⅵ 乳幼児のマネージメント―ハイリスクSAS小児の手術―
Ⅶ 小児の睡眠呼吸障害の影響
1 認知機能・発達の問題
2 身体発育,顎顔面発育
3 循環器系,夜尿,胸部変形
Ⅷ 先天性疾患と睡眠呼吸障害有本友季子129
Ⅸ 中枢性無呼吸
Ⅹ 鼻と睡眠呼吸障害
1 鼻と睡眠呼吸障害
2 鼻と通気性
XI 肥満と睡眠呼吸障害
XII 姿勢と睡眠呼吸障害
XIII 小児の睡眠呼吸障害の治療
1 アデノイド・口蓋扁桃摘出術
2 扁桃手術―手術支援機器
3 麻酔と周術期管理
4 鼻手術
5 シーパップ(CPAP)
6 顎顔面奇形
7 Rapid maxillary expansion(上顎急速拡大)による小児睡眠呼吸障害への新たな治療
8 困難手術例
9 点鼻治療
XIV 小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群における今後の課題
コラム
Column: 1 子どもの睡眠不足症候群
Column: 2 子どものいびき相談
Column: 3 漏斗胸は睡眠時無呼吸症候群が原因?
Column: 4 中学生の夜尿症と睡眠時無呼吸
Column: 5 睡眠時無呼吸症候群は遺伝するか?
Column: 6 夜驚症について
Column: 7 肺性心の例(私の忘れられない小児SAS の出発点)
Column: 8 鼻茸による重症の睡眠時無呼吸症例
Column: 9 眠れない母親と空気清浄機
Column:10 局麻の口蓋扁桃摘出術
Column:11 忘れられない子どもの例
Column:12 手術直後にヒヤリとした一例
Column:13 いびきがないとものたりない?
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書籍情報
- ISBN:9784881170649
- ページ数:247頁
- 書籍発行日:2012年4月
- 電子版発売日:2013年1月1日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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