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- 救急・集中治療(28巻5・6号)肝不全―その常識は正しいか?―
商品情報
内容
肝不全に対する薬物治療も様々な新規薬剤が使われるようになっており、病態に基づいた新規治療法を理解しておくことは日常診療上も重要である。
本特集は、急性肝不全および慢性肝不全について、救急・集中治療の現場においても必要な知識の整理ができるよう第一線の先生が解説しています。
序文
肝臓は人体における最大の臓器であるとともに,最大の血液貯蔵庫でもある.肝臓の役割は多岐にわたっており,肝不全は救急患者においても生命予後を規定する重要な因子であることは言を俟たない.「肝腎」,「肝心」という言葉にあるように様々な臓器と臓器関連を有することも知られている.肝臓は再生能力の高い臓器として知られているが,再生可能な閾値を超えいったん「機能不全」状態に陥ると肝臓のみならず多くの臓器に影響が及び容易に多臓器不全となり死に至る.正常肝に対して急激な障害が加わり肝臓の機能が極端に低下する急性肝不全が救急・集中医療の現場では中心となると思われるが,慢性肝疾患を基礎にもつ患者に一定の障害が加わることによるacute-on chronic も臨床上非常に重要である.例えば,慢性肝不全の代表的疾患である肝硬変を基礎疾患にもつ患者が外傷で出血した場合,凝固機能の低下による止血困難や有効肝血流量の低下に基づく「shock-liver」で急激に肝不全へと移行することは臨床上しばしば経験する.
肝不全における病態の理解および治療法も時代とともに大きく変化している.以前は常識とされていた治療法が有効性が証明されないばかりか,むしろ生命予後の点から有害であることが明らかになったものもある.肝硬変については,昨年に「日本消化器病学会 肝硬変診療ガイドライン」が5 年ぶりに改訂されている.例えば,有腹水患者に対する塩分制限は,初版では厳密な塩分制限が推奨度A とされていたが,改訂版では「食欲を損なわない程度の緩やかな塩分制限とし,難治例では推奨されない」エビデンスレベルC,となっているなど時代の変化に合わせて大きく変更されている.肝不全に対する薬物治療もこの5 年間の間に様々な新規薬剤が使われるようになっており,病態に基づいた新規治療法を理解しておくことは日常診療上も重要であると思われる.
本特集では,急性肝不全および慢性肝不全について,救急・集中医療の現場においても必要な知識の整理ができるよう第一線の先生方に解説して頂いた.読者の診療における一助になれば幸いである.
特集編集 吉治 仁志奈良県立医科大学 第三講座(消化器,内分泌代謝内科)
目次
Ⅰ 急性肝不全─その常識は正しいか?─
・急性肝不全の肝性昏睡や劇症化予知は可能である
・HBVによる急性肝不全に対して拡散アナログは有用である
・急性肝不全に対する抗凝固療法は有用である
・急性肝不全に対する血液浄化療法は有用である(その有用性と限界)
・急性肝不全における抗菌薬予防的投与は推奨される
・急性肝不全においてステロイドは予後を改善する
・急性肝不全の厳格な輸液管理は予後を改善する
・急性肝不全に対する肝再生促進療法は有用でない(GI療法,PG製剤など)
・急性肝不全に対する分岐鎖アミノ酸投与は禁忌である
Ⅱ 慢性肝不全─その常識は正しいか?─
・慢性肝不全の予後予測にChild-Pugh分類や肝障害度が有用である
・ウイルス性慢性肝不全に対する抗ウイルス治療は有用である
・慢性肝不全に対する栄養療法は予後を改善する
・慢性肝不全に対する運動療法は有用である
・肝性浮腫・腹水に対する塩分制限は有用である
・肝性浮腫・腹水治療において利尿薬の継続投与は有用である
・肝性浮腫・腹水に対するアルブミン投与は有用である(保険診療の現状も含めて
・肝性浮腫・腹水に対するIVR治療は予後を改善する
・サルコペニアは肝不全患者の予後を規定する
・糖代謝異常の改善は肝不全患者の予後を改善するのか?
・非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)による肝不全は合併症が多い
・肝癌合併は肝硬変患者の予後を規定する
Ⅲ 急性・慢性肝不全─その常識は正しいか?─
・肝再生医療は肝不全の予後を改善しうるか?
・肝不全の予後は腎機能により規定される
・肝不全に対する肝移植はいつから検討するか?
・ウイルス性肝不全患者の予後は,他の原因によるものより不良である
・肝性脳症に対する抗菌薬投与は有用である
・合成二糖類の投与は肝不全患者の予後を改善する
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書籍情報
- ISBN:9784883785421
- ページ数:160頁
- 書籍発行日:2016年5月
- 電子版発売日:2016年6月17日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
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