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- プライム脳神経外科 1 脳動脈瘤
商品情報
内容
シリーズ第1巻「脳動脈瘤」は、外科治療と血管内治療による脳動脈瘤攻略の戦略、方法、そして筆者が特に後輩に伝授したいテクニックまで、脳動脈瘤の治療のすべてをコンパクトながらぎっしりと収めています!
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序文
第1巻の序
脳神経外科医の治療技術の向上に貢献するため"これまでにない斬新な手術書を"という方針に基づいて始動した『プライム脳神経外科』シリーズの第1巻として「脳動脈瘤」をここに上梓いたします.本書の表紙には,フクロウが大きく描かれています.フクロウは森の守り神とされ,知性や賢者の象徴とされています.本シリーズの脳神経外科手術書としての方向性を表わしているとご理解いただければ幸いです.
さて,脳神経外科は顕微鏡の導入によりマイクロサージェリーとして飛躍的な発展を遂げ,現在に至っております.疾患の性状とその部位に応じた最適なアプローチが開発され,その的確な選択,さらには頭蓋底外科技術や神経内視鏡を用いた神経損傷予防の手術技術の導入により,安全で確実な外科治療が確立されてきました.一方,この間,脳血管障害の治療は,血管内治療の導入により,大きな変革がもたらされました.脳動脈瘤や脳動静脈奇形の塞栓術,頚部あるいは脳主幹動脈狭窄症に対するステント留置術による血行再建術に加えて急性期血栓回収療法など,低侵襲性と簡便性の観点から広く普及するようになり,そして,その治療成績も,治療機器の革新と技術の進歩により急速に向上しております.この血管内治療の役割が最も顕著に拡大した疾患が本書で取り上げた脳動脈瘤であり,年々その重要性が増しております.しかし,根治性の観点からすると,血管内治療の適応の幅が広がり,治療成績が向上したとはいえ,部位や形状から外科治療がより有利なものも決して少なくありません.また,穿通枝の分岐,ネックの形状,血栓化あるいは,血管内治療後の再発など,外科治療でなければ根治できない症例にもたびたび遭遇します.脳動脈瘤の外科治療は,今もって日常臨床において,極めて重要な役割を果たしています.また,血管内治療の増加は,外科治療数の減少と対象症例の難易度の上昇につながります.今後も,これまで以上に,本邦の高い外科治療技術を維持しつつ,さらに発展させていかなければなりません.そのためには,これからの脳血管障害の医療を考えるうえで,先端技術革新により進化し続ける血管内治療の習得はもとより,外科治療の教育と伝承が極めて重要な課題となっております.
この現状に鑑み,外科治療と血管内治療の双方の視点から,現在実際に治療を担当されているエキスパートを執筆陣にお招きし,本邦における最高レベルの脳動脈瘤治療の実際を紹介したいと考え,本書を企画いたしました.外科治療においては,まず適切なアプローチの選択が重要で,安全に到達したうえで,動脈瘤周囲の操作となります.同じアプローチでも,術者によって工夫も異なります.そこで,できるだけ多くの手術方法を学べるよう,複数の手術手技を載せております.また,血管内治療については,カテーテルから最新のフローダイバーターに至る治療機器の特性からその使用法,さらにはトラブル回避の工夫についてもわかりやすく記載していただきました.すなわち,外科治療と血管内治療による脳動脈瘤攻略の戦略,方法,そして著者が特に後輩に伝授したいテクニックまで,脳動脈瘤の治療のすべてをコンパクトながらぎっしりと収めています.外科治療と血管内治療のどちらにおいても,これからの臨床に大いに参考になるものと思っております.また,脳動脈瘤治療に必要な最新の知識を余すところなく網羅していますので,通読しなくとも必要に応じてページを開けば,すぐ欲しい情報に到達できます.手術のバイブルとして大いに役立つものと考えています.
ここに本書を上梓するにあたり,ご執筆いただきました著者の先生方に篤く御礼申し上げます.ときには編集者からの無理難題にも真摯に向き合ってくださり,的確な答えを導き出してくださいました.この場を借りて深く御礼申し上げます.また,編集者自身も本書の編集をとおして大変勉強になりました.お陰様で,第1巻を飾るにふさわしい内容とすることができ,シリーズとして上々のスタートが切れたと確信しております.
最後になりましたが,何より本書を手に取ってくださった読者の皆様に,心よりの感謝を申し上げます.本書は皆様のためのものです.ぜひ本書を手もとに置いていただき,日々の臨床にお役立ていただけましたならば,編集者としてこれ以上の喜びはありません.
2017年 早春
木内 博之
目次
第Ⅰ章 脳動脈瘤の病態と診断
1 未破裂と破裂脳動脈瘤の本邦における疫学
2 脳動脈瘤の発生と破裂の分子生物学的メカニズム
3 脳動脈瘤の発生と破裂の血行力学的メカニズム:CFD解析
4 脳動脈瘤の治療指針
第Ⅱ章 クリッピング術におけるモニタリングと基本手技
1 術中神経モニタリング:MEP,VEP,SEPなど(麻酔法を含む基本手技と注意点)
2 術中蛍光脳血管撮影
3 内視鏡:クリッピングにおける内視鏡の有用性
4 クリップの選択と基本手技
第Ⅲ章 血管内治療
1 周術期抗血栓療法
2 各種器具の特性と使用法
3 各種コイルの特性
4 各種アシストテクニック
5 フローダイバーター
6 母血管試験閉塞と母血管閉塞術
7 トラブルシューティング
第Ⅳ章 脳動脈瘤クリッピングのアプローチ
1 前床突起の削除:傍前床突起部動脈瘤のクリッピングを目的とする前床突起の削除
2 Transsylvian approach(Pterional approach)
3 Supraorbital approach
4 Bifrontalおよびunifrontal interhemispheric approach
5 Anterior temporal approach
6 Subtemporal approach
7 Lateral suboccipital approach
第Ⅴ章 脳動脈瘤クリッピング
1 内頚動脈傍前床突起部動脈瘤
2 内頚動脈瘤(後交通動脈瘤・前脈絡叢動脈瘤)
3 中大脳動脈瘤
4 前交通動脈瘤:Interhemispheric approachによるクリッピング
5 前交通動脈瘤:Pterional approachによるクリッピング
6 遠位部前大脳動脈瘤
7 脳底動脈先端部動脈瘤のクリッピング術
8 脳底動脈先端部動脈瘤:Anterior temporal approach
9 脳底動脈先端部動脈瘤:Subtemporal approach
10 椎骨動脈後下小脳動脈分岐部動脈瘤
第Ⅵ章 脳動脈瘤コイル塞栓術
1 内頚動脈瘤(海綿静脈洞部・傍床突起部)
2 内頚動脈瘤(後交通動脈瘤・前脈絡叢動脈瘤)
3 中大脳動脈瘤
4 前交通動脈瘤・前大脳動脈瘤
5 脳底動脈先端部動脈瘤の血管内治療
6 脳底動脈本幹部・椎骨動脈の動脈瘤に対するコイル塞栓術
第Ⅶ章 難易度の高い動脈瘤の治療
1 巨大内頚動脈瘤のクリッピング:Suction decompression法の併用とクリップの選択
2 内頚動脈瘤の橈骨動脈グラフトを用いた治療
3 内頚動脈瘤の静脈グラフトを用いた治療
4 硬膜内大型・巨大内頚動脈瘤に対する血管内治療
5 STA─MCA anastomosisを用いた中大脳動脈瘤の治療
6 血栓化大型・巨大脳底動脈先端部瘤の外科治療:Flow alteration
7 大型・巨大脳底動脈瘤の血管内治療
8 ハイフローバイパスによる脳底動脈瘤の治療:V3─RA─PCA
9 OA─PICA anastomosisによる椎骨動脈瘤の治療
10 再発動脈瘤に対する外科治療
第Ⅷ章 特殊な動脈瘤
1 内頚動脈血豆状動脈瘤のラップクリップ
2 椎骨脳底動脈解離性動脈瘤の外科治療:腹臥位によるmid lateral suboccipital approach
3 椎骨脳底動脈解離性動脈瘤の血管内治療
4 部分血栓化巨大脳動脈瘤の外科治療
5 血栓化巨大脳動脈瘤の血管内治療
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書籍情報
- ISBN:9784895905879
- ページ数:352頁
- 書籍発行日:2017年3月
- 電子版発売日:2019年6月26日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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