臨床医のための疾病と自動車運転

  • ページ数 : 166頁
  • 書籍発行日 : 2018年3月
  • 電子版発売日 : 2018年11月30日
4,180
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商品情報

内容

現代臨床現場で必須の、疾病と自動車運転において押さえておくべき事項を網羅!

2014年6月1日、2017年3月12日施行の改正道路交通法により、医師が自動車運転に関する診断書を記載する機会が増加している。本書は臨床医に向けて、日常診療に必要なさまざまな疾患と自動車運転について、総論では疾患管理の重要性や診断書記載、また免許制度についてまとめ、各論では①疾病の基礎知識、②疾病のリスクと運転との関連性や運転の可否について、③患者さんへの対応を中心に必要事項に絞りわかりやすくまとめられている。多忙な臨床医必携の1冊 !

序文

近年,高齢者の引き起こす交通事故が社会的な注目を集めている.特に認知症については2017年に道路交通法が改正され,より効果的に認知症ドライバーの引き起こす交通事故を予防する方針となった.同様な例として,てんかんが挙げられる.2011年4月に栃木県鹿沼市で,2012年4月に京都府京都市で運転手が意識障害を伴う発作により多数の死傷者を伴う事故が発生したことを契機として,2013年に道路交通法が改正された.

しかし実際には,認知症やてんかんの他にも自動車運転に影響を及ぼす疾病は多く,また,一人の患者が複数の疾病を持っていることも珍しくない.その結果,多くの薬剤を内服しているのが現実である.疾病と運転について注目すると,脳卒中,糖尿病,緑内障など各種疾患ごとに運転との関係について医学雑誌の特集として組まれることはあるが,運転を中心に各種疾病との関係についてまとめられた書籍はこれまでなかったと思う.医師は,運転の可否について相談されることも多く,また運転に関する診断書を記載する立場でもある.それゆえ,多くの疾病を抱えている患者に対して,自動車運転に関する適切な指導を行うためには,疾病と運転に関する包括的な知識を備えていなければならない.

さて,公共交通機関が発達していない地域では,自動車を自分で運転できるかどうかが自立した生活の継続に大きく影響する.したがって,多くの実地医家は,自らの患者ができる限り自動車運転を継続することで,社会参加できることを願っている.しかし,その一方で自動車事故が生じた場合の悲惨な結末を考え,運転中止を勧めることに頭を悩ませているであろう.

本書は,実地医家が患者の自動車運転に関する指導や運転の可否判断を行う一助になることを目的としている.臨床現場で遭遇する様々な疾病に対し,自動車を運転する際,留意すべき点について「臨床医のための疾病と自動車運転」としてまとめることができた.執筆者の選定にあたっては,近年注目が集まっている分野であり,まだ多くの未解決な課題も残っている中,自動車運転を行う患者と真摯に向き合っている方々にお願いした.ご多忙の中,編者の意図を汲んでいただき,たいへんわかりやすく,ハイレベルでコンパクトにまとまった玉稿をいただいた.この場を借りて厚く御礼申し上げる.

今後さらなる高齢社会を迎える本邦において,医療者は,「疾病を抱える人々が安全に自動車運転を継続するためには」という視点を持つべきである.安全な交通社会の実現のためには,患者の生活背景までを考慮した実地医家の参加が不可欠である.本書が患者の自動車運転を考えるきっかけとなり,諸家が直面する問題を解決する一助となることを期待する.


2018年1月吉日

一杉 正仁
武原 格

目次

第Ⅰ章 総論

Ⅰ-1  疾患管理の重要性

Ⅰ-2  診断書記載について

Ⅰ-3  病気に係る運転免許制度について

第Ⅱ章 各論

Ⅱ-1  認知機能障害

Ⅱ-2  統合失調症・躁うつ病などの精神疾患

Ⅱ-3  てんかん

Ⅱ-4  脳血管疾患

Ⅱ-5  神経変性疾患

Ⅱ-6  高次脳機能障害

Ⅱ-7  切断・運動器障害

Ⅱ-8  変形性頚髄症

Ⅱ-9  心疾患

Ⅱ-10 糖尿病

Ⅱ-11 意識障害

Ⅱ-12 睡眠障害

Ⅱ-13 がん

Ⅱ-14 眼疾患(緑内障など)

Ⅱ-15 妊娠

Ⅱ-16 薬剤

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書籍情報

  • ISBN:9784895906180
  • ページ数:166頁
  • 書籍発行日:2018年3月
  • 電子版発売日:2018年11月30日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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