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- 東京都健康長寿医療センター方式 おいしく食べたい食べさせたい[動画付き]
商品情報
内容
本書は、東京都健康長寿医療センターで長年培ってきた誤嚥のリハビリテーション に関する経験と工夫をまとめたものです。病気や加齢により嚥下機能の低下した高齢者が、安心して口から食べられるポイントやコツが満載です。
栄養指導を行う看護師、介護スタッフ、誤嚥が心配な高齢者のご家族の方にお薦めです。
序文
監修者のことば
わが国は、65歳以上の人口が全人口の27%を超え、2060年には約40%に達するだろうという超高齢社会を迎えている。人口の高齢化とともに、要介護高齢者の数も徐々に増えてきている。高齢者が要介護の状態に陥る要因として認知機能や日常生活動作機能の低下が挙げられる。
一方で、最近の多くの研究で、適切な栄養摂取が認知機能や日常生活動作機能の維持に重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。高齢者の心身機能の維持には適切なエネルギー量の摂取とともに、たんぱく質、野菜を適切にバランスよく摂取することが重要ということである。
逆に、不適切な栄養摂取や偏った栄養摂取は低栄養をもたらし、低栄養は要介護をもたらすと言える。また、低栄養は疾病の難治化、回復遅延や予後不良をもたらす。したがって、高齢者における栄養管理は、高齢者の健康寿命を延伸する意味でも、疾病の治療のうえでも、きわめて重要な課題となる。
栄養管理には経静脈栄養法や経腸栄養法もあるが、食生活を楽しみ「生活の質(QOL:Quality of Life)」を高める、また免疫機能や、最近種々の健康維持に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた腸管細菌叢を健全に保つうえでも、経口摂取に勝るものはない。
経口的に食べ物を摂取するというプロセスは、じつはきわめて複雑なプロセスであり、しかもヒトでは咽頭部で気道と食べ物の通過経路がクロスし、絶えず誤嚥のおそれがあるという危険なプロセスでもある。当たり前のようにわれわれが日常的に行っている、食欲を感じ、食べ物を食べ物として認識し、それを口に入れ、歯で噛み砕き、飲み込むというプロセスは、脳の機能、歯の機能、口の機能、筋肉や神経の機能など、すべての機能が正常に働くことが必要となる。
一方で、それらの機能は、脳血管障害などの病気や加齢に伴う神経や筋肉の機能の低下などにより障害される。食べ物を飲み込む機能の低下は誤嚥をもたらし、誤嚥は誤嚥性肺炎を惹起し死につながり得るのみでなく、食べることへの恐怖や、低栄養をもたらす。低栄養は脳を含む種々のからだの機能の低下をもたらし、高齢者のQOLの低下をもたらす。
その意味で、誤嚥の治療は高齢者の医療上の重要な課題である。誤嚥の治療の中心はリハビリテーション・栄養・ケアの3つである。栄養状態がかなり悪いときは栄養状態の改善が最優先であり、認知症が高度となった場合はケアが重要となる。このように、個々の高齢者の状況で治療の中心となるものが変わる。そのなかで、リハビリテーションの役割は、患者の状態により自ずと変化する。
東京都健康長寿医療センターは45年間の歴史を持つ、高齢者医療の専門病院である。当センターリハビリテーション科と栄養科は、開院以来高齢者の誤嚥のリハビリテーションに取り組み多くの成果を上げてきた。リハビリテーション科と栄養科とが、ともに栄養サポートチームの一員として参画し、病棟ケアなどにおける患者のポジショニング(患者の状況を把握し、何が今重要なのかを決定すること)などの論議にも積極的に関わっている。
本書は、長い歴史のなかで培ってきた誤嚥のリハビリテーションに関する当センターでの経験と工夫をまとめたものである。多忙な生活のなか執筆に当たられた皆様、編集に多大な時間をさかれた金丸晶子医師、府川則子管理栄養士のご努力に敬意を表したい。
本書が、高齢者の誤嚥のリハビリテーションに携わる医療関係者の座右の書として活用され、多くの高齢者がより元気な生活を送られるようになることを願っている。
東京都健康長寿医療センター 理事長
井藤 英喜
目次
Chapter1 摂食・嚥下の基礎知識
摂食・嚥下とは
1 摂食・嚥下のしくみ
2 嚥下反射と誤嚥
摂食・嚥下障害と高齢者
3 摂食・嚥下が成立する条件と悪影響を与える要因
4 高齢者に嚥下障害が多い理由
Chapter2 誤嚥が心配な人の食事のケア
病棟での基本ケア
1 毎日のケア
2 経口摂取開始前の評価
経口摂取開始までのフロー
3 経口摂取開始までのアプローチ
4 冷水テスト・お試し食
【WEB動画:冷水テストの観察項目】
経口摂取開始時の注意点
5 食事介助の基本
6 食べるときの適切な姿勢
7 食事介助の進め方
【WEB動画:食事介助の実際/ゼリーを薄くスライスする方法】
嚥下障害がある患者へのケア
8 食形態の選び方
9 とろみ剤・ゲル化剤の種類と取り扱い
10 とろみ剤の使い方
【WEB動画:とろみの付け方】
症例
1 誤嚥性肺炎で入院し、施設退院へ向けて
経口摂取と代替栄養を用いて栄養状態の支援を行った例
2 誤嚥性肺炎で入院し、
自宅退院に向けて食事形態、食事環境の支援を行った例
Chapter3 低栄養にならないために家庭&施設で実践できる食事
低栄養とは
1 高齢者の「生活の質」を下げる低栄養
2 高齢者が低栄養になる背景
3 栄養状態のチェック方法
栄養を考えた食事
4 1日に必要なエネルギーと栄養素
5 栄養補助食品の活用
6 水分摂取量への配慮
7 1日の食事の組み合わせ例
嚥下調整食の料理
8 嚥下調整食のつくり方
9 家庭・施設で活用する調理器具
【WEB動画:ハンドミキサー/ハンドミキサーがかかりづらい料理例】
10 嚥下調整食のレシピ
【WEB動画:ミルクゼリーの作り方/鮭ゼリーの作り方】
巻末付録
1 家庭・施設向け 口から食べるためのフローチャート
2 飲み込みやすい食材・料理/飲み込みにくい食材・料理
COLUMNインデックス
●ヒトは誤嚥しやすい生き物
●1食に必要な咀嚼と嚥下の回数
●覚醒の基準
●食前に体操を行う?
●鼻が当たる部分をカットしたコップを使用する
●見た目で判断しない
●たんぱく質を無理なく追加する工夫
●患者に合った食品区分の選択
●水分補給にゼリー形態のものを用いる
●あんのレシピ
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書籍情報
- ISBN:9784899963776
- ページ数:120頁
- 書籍発行日:2018年7月
- 電子版発売日:2019年9月4日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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