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- CBRレジデント・スキルアップシリーズ2 臨床力ベーシック
商品情報
内容
臨床能力の向上は個々の疾患に対する診断・治療の技術を個々バラバラ学ぶことではない。その基本によこたわる体系・構造を理解し身に付ける必要がある。本書ではそれをOSと呼ぶ。
著者が研修医時代、アメリカ人メンターが教えてくれた診療のOSの全てを、簡潔に論理的・合理的にまとめた臨床研修のガイドブックです。
マニュアルを使う前や、臨床の場で迷った時に読むとヒントが見つかります。 ぜひ臨床のマニュアル本を読む前に本書をお読みいただき、充実した研修医生活をお過ごしください。
関連書
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※スキャンデータの為、一部画質が荒い箇所、裏面の画像が透けて見える部分がございます。何卒ご了承下さいませ。
序文
野球でもゴルフでも、油絵でも水彩画でも、日本料理でも中華料理でも、何かを習得しようとしたら基本が大事である。習いはじめの最初の数年が、その後の上達を決定づける力を持っているのは、世の常である。
臨床医学もこの例外ではない。医学部の臨床実習と初期研修期間に受けた教育内容や身につけた技量が、その後の医師としての人生を左右する。医学部卒業前後の4、5年間は、医者としての可塑性が高く、診療の基本を修めるのに最適な時期である。
では、具体的に「基本とは何か」と問われても、学生や研修医が適切に答えるのはなかなか難しい。学生や研修医はまだ医者としての経験が不十分であり、実践の医学を生身の眼で見ていないのだからそれも仕方ないことである。全体像を知らないのに、その土台が何かを答えるのは容易でない。
とはいえ、学生や研修医は実習や研修を受ける当事者であるのだから、「自分たちが学ぶべき内容は何か」という問いに対する答えを持っているべきである。押しつけられた内容をただこなすのではなく、今、受けている実習や研修がこれからどのような面で役立っていくのかがイメージできていれば、より効果的な時間を過ごせるはずである。本書は、そのようなイメージ化を手助けしたいと思い、医学部学生および初期研修医向けに書いたものである。
ところで診療の基本を知るうえで忘れてはならないことがある。それは、「基本とはとても地味」だということである。医学に限らずどの分野でもいえることだが、基本は表面からは見えづらく、ときにはその存在さえも気づかれない。医療の最先端部分に比べれば光が当たりにくいので、ついつい見失いがちになり、おろそかにされてしまうことがしばしばある。
今日、近代医療を語る上でハード面の進歩は見のがすことができない。CT、 MRI、内視鏡、腹腔鏡、カテーテル治療、人工心肺、人工呼吸器など挙げればきりがなく、これからはさらに遠隔手術や再生医療、ナノテクノロジーを駆使した診断治療技術などが次々に発展してくるだろう。それらの未来を一望すれば、20世紀の医療技術の進歩は、21世紀に展開する先端医療のほんの助走に過ぎなかったといわれるであろう。
最先端医療の後光は非常に眩しい。医療関係者に限らず、マスメディアや患者など、誰もがその光に目を奪われる。しかし、医療関係者になるべくして研修を積む身であれば、その光の影に存在する基本というものを知るべきである。そして、「基本とは何か」という問いに対する私なりの見解を記したのが本書である。私の頭のなかにある西洋医学を作動させる診療のOS(operating system) が、本書によって少しでも説明できたらと願っている。
2004年 4月
黒田 俊也
目次
第1章 「診療」とはどういうことか
日常診療は1対1の対患者関係の寄せ集めである/case 1 外来で完結する場合/case 2 長期に渡る場合
診療の基本単位(診療基本ユニット)を知る-各科共通の「診療基本ユニット」/臨床は限りなく奥深い
全身問診・全身診察を出発点とせよ/問診・診察は診療の基本/基本は全身問診・全身診察/case 3 レビュー・オブ・システムを省いた問診-基本を身につけるには2年かかる/こなし屋さんにはなるな!/case 4 選ばれたのはレビュー・オブ・システムを行う医師/case 5 一般外来と救急外来のアプローチの違い/case 6 どちらが懐が深いの
第2章 モデルでみる診療基本ユニット9ステップ
section 1
step 1 問診(S)-1.あらかじめ手に入る情報には問診の前に目をとおしておく/case 7 内服薬から医学的問題点を推定する-2.上手なclosed questionsの習得が問診の基本/case 8 話のまとまらない問診の例-3.身体システムを意識して問診をする/case 9 労作時胸痛を主訴に来院した患者/case 10 診察を省いたため見逃したむくみの症例/step 3 その時点でわかっている検査結果の確認(O)/step 4 問題点の拾いあげ/step 5 問題点のグループ化とproblem listの作成/step 6 各problemごとの評価(A)-problem No.1 胸痛/problem No.2 発熱/problem No.3 黒色便/problem No.4 貧血/step 7 計画(P)-problem No.1 胸痛/problem No.2 発熱/problem No.3 黒色便/problem No.4 貧血/step 8 診療記録の記載/step 9 計画実行とフォローアップ
section 2 診療態度
case 11 不十分な伝え方の例/case 12 患者から信頼される伝え方/case 13 共感能力欠如の例
section 3 日常診療のチェックリスト
検査オーダーについて/処方についてsection 3 日常診療のチェックリストcase 14 高カリウム血症を呈した症例
第1章 診療の10カ条
〈その1〉思考実験をしてみる--理屈だけの医療から脱する/〈その2〉情報を収集し客観性を高める/〈その3〉コントロール(対照)を想定する/〈その4〉原因療法か対症療法のどちらを行っているかを意識する/〈その5〉「除外」という考え方を身につける/〈その6〉一定の手順(頭の先から足の先へ)で問診・診察をする/〈その7〉常にSOAPにのっとって考えよ/〈その8〉鑑別診断の順番をあげるクセをつける/〈その9〉標準的フローチャートを思い描く/〈その10〉最も悪い場合を想定する
■付録
西洋医学の基本的見方は臓器還元主義である
客観性を支える3本の柱
■coffee break
アンプル中の薬剤量を知ろう/アメリカから来た指導医/気になる白衣のポケットの中身は?/患者のデータをいつも携帯している指導医/臨床版イメージトレーニング/標本を自分の眼で見ることの意味
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書籍情報
- ISBN:9784902470031
- ページ数:166頁
- 書籍発行日:2004年4月
- 電子版発売日:2012年11月10日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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