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- 考えるER -サムライ・プラクティス
商品情報
内容
アメリカで本格的に専門領域としてのERの臨床、研究、教育に従事し、帰国後日本で若手リーダーたちのソサイエティーEMアライアンスの中心メンバーである編者を中心に、今最も全国の研修医から注目されている地域医療振興協会東京ベイ・浦安市川医療センターのERのスタッフが総力を挙げて執筆した、必携の一冊!
序文
序文
日本の医療のアウトカムを平均寿命や妊産婦死亡率ではかるのならば,日本が世界に冠たる実績を出していることは明白です.しかしながら,救急医療,特にERの領域についてはまだまだ学ぶことがあります.特に教育や運営のシステムにおいては,米国に一日の長がある点はよく指摘されているとおりです.例えば,日本の人口の約2 倍である米国には2005 年に約22,000 人の現役救急専門医がおり,今も増加傾向にあります.日本では救急専門医は3,000 名超ですが,その中に実際に他の専門医として働いている医師,現役を退いている医師も含まれます.もし救急医が現状の倍に増えたとしても,救急外来に救急専門医が少なくとも1 名存在するようになる時代にはまだ大分遠い状況です.
日本では,ER で働く救急医は"パンダ"に喩えられます.パンダが"笹"という他の動物があまり食べることのないものを主食として生きる稀少な動物であるからです.また,日本の救急の現場は,今でも3K(きけん,きつい,きたない)の代表格です.しかしながら,他の国をみてみるとER で働く救急医の人気は高く,米国では「医学部で10 番以内でないとなれないのではないか」とも言われ,外国人がプログラムに入るのは年々厳しくなっています.
この差はどこにあるのでしょうか? 救急というと多くの医師が若い時のみ携わる領域という印象が今でも強い日本の事情が,その要因の一つかもしれません.では,なぜ「若い時のみ」なのでしょうか?
・勤務の内容が濃密であり厳しい
・長時間労働であり体力的に厳しい
・将来設計が難しい
・やりがいの喪失
など,いくつかの理由が考えられます.
その一方で,米国では白髪の救急医がER にて現役で働いている姿が多く見られます.彼らは,
・急性期のジェネラリストとしてのやりがい
・限定されたフレキシブルな拘束時間
・ 研究,教育,マネジメント,政策立案など救急医としてのさまざまな「プラスアルファ」の可能性
などがあるためか,50 代,60 代になっても救急医としてER で働くことを継続しています.このような状況は米国ならではの事情があって可能なことのようにも見えます.しかし,少しずつですが日本でもER で働く救急医は増えており,さらに救急医を目指す人を増やすためには,救急医であるわれわれが学生さんや若い医師たちに「楽しく,やりがいをもって働く姿」を見せ,「救急医っていいな!」と思ってもらう必要があるのではないでしょうか?
このような状況の中,私は「沖縄や福井など日本の一部にみられる素晴らしいERの教育が日本全国に拡がるにはどうしたらよいか?」,また「息の長い救急医になるための魅力ある職場作りをするにはどうしたらよいか?」と考え,渡米しメイヨークリニック,ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院にて働いてきました.米国ではすでに広く知られているように6 つのコンピテンシー(詳細はⅠ章 2.)が研修を通じて習得すべきものとして規定されています.なかでも,システムに基づいた診療(System based practice)や自己学習と改善(Practice based learning and improvement)は,日本ではまだまだ十分に浸透していない可能性があるのではと思います.それらを踏まえ,本書では副題にサムライ・プラクティスと付けました.このサムライ=SAMURAI は,System based/Academic/Updated/Reflectiveand Innovative を表します.知識,プロフェッショナリズム,コミュニケーション,患者ケアの重要性はもちろんのこと,より高みを目指したER の診療を通じて,魅力ある救急医・魅力ある職場を作り,ER が医学生・研修医に最も人気のある専門・職場の一つになればと願ってやみません.
なお,本書のⅣ章 3.ケース・スタディでは,医学書院発行・週刊医学界新聞に連載された「それで大丈夫? ER に潜む落とし穴」(計23 回)を元に加筆・改変をし,掲載させていただきました.本書の制作には,医学書院編集部の前野さん,CBR の三輪社長,編集部の長沢さんに構想・校正等にて多大なご貢献をいただきました.この場で御礼できればと思います.また,地域医療振興協会 東京ベイ・浦安市川医療センターの仲間たち,メイヨークリニック,ハーバードの仲間たち,私たちを支えてくれた多くの恩師・仲間・家族に感謝をし,この本を捧げさせていただければと思います.
Camargo CA Jr, et al:Assessment of emergency physician workforce needs in the United States, 2005. Acad Emerg Med 2008;15:1317-1320
2014年10月吉日
志賀 隆
目次
推薦のことば
序文
編著者略歴
執筆者一覧
Ⅰ.救急医個人として知っておきたいこと
1)ERでの心得・プロフェッショナリズム
2)6 competencies 〜ERにおける研修カリキュラム
3)医師のQOL・疲労時の対処法
Ⅱ.より良い部門運営のために
1)問題患者への対応
2)法律関係
3)M&Mカンファレンス
Ⅲ.より良い救急システムのために
1)トリアージ
2)コンサルテーション
3)Disposition
4)電子カルテの利用
5)帰宅指示書について
Ⅳ.救急臨床力を磨こう
1)ERでの診断推論
2)Clinical Prediction Rule
総 論 プレディクション・ルールを使おう!
各 論
その① 膝外傷・足外傷
その② 小児の頭部外傷
その③ 頭部外傷
その④ 一過性脳虚血発作
その⑤ 失神
その⑥ 髄膜炎
その⑦ 咽頭炎
その⑧ 頸椎損傷
その⑨ 胸痛,急性冠症候群
その⑩ 心房細動
その⑪ 市中肺炎
その⑫ 肺動脈血栓塞栓症
その⑬ 上部消化管出血
その⑭ 急性虫垂炎
その⑮ 小児の発熱
3)ケース・スタディ〜ERに潜む落とし穴〜
Case1 Wellens症候群
Case2 閉鎖孔ヘルニア
Case3 網膜剥離
Case4 甲状腺クリーゼ
Case5 咽後膿瘍
Case6 抗ヒスタミン薬中毒
Case7 肺塞栓症
Case8 橈骨遠位端骨折
Case9 小児の尿路感染症
Case10 転換性障害
Case11 WPW症候群
Case12 壊死性軟部組織感染症
Case13 QT延長症候群
Case14 消化管出血
Case15 溶血性尿毒症症候群(HUS)
Case16 肘内障
Case17 Wallenberg症候群
Case18 糖尿病性ケトアシドーシス
Case19 タコツボ心筋症
Case20 急性心原性肺水腫
Case21 COPD急性増悪
Case22 過換気症候群
Case23 アナフィラキシー
Case24 化膿性椎間板炎
Case25 腸結核
Case26 ギランバレー症候群
Case27 腹腔内膿瘍
Case28 脳底動脈閉塞症
Case29 特発性急性硬膜外血腫
Case30 男性の尿路感染症
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書籍情報
- ISBN:9784908083020
- ページ数:400頁
- 書籍発行日:2014年11月
- 電子版発売日:2015年3月13日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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