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- 必携!医師とメディカルスタッフのための大腸コールド・ポリペクトミーハンドブック[動画付き]
商品情報
内容
CP技術を体感できる症例動画13点付。
コールド・ポリペクトミー(CP)とは?
―それは“逆転の発想” から生まれた内視鏡治療法。
「CP は、従来であれば手技の稚拙と判断されていた「生切れ」法を内視鏡的摘除法に導入した画期的な方法である。手技の簡便性、摘除後の後出血の軽減、穿孔リスクの回避、治療後の生活制限縮小などのメリットが期待されている。抗血栓薬服用のハイリスク症例でも安全性高い手技であることが報告されている。」(本書序文より)
序文
なぜ今コールド・ポリペクトミーなのか
わが国の2017年の大腸癌死亡数予測値は,男性28,300人,女性24,700人,合計53,000人で,臓器別では男性の3位,女性の1位,合計の2位を占める死亡数の多い癌である.同年の大腸癌罹患数予測値は,男性85,500人,女性64,000人,合計149,500人で,臓器別では男性の4位,女性の2位であるが,合計では2015年から1位になった.
30年間で3.2倍増加しており,今や日本人男性の11人に1人,女性の14人に1人が大腸癌と診断される時代になったといえる.今後もわが国では大腸癌死亡数,罹患数ともに増加が予測されている.大腸癌対策はわが国の重要なヘルスケアの課題である.
米国のNational Polyp Study(NPS)の結果から,大きさにかかわらず大腸癌の前駆病変と考えられているすべての腺腫性ポリープを内視鏡的に摘除,すなわちクリーンコロンにすることで大腸癌罹患率・死亡率の減少が得られることが明らかになった.
最近,大腸ポリープの約90%を占める大きさ10mm未満のポリープ,そのなかでも特に5mm以下の微小ポリープの内視鏡治療法として高周波電流を用いない内視鏡的摘除法が注目され,全国的な普及をみせている.
高周波電流法を用いない摘除法であるため,「コールド・ポリペクトミー(cold polypectomy:CP)」と呼ばれている.これに対して従来からの高周波電流を用いる摘除法は,「ホット・ポリペクトミー(hot polypectomy:HP)」と呼ばれるようになった.大腸ポリープ,早期大腸癌の内視鏡治療のなかでスネア・ポリペクトミー,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR),最近では内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopicsubmucosaldissection:ESD)などのHPが長らく重要な位置を占めてきたのは周知のとおりである.今後も大きさ10mm以上のポリープや10mm未満でも担癌率の高い表面陥凹型病変においては,HPが内視鏡的摘除法の中心であることは変わりがないと思われるが,ポリープの約90%を占める10mm未満の小ポリープの摘除法として,CPがわが国でも注目されるようになってきた.
以前,研修医の頃,技術の未熟さで高周波電流の通電前にスネアでうっかりポリープを切断,いわゆる生切れを起こし,指導医に注意された経験を持つ内視鏡医は多いはずである.筆者もその1人である.内視鏡治療介助を担当する内視鏡技師においてもスネアリングでポリープを切断した経験を持つ諸君が多いと推察する.
CPは従来であれば,手技の稚拙と判断されていた「生切れ」法を内視鏡的摘除法に導入した画期的な方法である.生切りによる完全摘除を目的とする.いわば逆転の発想から得られた画期的な内視鏡治療法ということができよう.
CPは手技の簡便性,摘除後の後出血の軽減,穿孔リスクの回避,治療後の生活制限縮小などのメリットが期待されている.さらには抗血栓薬服用のハイリスク症例でも安全性の高い手技であることが報告されている.反面,CPは高周波凝固を用いないため組織的焼灼効果がなく,腫瘍成分の完全摘除がなされない限り遺残の問題が危惧される.高周波電流を通電して摘除するHPでは焼灼効果で摘除後の遺残再発を生じさせないことが期待されるが,CPではこの効果がないためHP以上に完全摘除が求められる.偶発症について,国内外からCPはHPよりも頻度が少ないことが報告されているが,実地医家による実臨床における偶発症の頻度は不明である.腺腫を代表とする上皮性の大腸ポリープに対するスネアを用いたCPでは,腸管穿孔の報告はこれまでのところ皆無であるが,本当に穿孔はないのか?
全国的規模の調査が待たれるところである.
さらにCPを施行するに際して,術前内視鏡診断の重要性が強調されている.CPは低異型度腺腫をその主な適応病変とすることは多くの報告で周知されており,高度異型腺腫,早期癌とくに粘膜下層浸潤癌は適応外,すなわちHPの適応である.正しく適応病変を診断するためには,通常の白色光において明らかな陥凹や発赤,緊満感等の所見の有無,色素内視鏡によるpit pattern診断でV型pitを認めないか,NBI診断でJNET(Japan NBI Expert Team)分類でType2Bや3を認めないか,など画像強調内視鏡(image‒enhanced endoscopy:IEE)を用いた精度の高い内視鏡診断能が求められる.
CPの治療手技にはこれまで述べたように高周波凝固による焼灼効果がないため,腫瘍の完全摘除,とりわけ一括摘除が求められる.このためには治療する内視鏡医,治療の介助を担当する技師の両者に若干の工夫・コツを要する.その手技をマスターすれば安心してCPを施行することが可能となる.
本書は,CPの意義,有用性,治療手技の実際,治療成績,CPに必要な術前診断・病理診断,課題と今後の展望について解説している.内視鏡検査・治療は医師(消化器内視鏡医)と技師(消化器内視鏡技師)のコラボレーションすなわちチーム医療の上に成り立つものである.したがって,執筆陣には新進気鋭の内視鏡医に,第一線で活躍している技師にも加わっていただいた.消化器内視鏡専門医,これから専門医を目指す若手医師が対象であることはもちろんであるが,消化器内視鏡技師,介助につく看護師,臨床検査技師,臨床工学技士などのメディカルスタッフも対象として編纂した.そのためできるだけ平易に解説することを心がけた.医師・技師必見の書と自負している.
本書が今後のCPの普及,ひいては大腸癌罹患率・死亡率減少への一助となれば望外の幸せである.
(文責:野崎良一)
目次
推薦の序
推薦の序
序文
コールド・ポリペクトミー動画の解説
第1章 大腸内視鏡治療におけるコールド・ポリペクトミーの位置づけ
1.米国の事情
2.日本での展開
第2章 コールド・ポリペクトミーの実際と適応
1.名称について
2.内視鏡治療の歴史
3.コールド・ポリペクトミーの適応
4.コールド・ポリペクトミーのメリットと注意すべき点
5.抗血栓薬服用者に対するコールド・ポリペクトミー
6.各社器具のラインアップ・性能など
第3章 治療統計の中での大腸コールド・ポリペクトミー
総論
①大腸肛門病センター高野病院
②京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
③服部胃腸科
第4章 診断と治療
1.ポリープの発見への工夫
2.大腸ポリープの診断
第5章 コールド・ポリペクトミーの実際
1.コールド・ポリペクトミーの基本手技
2.医師と内視鏡技師のコラボレーション
3.フォローアップ
第6章 患者管理
1.前処置
2.術後管理
1)大腸肛門病センター高野病院の実際
2)服部胃腸科での実際
第7章 今後の課題と展望
1.大腸がん検診事業とコールド・ポリペクトミー
2.CPの技術習得
3.病変の遺残の危惧
4.偶発症の問題
5.摘除検体の取り扱いと病理診断の問題:DISCARD policyは可能か
第8章 文献
1.腺腫の内視鏡的摘除による大腸癌罹患率・死亡率減少に関する報告
2.コールド・ポリペクトミーに関する報告
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書籍情報
- ISBN:9784908083334
- ページ数:124頁
- 書籍発行日:2018年5月
- 電子版発売日:2019年7月24日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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