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- 皮膚病診療Vol40, No.12(2018年12月号)
商品情報
内容
本誌は「臨床医のための月刊皮膚病総合雑誌」を標榜しており、以下の7つを特徴としております。
1.毎号特集形式―実地診療に役立つ 2.カラー印刷―わかりやすく伝える臨床情報 3.多彩な執筆陣―全国にまたがるネットワーク 4.アンケート特集―実地医家の生の声を 5.学会ハイライト―日皮会総会、支部総会の情報を 6.座談会―著名な臨床家、研究家によるディスカッション 7.増刊号―通常号に加えてさまざまな情報を
このほか、読者の方からの意見や投稿を掲載する「声」欄も充実しています。
序文
帯状疱疹ワクチン公費助成への道
帯状疱疹の患者数は平均寿命の延びとともに増加し,宮崎県皮膚科医会の疫学調査(宮崎スタディー)によれば,2017年は1997年に比べて年間の発症患者数が55%増加し,1,000人あたりの発症数(発症率)は6.07人で,1997年の3.61人に比べて68%増加したとのことである.2016年10月から小児の水痘ワクチンが定期接種となり,水痘患者と接触する機会が減少することから,さらに帯状疱疹に罹患する患者が増加することが懸念されている.一方で,2016年3月から水痘ワクチンが50歳以上の人に対する帯状疱疹の予防にも使用できるようになっているが,自費診療のため接種率は高くない.2006年から60歳以降にわが国と同じ水痘生ワクチンの接種が認められている米国でも,2014年の接種率は30%弱で,帯状疱疹の発症が減ったという疫学的な結果は得られていない.
厚労省でも定期接種化について議論されている.2017年2月10日の第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会の議事録によれば,2018年12月に国立感染症研究所によって帯状疱疹ワクチンに関するファクトシートが作成され,それに基づき,帯状疱疹の疾病負荷や,帯状疱疹ワクチンを定期の予防接種で用いる場合に期待される効果や安全性について議論が行われ,わが国においてはいずれもがまだ十分に明らかになっていないとされた.WHOも2014年の週報で,「現時点では,帯状疱疹ワクチンの定期接種化を推奨しない」としながらも,「高齢化にシフトしている国々では,疾病負荷の重要性が認識され,かつプログラムを有効と考えるならば,定期接種化の導入を決めてもよいだろう.最適の接種年齢と接種スケジュールを決めるに際し,年齢依存的な疾病負荷およびワクチン有効性,防御期間,費用対効果を考慮すべきである」との見解を示している.
さて,ワクチンの接種率を高めるためには自治体の公費助成が必須である.横浜市皮膚科医会は,50歳以上の市民への帯状疱疹予防のための水痘ワクチン接種の公費助成の要望を,横浜市医師会を通じて横浜市議会に提出した.この秋,市議会で議論され,市長や横浜市行政の担当者にも声が届いたとの報告を受けた.予算が確保できれば,来年4月からの公費助成が達成されることになる.実は,こういった働きかけには,いくつもの段取りが必要である.まず,横浜市医師会が,横浜市の臨床各科医会からの要望を受け,採否を決定する.そのためには医師会との連携,人脈が必要である.そこで採用された要望が,横浜市議会に提出される.助成の費用を来年の予算に組み入れてもらうためには,横浜市議,健康福祉・医療委員会のメンバーの協力が必要だが,これも人脈がなければ成り立たない.
医師は政治に疎く,行政の方針に素直に従う.しかしその行政を動かすには,医師会や議員(政治家)との連携も必要である.横浜市医師会の理事を務めるようになり,そういった人脈が必要かつ重要であることを知ることになった.
浅井 俊弥
目次
臨床例
4歳児に生じたブルーリ潰瘍
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
─広範囲にびらんを呈した新生児例─
乾癬様皮疹を呈した川崎病
結節性紅斑様皮疹と全身のリベドを呈し,皮膚血管炎の関与が考えられた川崎病
家族内感染が疑われた幼児のTrichophyton tonsuransによる体部白癬
姉弟にみられたMicrosporum canisによる頭部白癬
Trichophyton tonsuransによる白癬の姉弟例
Microsporum canisによるケルスス禿瘡
コクサッキーウイルスA6型(CVA6)による手足口病
─手掌,足底に皮疹を認めなかった非典型例─
小児の肛門周囲に多発した尋常性疣贅
日本紅斑熱
デング熱
乳児疥癬
─フェノトリン投与により改善を認めた症例─
英文抄録
editorial
帯状疱疹ワクチン公費助成への道
展望
学校保健安全法,学校感染症の動き
topics
小児のウイルス性発疹症
─最新のトピックスを中心に─
図譜
皮膚症状が出る小児感染症
蝶の博物詩
生態42
学会ハイライト
第13回日独皮膚科学会に参加して
皮心伝心
のろまなカメ,働き方改革に思う
診察室の四季
柿の葉散る
皮膚科のトリビア
第162回
声
第30回東北真菌懇話会を終えて
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書籍情報
- ISBN:9784992000363
- ページ数:126頁
- 書籍発行日:2018年12月
- 電子版発売日:2018年12月14日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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