がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版

  • ページ数 : 200頁
  • 書籍発行日 : 2020年7月
  • 電子版発売日 : 2020年7月10日
2,860
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商品情報

内容

緩和ケアの重要課題である「がん疼痛」に対する治療法のうち、最も使用頻度が高い薬物療法についてのガイドライン。
6年ぶりの改訂となった本書では、この間に上市された新たな薬剤の情報や、海外ガイドラインの最新情報などを十分に取り込んだ。推奨では、前版の構成と臨床疑問を全面的に改訂し、より現場の状況に即した指針を提示している。緩和ケアに携わる医療者必携の一冊。

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序文

発刊にあたって

日本緩和医療学会は1996年に設立され,がんの緩和医療をその活動の中核において発展してきました。会員数は2020 年3 月で12,000 名余を数えるまでに至りました。創立時の設立趣意書には学会の目的が以下のように書かれています。「本学会は,がんやその他の治癒困難な病気の全過程において,人々のQOL の向上を目指し,緩和医療を発展させるための学際的かつ学術的研究を促進し,その実践と教育を通して社会に貢献することを目的とする」。本学会は一貫して教育,研究,臨床の質の向上,啓発普及に取り組んできており,その1 つの大きな柱になる活動がガイドラインの作成であります。

学会の初めてのガイドラインは,2000 年に出版された,第2 代の理事長である平賀一陽先生が委員長を務められて作成された『Evidence‒Based Medicine に則ったがん疼痛治療ガイドライン』であり,その後がん疼痛治療のガイドラインは,2010 年,2014 年に改訂され今回が通算4 冊目のガイドラインとなります。『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2014 年版』が発売されてから現在に至るまで,がん疼痛治療,特にオピオイドについては大きな動きがみられました。1 つ目は,ヒドロモルフォン,トラマドール徐放製剤などの新しい薬剤が上市され,われわれの疼痛治療の選択肢が増えたことです。2 つ目は,いわゆるオピオイドクライシスであります。米国を中心にオピオイドの乱用が広がり,米国では2017 年に約47,000 名のオピオイド関連死がみられ,がん以外の疾患に対してのオピオイドの使用について警笛が鳴らされました。3 つ目には,分子標的薬ならびに免疫チェックポイント阻害薬を始めとするがん薬物療法の大きな進歩が挙げられます。「がん」がコントロールできる病気となり,その罹病期間が長くなっていることから,がん患者だからといって,漫然とオピオイドを投与することの危険性―つまり「がん患者」の痛みは「がん」による痛みだけではないため,がん患者の痛みだからといってオピオイドを何も考えずに処方し続けると,依存が形成されることがある―をみかけることが珍しくなくなってきました。痛みのアセスメントをもう一度見直して,がん疼痛治療に当たることの大切さを改めて感じています。

 そのような中で,6 年の年月をおいて,小川朝生ガイドライン統括委員会委員長,余宮きのみがん疼痛薬物療法ガイドライン改訂WPG 員長のもと,WPG 員を中心に多くの執筆者,レビューワーがMinds 診療ガイドライン作成マニュアル2017 の手順に基づいて努力を重ね,総力を挙げて本書が作成されました。本ガイドラインがわが国の緩和医療・ケアを支える医療従事者にとっての海図としての役割を果たし,患者のQOL 向上の一助となることを切に願い,巻頭の言葉とさせていただきます。


2020年4月

特定非営利活動法人 日本緩和医療学会
理事長 木澤 義之

目次

I章 はじめに

1 本ガイドライン作成の目的と経緯

2 ガイドラインの使用上の注意

3 推奨の強さとエビデンスレベル

4 作成過程

5 文献検索式

II章 背景知識

1 がん疼痛の分類・機序・症候群

2 痛みの包括的評価

3 がん疼痛治療の概要

4 薬理学的知識

5 非オピオイド鎮痛薬

6 鎮痛補助薬

7 患者のオピオイドについての認識

III章 推奨

推奨の概要

1 薬剤に関する臨床疑問

2 有害作用に関する臨床疑問

3 治療法に関する臨床疑問

4 Appendix

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784307102025
  • ページ数:200頁
  • 書籍発行日:2020年7月
  • 電子版発売日:2020年7月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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