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あわせて読む → 「眼手術学」シリーズ
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序文
「眼瞼」序文
眼瞼手術はとりわけ術式のバリエーションが多い分野である.病状の改善に加えて術後の外見もその成否を決める重要な要因であるため,手術の現場では美容に対する細かな効果までも考慮される.使用する器具や材質,アプローチの違いなどに術者の知識や体験を活かした独自の工夫が凝らされているのが実情であろう.そのため,同じ疾患に対しても様々に優れた術式が提唱されてきていることはいうまでもない.
本書は,眼瞼手術に対して統一的に「最良の」術式を提供するものではない.これまで生み出されてきた無数の術式がこれから一つの手技にまとまることは不可能であり,またまとめる必要もないと編者は考えている.すでに優れていると認められ行われている術式には何らかの利点があるという見解に立ち,ここではできる限り多くの術式をもらすことなく紹介することを目標としている.さらに,各分野のエキスパートである先生方のご経験に基づいた,その術式を安全で正確に行う方法を具体的に伝授していただくことにより重点を置いた.また形成外科の諸先生方にも多数ご執筆いただき,眼科医にも非常にわかりやすい解説が加わったことで一層充実した内容となっている.確実でわかりやすい情報を伝えるために,数多くの動画も用意した.これら手技手法の動画をウェブサイト上で見ることができるのが,本書の大きな魅力である.ウェブサイト上の動画であれば,最新技術の迅速なバージョンアップも期待していただける.これからも新たな術式が出てくる可能性がある眼瞼手術の分野にとって,この試みは大いに活用していただけるものと考える.このように具体的な解説と多くの画像を通して,現在「我流」で施術を行っている先生方にその手術の利点や欠点を再考していただければ幸いである.さらには慣れ親しんできた術式のみならず他の術式を検討して治療方法の選択肢を増やしていただくことができれば,本書の目的は達成できたと考える.
術式だけでなく用語についても,統一が難しい分野である.例えば「瞼裂幅」は眼科医にとっては瞼裂の縦幅を示すが,眼形成の分野では横幅を示し,縦幅のことは「瞼裂高」と呼ぶことが多い.本書はそれらの統一できない用語の正誤を論争する場所ではなく,手術手技を正確に伝えることを目的としているため,差し支えない範囲で用語の統一をさせていただいた.眼科医には直感的にわかりやすいものを採用したことで,形成外科の先生方にとってはかえってわかりにくい表記となった可能性も否めないが,それらを快く受け入れてくださった諸先生方に深謝する次第である.
平成25年1月
野田実香
目次
I.眼瞼手術に必要な基礎知識
1.眼瞼手術に必要な解剖
2.外眼部の加齢性変化
3.瞬目の仕組み
II.眼瞼手術の準備
1.外眼部診察
2.記録写真
3.眼瞼のMRI所見
4.インフォームドコンセント
●整容面の問題をリハビリメイク で解決する適応と限界
●海外文献を参照する際の注意点(日本人顔の眼瞼手術)
●眼瞼手術後に整容面でトラブルになりやすいこと,その回避法
●どこまで外来で, どこからオペ室で,どこから入院で手術すべきか
●初心者が眼瞼手術を覚えてゆくためのステップ
III.眼瞼手術の基本手技
1.器械
2.針糸
3.消毒・ドレープ
●手術前後の消毒
4.麻酔
5.デザイン・切開
6.展開
7.止血
8.縫合
9.術後のケア
10.採皮・皮膚移植
11.簡単な局所皮弁
12.筋膜,粘膜,軟骨,脂肪採取と移植
●顔面の皮膚外科手術における術前準備
●眼瞼手術におけるラジオ波メスの使用
●眼瞼手術におけるCO2レーザーの使用
IV.霰粒腫・麦粒腫
1.霰粒腫・麦粒腫の手術
●霰粒腫と脂腺癌の見分け方
●霰粒腫の保存的治療
V.眼瞼腫瘍
1.手術適応と術式の選択
2.良性腫瘍 瞼縁
3.良性腫瘍 瞼縁から離れているもの
●CO2レーザーによる腫瘍切除
●組織が少しだけ足りないときのテクニック
4.悪性腫瘍 小さな腫瘍
5.悪性腫瘍 眼瞼が欠損するもの
●代表的な眼瞼腫瘤の見方
●一般眼科医は眼瞼腫瘍にどこまで手を出すべきか
VI.脂肪脱
1.手術適応と術式の選択
2.結膜下脂肪脱
3.眼瞼脂肪脱 経皮的脂肪切除
4.眼瞼脂肪脱 経結膜的脂肪切除
VII.眼瞼下垂・皮膚弛緩症
1.手術適応と術式の選択
2.挙筋腱膜縫着術
3.挙筋腱膜群縫着術
4.挙筋短縮術(Whitnall’s sling)
5.前頭筋つり上げ術
6.前頭筋つり上げ術 ナイロン糸(モノフィラメント)
7.Muller筋タッキング
8.Fasanella-Servat法
9.経結膜的Muller筋タッキング通糸法
10.経結膜的挙筋腱膜タッキング術
● 両眼性の眼瞼下垂手術を片眼ずつやるか両眼一度にやるか
1 )片眼ずつ行う場合
●両眼性の眼瞼下垂手術を片眼ずつやるか両眼一度にやるか
2)両眼瞼を同時に手術する場合
11.皮膚切除術 重瞼線切開法
12.眉毛下皮膚切除術
13.眉毛挙上術
VIII.睫毛内反
1.手術適応と術式の選択
2.下眼瞼通糸埋没法(河本法)
3.下眼瞼切開法(Hotz変法)
4.上眼瞼重瞼術埋没法
5.上眼瞼重瞼術切開法
●重瞼術術後に縫合糸が結膜側から出た症例に対する対応法
● 眼瞼手術における形成外科医,眼科医による共同参画の必要性
IX.眼瞼内反
1.手術適応と術式の選択
2.眼輪筋短縮術(Wheeler 変法)
3.Jones変法
4.皮膚切除術(下眼瞼内反に対する)
Ⅹ.睫毛乱生
1.睫毛乱生の手術
XI.眼瞼外反症
1.手術適応と術式の選択
2.水平眼瞼短縮術(Kuhnt-Szymanowski法)
3.lateral tarsal strip
●顔面神経麻痺の治療戦略
XII.外傷
1.眼瞼裂傷
2.眼瞼裂傷(涙小管断裂を伴う)
3.犬咬傷
4.瘢痕,ケロイドに対する手術的治療
5.瘢痕,ケロイドに対する非手術的治療
XIII.知っておくと役立つ手術
1.上眼瞼延長術 スペーサーを用いない
2.上眼瞼延長術 スペーサーを用いる
3.瞼板縫合
4.内眼角贅皮
5.ボトックス(眼瞼痙攣)─ボツリヌス療法の適応と実際─
6.眼瞼痙攣における眼輪筋切除術
●全身麻酔に関して眼科医に知っておいてほしいこと
XIV.知っておきたい美容外科の手技
1.脂肪注入
2.フィラー
3.ボトックス(しわ取り)
●保険で行うべき治療の限界
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書籍情報
- ISBN:9784830655913
- ページ数:584頁
- 書籍発行日:2013年1月
- 電子版発売日:2020年9月30日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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